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『ヴォイジャー』

2022年04月02日 | 映画(は行)
『ヴォイジャー』(原題:Voyagers)
監督:ニール・バーガー
出演:タイ・シェリダン,リリー=ローズ・デップ,フィオン・ホワイトヘッド,
   コリン・ファレル,シャンテ・アダムズ,アイザック・ヘンプステッド・ライト他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
あらすじを読んだときからビミョーな感じなうえに、タイ・シェリダンが別に好みじゃない。
批評家の評価は芳しくないらしく、「ありふれたSF映画」ですと。
コリン・ファレルが出演していなければスルーするところです。
彼目当てに観に行ったら、途中で死んでまうし(泣)。と、最初からネタバレ全開ですみません。
 
地球温暖化により、世界滅亡の危機は刻一刻と迫っている。
ようやく移住可能な惑星を見つけた人類は、探査隊を送り込むことに。
その惑星に到着しようとすれば86年という月日を要するから、
政府は3世代をかけて惑星を目指す計画を立てる。
 
まず第1世代として選抜されたのは、最初から宇宙船の乗組員となるべく、
人工授精でこの世に生を受けた子どもたち30人。
遺伝子工学を駆使して誕生した少年少女は揃いもそろって優秀。
彼らの世話役であり指導教官を務めているのがリチャード。
子どもたちは彼に懐き、絶大な信頼を置いている。
 
子どもたちだけを宇宙船に乗せて地球を出発するはずだったが、
リチャードは二度と地球に戻れないことは承知のうえで自分も乗船すると志願する。
 
10年が経過し、宇宙船が順調に航行するなか、船内で子どもたちも成長。
そのうちのクリストファーとザックが規則正しい生活にふと疑問を抱く。
ふたりで調べてみると、自分たちが毎日飲まされている水に薬が含まれていると判明。
その薬とは、人間の欲望を抑えるための薬だった。
反発したふたりはリチャードを信じられなくなり、薬の服用をやめる。
すると今まで抑えられていた欲望が次々に湧き上がってきて……。
 
欲望にもいろいろありますが、知識欲なんかは抑えられることがなく、
彼ら彼女らがこれまで持たずにいたのは、主に性欲とか食欲とか。
触れ合うことが禁じられていた船内で、触れたいという気持ちすら湧かなかったのに、
薬をやめた瞬間に目の前の異性に触れたくなる。
異性に限ったことではなく、クリストファーとザックは取っ組み合いを始め、
じゃれることの楽しさを知ります。
 
それだけならよかったのでしょうけれど、暴力をも楽しいと感じてしまう。
誰かを殴ること、支配すること、怯えさせること、それも面白くて仕方ない。
そちらに走ってしまうのがザックで、殺しも厭わなくなります。
みんな賢いはずなのに、子どもたちのほとんどがザックの側につき、
クリストファーとセラとごく一部の者だけが善き心を失わない。
 
観ていて気持ちのいい作品ではありません。ザック役の俳優が悪役面すぎて。
と思ったら、彼はフィオン・ホワイトヘッドではないですか。
『ゴヤの名画と優しい泥棒』であんないい子を演じていたのに。
ということは、上手い役者だということなのかしら。今後にも期待。
 
あと注目すべきはやはりセラ役のリリー=ローズ・デップでしょうか。
ジョニー・デップヴァネッサ・パラディの娘。もうお母さんにホントに瓜二つ。
 
鑑賞前の予想どおり、ニール・バーガー監督の作品はいつもビミョーです。
退屈はしないけど、めっちゃ良くもない。
何でもかんでも観る私みたいな人間は別として、1年に数本しか観ない人には薦めません。

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