夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ソウルガールズ』

2014年01月26日 | 映画(さ行)
『ソウルガールズ』(原題:The Sapphires)
監督:ウェイン・ブレア
出演:クリス・オダウド,デボラ・メイルマン,ジェシカ・マーボイ,シャリ・セベンズ,
   ミランダ・タプセル,トリー・キトルズ,エカ・ダーヴィル他

さばのゆ大学へ行く前にハシゴした映画の2本目。
梅田ガーデンシネマの1階下、シネリーブル梅田にて。

オーストラリア先住民のアボリジニ。
そのアボリジニ初の女性ボーカルグループ“The Sapphires”をモデルにした実話とのこと。
予告編を観たときから、これは観なくちゃと思っていました。

1960年代、まだまだ白豪主義のオーストラリア。
アボリジニはまるで動植物のような扱いを受け、居住区に押し込まれた生活を送っている。
町へ出向けばあからさまな差別が待ち受け、猿よばわりされる日々。

そんなアボリジニのなかに、歌をこよなく愛する三姉妹がいた。
ゲイル、シンシア、ジュリーは、カントリー音楽が大好き。
コンテストに出場すべく町へと出かけるが、思いっきり出来レース。
実力だけを見れば、彼女たちに敵う者などいないのに。

コンテストの司会者を務めていた飲んだくれのミュージシャン、デイヴは、
彼女たちの声に聞き惚れるが、そのせいで会場責任者から解雇される。
ちょうど戦火のベトナムでは、米軍基地の慰問シンガーを募集中。
オーディションをぜひとも受けたい三姉妹は、デイヴに段取りを頼む。

デイヴは引き受ける条件として、カントリーでなくソウルを歌えと要求。
その理由をあまりに熱く語るデイヴにおされ、三姉妹は承諾。
家族らを説得し、メルボルンに暮らすいとこのケイも加え、いざオーディションへ。
合格を果たすと“The Sapphires(ザ・サファイアズ)”として戦地に乗り込むのだが……。

アボリジニの歴史をちっとも知りませんでした。
政府がアボリジニの数を意図的に減らそうと、
色の白いアボリジニ、すなわち白人に見える子どもが生まれると、
白人として育てるために無理やり親から引き離し、白人家庭や施設で養育したそうです。
これを「盗まれた世代」と呼び、ケイはまさにその盗まれた子ども。
『裸足の1500マイル』(2002)はそんな子どもを描いた作品なのですが、
まったく覚えがないということは、私は観ていないのかなぁ。

さまざまな壁にぶち当たりながらも、彼女たちは超ポジティブ。
アボリジニならではの悩みもあれば、恋に傷ついて暴れることも。
圧倒的な歌唱力、特にジュリーの声は素晴らしい。
『バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち』にもまったく引けを取りません。

彼女たちが国際的シンガーになればそれもまた良かったのでしょうが、
それぞれがアボリジニのために活動したという後記も良かったです。

そうそう、デイヴ曰く、カントリーとソウルはどちらも「喪失」がテーマ。
だけどカントリーはそれをぐちぐちと嘆く音楽で、
ソウルは取り戻そうと発奮する音楽なのだそうです。

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