夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『デビルズ・ノット』

2014年11月23日 | 映画(た行)
『デビルズ・ノット』(原題:Devil's Knot)
監督:アトム・エゴヤン
出演:コリン・ファース,リース・ウィザースプーン,デイン・デハーン,ブルース・グリーンウッド,
   ジェームズ・ウィリアム・ハムリック,セス・メリウェザー,アレッサンドロ・ニヴォラ他

またまたやってきました、全館停電の日
停電の日は早くからわかっているにもかかわらず、
今回はその日に職場体験を受け入れてしまったとかで、
昼過ぎまでは完全停電にはできないらしく、
私たちももしかしたら休めとは言われない可能性もありましたが、
なんだかんだで休みを取ることに。

せっかくみんな一緒に平日の日中休みなんだから、
ラブホで女子会する!?という話も噴出。
しかし、これもなんだかんだで都合が合わず、お流れに。
ならばレディースデーの水曜日、私はもちろん映画に行くぞ。
大阪ステーションシティシネマにて。

好きなんです、アトム・エゴヤン監督。
亡命したアルメニア人の両親のもと、エジプト・カイロに生まれ、
移住したカナダで映画製作に興味を持ったという監督。
私が魅入られたのは『スウィート ヒアアフター』(1997)でした。
以来気になって、『エキゾチカ』(1994)に戻り、『フェリシアの旅』(1999)、
『アララトの聖母』(2002)、『秘密のかけら』(2005)などもチェック。
『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』(2006)では製作総指揮を務めていたものの、
『クロエ』(2009)を観たときには、この監督もう駄目かもと不安に。
そこへ本作が公開されて、久々にこれは監督らしい作品ではと嬉しくなりました。

過去にも多くのドキュメンタリー作品が撮られている“ウエスト・メンフィス3”事件。
全米中に衝撃を与えたという未解決の猟奇殺人事件だそうです。

1993年の初夏、アーカンソー州ののどかな田舎町ウエスト・メンフィス。
3人の男子児童が自転車で出かけたまま戻らず、捜索を開始したところ、
森の中の小川で無惨な姿の死体となって発見される。

いずれも全裸で、手首と足首が本人たちの靴紐で結ばれており、
その猟奇的な手口から、悪魔崇拝者の仕業だと考えられる。
まずは被害者宅に出入りしていたクリスが警察に呼ばれるが、無関係を主張。
すると今度は、子ども並みの知能指数しかないジェシーが呼び出され、
彼の自白によって逮捕されたのは、オカルトとヘヴィメタ好きなダミアン。
その友人ジェイソンも共犯として逮捕される。

警察の捜査に疑問を抱いた私立探偵のロンは、公選弁護人への協力を買って出る。
また、被害児童のひとりであるスティーヴィーの母親パムも
裁判を傍聴するうち、真犯人が別にいるのではという疑念を持ちはじめるのだが……。

全米での公開時、批評家から酷評されたそうですが、見応えはあります。
最初は、冤罪かどうかが監督の問題ではないのだと思っていましたが、
締めくくりかたを見れば明らかに冤罪だと決めてかかっています。
現在も生存しているとおぼしき関係者が真犯人だとにおわされていますから、
そりゃこれを公開してしまうといろいろ大変でしょうねぇ。

観賞後は、私だって冤罪に間違いないと思います。
こうなると、監督は本作で冤罪を訴えたかっただけなのかと思わなくもない。
もしも冤罪であれば、また3組の親が息子を失うことになる。
そのロンの台詞が心に突き刺さります。

久々に監督らしい作品を観た気はしましたが、
コリン・ファース演じるロンが本件に固執する理由などもさっぱりわからず、
穴だらけといえば穴だらけか。

いずれにしても、ヘヴィメタファンが気の毒で気の毒で。
いい人、多いのに!

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