Sera の本棚

感動した本のことや映画を見たり、コンサートへ行ったりした感想、高槻の写真など記録できたらいいなあと思います。

「陰日向に咲く」

2008-08-30 21:27:42 | 

劇団ひとりさく「陰日向に咲く」を読みました。劇団ひとりさんは芸人でよくテレビに出演されています。芸人としての劇団ひとりさんはとても面白くて、あんなに上手に別人を演じられるなと感心していました。全然違う人を演じられるので、きっと演じる時にはその人の育ってきた背景などもすべて考えて設定してから演じておられるのだろうなと思っていました。そしてこの本を読んで、やはり私の考えが当たっていたと思いました。本当に才能豊かな方です。私小説の語り口は劇団ひとりさんの芸のように見えて、目の前に主人公になりきったひとりさんがいてテレビを見ているようでした。短編が5作収められていますが、微妙に共通した人物や場面があって、短編ではなく、オムニバスの映画を見ている感じがしました。そして読んだ後、私の好きな「切ないけれども切なすぎない」ちょうどよい切なさで胸にじーんときました。2作目も読んでみたいと思いました。

お気に入り度:★★★★★  図書館資料 請求番号:913/ゲキ

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「home」

2008-08-22 20:22:00 | 

歌手木山裕策作「home」を読みました。木山さんは脚本家を目指しておられただけあって、文章がお上手で読みやすかったです。ますます木山さんのファンになりました。作者が小さい時から歌が好きでいつも歌っていたこと、いろいろなことがあって39歳4児のパパになって歌手デビューしたことが書かれています。20歳の頃、身の置き所がなかったのは私と一緒で、年代・男女を問わず、一緒だったので好感を持ちました。子を授かって初めて、「子供のためだったら何でも出来る」と強くなれたとも書いておられます。まるっきり私と同じで、何でも中途半端だったけれど母親業だけは一生放棄しないと思ったものでした。木山さんはご家族に支えられてご自分の夢に挑戦し、夢への挑戦のあかしの歌「home」を愛するご家族へ贈られ、そして今、歌と仕事と家族の時間のバランスを考えて、必死で頑張っておられます。感動の手記でした。時々ご両親もご一緒の写真が載っています。私は木山さんのお母様とお知り合いになって、お母様の歌を聴く機会があったので、微笑ましい写真を拝見しながら、ロシア語でやさしく堂々と歌われたお母様を思い出しました。

YOUTUBEの動画をご覧下さい。本を読んだ後に聴くとますます心に響いてきます。

お気に入り度:★★★★★  所有本

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「悪人」

2008-08-01 22:41:06 | 

「ダ・ヴィンチ 1月号/2008年」で編集部が選ぶプラチナ本OF THE YEARに「悪人」吉田 修一作が選ばれていました。その時すぐに図書館で予約しました。そうしたら7ヵ月後、やっと回ってきました。編集部に選ばれているだけあって、いろいろ考えさせられる内容でした。この本を読むまでは陪審制の陪審員になってもいいなと思っていました。読み終わってからは、陪審員になるのは難しいなと思いました。沢山の証拠や証人によって真実が明らかになったとしても、どれほどの事がわかるのかなと思います。私みたいな単細胞人間は、泣いて謝る人を見たら、すぐ情状酌量したり、ふてぶてしい態度をとられたら刑を重くしたりするのではないかと不安になりました。犯人しか知りえないことを黙っていたとしたら、誰にもわからないかもしれません。そんなことを考えさせられる本でした。言葉の暴力についても考えさせられました。選ばれた陪審員は先ず最初にこの本を読んだ方がいいのではと思ったほどです。読んだ後、ずっとそんなことが心に引っかかっています。

お気に入り度:★★★★★  図書館資料 請求番号:913/ヨシ

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