夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『アナログ』

2023年10月13日 | 映画(あ行)
『アナログ』
監督:タカハタ秀太
出演:二宮和也,波瑠,桐谷健太,浜野謙太,藤原丈一郎,坂井真紀,筒井真理子,
   宮川大輔,佐津川愛美,鈴木浩介,板谷由夏,高橋惠子,リリー・フランキー他
 
毎月上旬の土曜日が母のがんの進行状況検査日。病院って本当に時間がかかりますねぇ。
診察の前に採血があるから30分早めに来てくださいと言われるけれど、
採血のあと診察まで1時間半は待たされますからね。
でも今回は看護師さんが母のためにベッドを用意してくださっていて、
先月までのように待合の椅子に座ってではなく、ごろりと横になって待たせてもらえました。
 
廊下から「ちょっと言うてもいいですか。毎回思うんやけど、待たせすぎとちゃいますか」と、
たらたら文句を言っている男性の声が聞こえてきて、ちょっと笑ってしまう。
抗がん剤治療を受けている時間にいろんな人を見るのが面白いと言っていたのを思い出します。
 
午前中いっぱい病院にいて、毎回通院の後に恒例化している“にぎり長次郎”で母とランチ。
母もまだ食欲があるから大丈夫。
実家に戻ってうたた寝する母を見て安心しながら私は父所有の本の整理を始めました。
そんなこんなで実家を出たのは日も暮れてから。109シネマズ箕面に寄る。
 
封切り日翌日の晩の回。
このキャストだから混んでいるだろうと思ったのに、客は私を含めて4人じゃないか。
原作はビートたけしの同名小説。監督は『鳩の撃退法』(2021)のタカハタ秀太。
 
デザイン事務所に勤める優秀なデザイナー・水島悟(二宮和也)。
上司の岩本(鈴木浩介)は悟の手柄をすべてかすめとってゆくろくでなしだが、
欲のない悟は自分の仕事ができればそれでいいと思っている。
 
ある日、悟が内装を担当した喫茶店“ピアノ”で美春みゆき(波瑠)と出会う。
彼女は悟のこだわりの部分を見事に言い当て、感激する悟。
また、悟のほうもみはるが持っている鞄を褒めると、母親の形見とのことで喜ぶみはる。
 
みはるのことを夢見心地で話す悟を腐れ縁の高木(桐谷健太)と山下(浜野謙太)がけしかける。
ピアノに足を運んだ悟はみはると再会、食事に誘い、楽しい時間を過ごす。
帰りがけ、悟が連絡先を聞こうとすると、みはるは携帯を持っていないと言う。
今後の連絡の取りようがなくなって戸惑う悟に、来週も木曜日にピアノにいるとみはるは言い……。
 
それから毎週木曜日の仕事帰りにふたりは会うようになります。
 
いまどき携帯を持っていないって、ドン引きされますよねぇ。
私も弟の余命がわずかになるまではスマホはおろかガラケーも持ったことがなかった身。
みんなが携帯を持ちはじめた頃はまだまだ私と同じ人がいましたが、
そのうち携帯を持っていないと変人か非常識な人扱いされるように(笑)。
 
私は、携帯を持っていないことに不安はほぼ感じていませんでした。
不安に思うのはむしろ会う約束をしている相手のほうで、
でも私は遅刻もドタキャンもしないから大丈夫よと思っていました。
もしも私が待ち合わせ場所に現れなければ、それなりの理由があると思ってもらえるし、
相手が来なかったとしても待つのは別に苦じゃないし。
 
だから、みはるとつきあうようになったときの悟の気持ちはちょっとわかる。
でもねぇ、一旦携帯を持ったら無理ですよ、そんなこと。
現に私はいま携帯を家に忘れたりしたら愕然としてしまう(笑)。
 
約束の日に現れなかった彼女がどうなっていたのか。
来なかった事情は彼が想像できなかったものだったけど、ここまで献身的になれるかどうかは疑問。
ただただ、「木曜日にこの場所で」という約束っていいなと思う。それだけかなぁ。
一応泣きましたけどね。(^^;

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