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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ある精肉店のはなし』

2014年01月07日 | 映画(あ行)
『ある精肉店のはなし』
監督:纐纈あや

まだまだ続く、年末に観た映画。

12月28日(土)は、従姉一家と豊中のお店で晩ごはんの予定。
この数日前にいきなり風邪をひきましたが、気合いで治すタイプの私。
寝ているのはもったいなくてやはり映画へ行くことに。

待ち合わせが豊中ならば、映画を観るのは効率のいい十三に決まり。
ナナゲイへいざ往かん。
1本目に『んで、全部、海さ流した。』を観たあと、2本目。

大阪府貝塚市の北出精肉店
7代、100年を超えて精肉店を営んできた一家を取材したドキュメンタリー。

纐纈あや監督は屠畜見学会に誘われ、一家と出会います。
北出家は牛の飼育、、解体、精肉、販売までを一貫して手がけてきましたが、
2012年3月に市立の食肉処理場が閉鎖されることが決定。
食肉処理場閉鎖までの間、牛の命と全身全霊で向き合う家族の姿をカメラに収めたいと、
彼らの日常を撮る許可を得ます。

被差別に生まれたがゆえに、理不尽な差別を受けた父親。
その父親の背中を見て育った子どもたちは差別のない社会を望み、
地域の仲間と活動するうちに自らの意識も変化していきます。

こういう背景があると、偽善臭の漂う作品になってしまうこともままありますが、
本作に関してはそういった印象がまったくありません。
そこがであることも実にサラリと述べられていて、
あら、やっぱりそうだったの?みたいな感じで。

屠畜と聞くとえげつないように言う人がいるけれど、
それを美味しい言うて食べている人らのほうがよっぽど凄い。
北出さんのそんな言葉に、おっしゃるとおりと苦笑。
屠畜のシーンは本当にえぐいですが、苦手なはずのこんなシーンも、
その言葉を聞いた後では、しっかり見ておこうと思いました。

牛一頭を余すことなくいただく。
腸を湯で煮ると、浮き出た自らの脂によって美味しく揚がったカスができる。
牛脂からは石鹸も作られ、皮は太鼓に使われる。
地域のだんじり祭り用の太鼓に張る皮まで任されるように。

年末の贈答用の商品を詰め合わせるのに忙しいときは、
当たり前のように孫がやってきて手伝う。
お疲れさまと4世代で囲む食卓の情景。

人間は、生き物の命に支えられているということ。
もっと大事に命をいただかなければなりません。

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