ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

教授の贈り物

2017-10-19 | アメリカ事情

コロンバスの乗ってきたサンタマリア号だけれど、海賊旗までついている。そして深海に潜む巨大カニ。 

孫息子のCは、ネジで動くこんなオモチャが大好きで色々違ったものをたくさん持っている。それは、手をかざすと開閉する彼のお気に入りの小さなゴミ箱(もちろん、新品)に入っている。それが彼のおもちゃ箱。この子はゴミ箱やゴミ収集車に非常に興味を持っている。初めて去年の春、動物園に連れて行かれると、せっかくの白い虎だの、優しい大きな目のキリンだの、愛嬌のあるオットセイだのよりも、園内のそこかしこに置いてある青いゴミ箱をしっかり見ていた。誕生日に、ゴミ収集車のオモチャをあげたら、お昼寝する時、そのゴミトラックを抱いてクリブに持って行った。大事な大事な緑のゴミトラック。

 

 

 

娘達がかつて遊んだBreyerの馬コレクションや、息子達が遊んだプラスティックのタグボートやトンカのトラック類も、その他たくさんの彼の母親の世代のオモチャは、Cが今気に入って遊んでいる。よく今まで持っていましたね、とあきられる感心される。いらないものはこれでも断捨離してきているが。。。どうしても子供が愛し、遊んだおもちゃは、壊れてもいないし、不思議に傷みもなく、愛着心も手伝って、ついここまで来てしまったのだ。レゴやデュプロも全てキチンとプラスティックの箱に入れて取ってある。こんなことは、実は私だけではなかったと、今朝わかった。

Cが両親と住む家のお向かいに、すでに引退して久しかった地理学の教授夫妻が住んでいた。娘家族が越してきてからすぐお近づきになったのだが、やがてCが生まれ、すると老教授は、時折ご近所を散歩するCの事をよく可愛がってくれた。ある日娘夫婦に、「自分は長いこと患っていて、余命だって宣告されていて、いつ死んでもおかしくないのに、未だこうしてCを見られ、楽しめるなんて、まるで人生のおまけのような気分ですよ」、と言った。最初に夫妻と話してからもう5年経っただろうか。その老教授は、先日逝去なさった。

今朝その未亡人がダンボールの箱を抱えて向かいの娘たちの家へやってきた。亡夫は、消防車が大好きで子供の頃から、ずっと集めていて、自分が逝ったら、Cに箱ごとあげてくれと、言付かっていた、と言う。 娘夫婦は驚き、その貴重な老教授のコレクションをありがたく頂戴した。働く自動車は、ゴミトラック同様に大好きなCの喜びは周りの誰をも幸せにさせた。Cは未亡人にお礼とハグをして、また亡くなった教授にも、寝る前の祈りの中で、お礼を言った。

 

ヴィンテージ の消防車とご満悦のC

 

箱の中のコレクションのうち、写真に写っている缶の消防車の蓋をあけると、現金で$25入っていた。それを見つけたCの両親はCを伴って、早速それを持って未亡人宅のドアをノックした。そしてお金をお返しすると、未亡人は、驚き、そして「亡き夫のコレクションはまだまだあるの。ちょっとこの部屋をごらんになってくださいな。ほら、たくさんあるでしょう?このどれでもお好きなものをお持ち下さって結構ですよ。」と言った。

しかしながらそのいずれもが高価そうで、娘夫婦は「これは立派なコレクションです。もうすぐ三歳のCには、もったいないですよ。成長されたお子様方がお喜びになると思います。どうぞその方達にお渡しくださいね。」と丁重にお断りをして、帰宅した。Cが得た本当の贈り物は、消防車だけではなく、正直に生きる両親の姿だったかもしれない。

 

 

 

 

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