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『エンディングノート』

2022年04月23日 | 映画(あ行)
『エンディングノート』
監督:砂田麻美
 
2011年のドキュメンタリー作品です。
当時、大阪では確かナナゲイで上映されていたと思います。
癌の話なんてまだ自分には無縁だと思っていたふしがあり、あまり観に行きたいと思いませんでした。
10年以上が経ち、弟が癌になった今、観てみようかと。
本作もNetflixで視聴可能です。
 
砂田麻美監督のデビュー作で、プロデューサーは是枝裕和監督。
砂田監督ご自身の父親、砂田知昭さんは化学メーカーに勤め上げ、67歳で退職。
仕事一筋だった知昭さんが第二の人生を歩み始めた矢先の2009(平成21)年、
ステージ4の胃癌ですでに切除は不可能であることがわかります。
 
不謹慎にも笑ってしまったのは、宣告5分後の知昭さんの表情。
え、こんな宣告を受けると思っていなかったはずなのに、砂田監督はカメラを回していたのですか。
悲しみに打ちひしがれるというよりは、何を言われたかわかっていないふうの知昭さん。
 
それからの知昭さんは、自分が死ぬまでの段取りを始めます。
何でもきっちり用意するのが好きな知昭さん。
死ぬまでにしておきたいことをリストにし、“エンディングノート”の作成に着手。
 
知昭さんは仏教徒でありながら、葬儀は教会でおこないたいと考えます。
こういうことを受け入れてくれる教会もあるのですね。
私なんて端(はな)から駄目だと思ってしまいそうですが、
司祭に会いに行き、自分の思いを伝えればちゃんとそれが通じる。
 
余命を宣告されたら心残りがないように。そうは言ってもどうすればいいのか。
自分は残りの人生をどう生きたいのかなんて考えたこともないからわからない。
最近は日々考えています。
 
本作を商業映画として公開すべきだったかどうかは当時も賛否両論あったとおり。
これを観たところで「幸せな最期でよかったね」という感想しか出てきません。
それに、なんといっても知昭さんが亡くなったのは69歳。
昨今の寿命からして少し早いかなと思わなくはないものの、
まだ55にもなっていない我が弟のことを考えると、じゅうぶんやん!とひがんでしまう。(^^;
 
ただ、エンディングノートというものがちゃんと市販されていることはこのたび初めて知りました。
コクヨとかからも出ているとは。普通に文具やん。
私かて、いつ死ぬかわからんのやし、これは用意しておいたほうがいいかもと思う。

あんな映画こんな映画のことも思い出します。

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