夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『リコリス・ピザ』

2022年07月09日 | 映画(ら行)
『リコリス・ピザ』(原題:Licorice Pizza)
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:アラナ・ハイム,クーパー・ホフマン,ショーン・ペン,トム・ウェイツ,
   ブラッドリー・クーパー,ベニー・サフディ,ジョエル・ワックス他
 
イオンシネマ茨木にて。

この監督の作品を観るときは毎度書いていることですが、
ポール・アンダーソンという著名監督は2人存在して、
「良いほう」と「駄目なほう」と一般的には言われています。
 
「駄目なほう」の監督はポール・W・S・アンダーソンで、ミラ・ジョヴォヴィッチの旦那。
なんというのか、大衆向けのわかりやすい娯楽作品ばっかり。
一方、「良いほう」が本作の監督、ポール・トーマス・アンダーソン
批評家受けする監督のほうが小難しい印象はありますし、
実際、ポール・トーマス・アンダーソン監督作品には「いったい何?」というものもありますが、
これは結構わかりやすい部類ではないかと思います。
 
予告編を観たときはあまり惹かれませんでした。
物語自体は私の好みっぽいのですが、主演カップルの顔がどうもタイプじゃない。すんません。
特に男性のほうは、こんな恋愛ものでイケてる男子を演じる風貌には到底思えず、
フィリップ・シーモア・ホフマンに似てるなぁと思ったら、息子でした。(^^;
 
1973年、ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー。
ゲイリー・ヴァレンタインは子役として活躍する15歳の高校生。
CM会社を経営する母親が宣伝を担当した近隣のレストランなどにも出入りして顔なじみ。
大人とのやりとりも慣れたもの。
 
ある日、生徒の写真撮影にアシスタントとして訪れた25歳の女性アラナに一目惚れ。
ゲイリーは早速アラナを口説きにかかる。
アラナはその強引さに閉口しながらもなんとなく気になり、食事の誘いを受け入れるのだが……。
 
ゲイリーを演じるのがクーパー・ホフマン。
失礼極まりないことを言いますが、この容姿で「イケてる子役」という設定は私には無理。
フィリップ・シーモア・ホフマンのことは好きでしたが、
それはあくまで脇役としての彼の演技が好きだっただけ。
もしもモテモテの役なんかやられたらドン引きしていたと思います。
 
無理だと思いながら観るのもツライので、頭をニュートラルにして鑑賞しました。
そもそも15歳の少年と25歳の女性の恋の話なんて、私の苦手な「オバハンの妄想」でしょ。
だけど、クーパー・ホフマンがとても15歳には見えないおかげで、妄想とは感じず。
その点はありがたいことでした(笑)。
 
アラナ役のアラナ・ハイムは、三姉妹のロックバンド“ハイム”のメンバーで、
実姉妹のエスティとダニエルが姉妹役で出演しているばかりか、
父親と母親を演じているのも実の両親だったようで、ビックリ。
 
15歳らしからぬゲイリーは、ウォーターベッドやらピンボールマシンやら、
流行りそうなものを見つけると速攻で商売を始め、商才を見せつけます。
撮影アシスタントを辞めてゲイリーのビジネスパートナーとなったアラナですが、
ガキなんて相手にしていられないとゲイリーを邪険にするくせに、
ゲイリーが同世代の子役女優とイチャイチャしていると腹を立てる。
この辺はやっぱりオバハン(というほどの年齢じゃあないが)の妄想だよなぁ。
 
スター俳優役のショーン・ペン、映画監督役のトム・ウェイツ
大物プロデューサー役のブラッドリー・クーパーといった面々の演技が楽しい。さすがです。
 
結論として、良い作品だったし、睡魔に襲われることもなかったけれど、
やっぱりタイプの俳優が演じていないと、そこまで好きにはなれないというところです。
 
ところで、話中にはリコリスもピザも出てこないというのに、
タイトルの“リコリス・ピザ”ってどういう意味さと思ったら、
舞台となっているサンフェルナンド・バレーにあったレコード店のことですと。
でもレコード店も出てこないよ。

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