電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

久良木夏海チェロリサイタルvol.2を聴く

2016年04月04日 06時23分49秒 | -室内楽
四月最初の日曜日、山形市の文翔館議場ホールにて、山形交響楽団のチェリスト、久良木夏海さんのチェロリサイタルを聴きました。前回、第1回(*1)では、プロコフィエフのチェロ・ソナタ等を初めて生で聴き、すっかり久良木さんのファンになりました。今回、第2回のプログラムは、いわゆる三大Bの作品で、

  1. J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番 BWV1007 ト長調
  2. L.v.ベートーヴェン ピアノとチェロのためのソナタ第1番Op.5-1
  3. J.ブラームス ピアノとチェロのためのソナタ第2番Op.99

というものです。



議場ホールの前方中央にあまり高くないステージを置き、背の高いついたて状の音響板を立てて、その手前にグランドピアノがあります。ピアノは、前回と同じ大伏啓太さんで、久良木さんは黒を基調とし肩ひもや胸周りと裾に花模様を配したシック&チャーミングなドレスです。会場は座席がおおむね埋まり、約百名ほどのお客さんの入りと見ました。アマオケの山形フィルの方々も来られているようで、チェロ関係者の比率がけっこう高いのではと感じました。



最初の曲目、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番ですが、1曲目の「プレリュード」から、楽器が堂々たる鳴りっぷりです。ふだん、簡易なPC-audioをミニコンポに接続し、小型スピーカを鳴らして音楽を聴いていることが多いものですから、生のチェロの迫力に、そうそう、こうでなくっちゃ!と嬉しくなります。

第2曲目は、ベートーヴェンのソナタ第1番。第1楽章:アダージョ・ソステヌート~アレグロ。少し前の時代までは、通奏低音など脇役だったチェロが、主役として登場するようなご挨拶。そしてアレグロ~生き生きとしたリズム、よく歌う伸びやかな音色が、若いベートーヴェンの音楽の魅力を伝えます。第2楽章:ロンド、アレグロ・ヴィヴァーチェ。若々しく、前向きな推進力が感じられます。ピアノも実に良かった~。

ここで、15分の休憩です。



3曲目は、ブラームスのソナタ第2番です。ヴァイオリンのソナタ集は、CDでも好んで聴いておりますが、チェロソナタのほうは、それほど頻繁に聴く曲ではありませんでした。交響曲第4番やヴァイオリンソナタ第2番、あるいはヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲など、充実した音楽を書いていた時期の作品とのことですから、実演を聴く機会を楽しみにしていたところです。第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。第2楽章:アダージョ・アフェットゥオーソ。第3楽章:アレグロ・パッショナート。第4楽章:アレグロ・モルト。ピアノがブラームスらしく、地味渋で華麗(^o^)。そして沈潜するチェロが雄弁(^o^)。そういう矛盾したところが、いかにもブラームスらしいところでしょうか。3楽章の最後で「終わった感」を見せておいて、4楽章で活力ある音楽が始まるところあたりは、ブラームスのいたずら心?(^o^)
やっぱりいい曲ですね~。

聴衆の拍手を受けて、久良木さんがマイクを手にご挨拶。前回は、若さにまかせて選曲をしたところがあった。今回は音を並べるだけならわりに容易だけれど、音に意味を持たせ、曲の表現を作ることに努力したとのことです。ピアノの大伏啓太さんもマイクを取り、この三年の成長を讃えます。

そして、アンコールは、シューベルトの「セレナード」とメンデルスゾーンの「歌の翼に」。とりわけ、メンデルスゾーンの「歌の翼に」は大好きな曲だけに、と~っても嬉しい。

そうそう、こうしたリサイタルで、山響はじめ直近の各種演奏会の予定を紹介宣伝したのは良いことだと思います。そうして山形県内で開かれる様々な演奏会が大いに盛り上がるといいなあと願っています。

先の山響「オーケストラの日」の演奏会を聴けなかった残念さを解消する、久々のリサイタルとなりました。良い日曜日でした。

(*1):久良木夏海ファーストチェロリサイタルを聴く~「電網郊外散歩道」2013年5月

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