Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪>攻撃の終了

2013-06-29 02:00:00 | 雪2年(全面対決、攻撃の終了)



これは、淳がまだ雪を同族と意識する少し前の話。

学祭の出し物で二人が意見を衝突させて、

冷戦状態に陥った、その後すぐの小さな出来事。






あの全面対決以降、青田淳とは一度も口を聞いていない。



毎日毎日、授業に課題にアルバイトにと、雪の大学生活は忙しなく流れていく。

もうどうでもいい、面倒くさいと、あの日全てを諦めてからは、平穏な生活が続いていた。

そんなある日。




授業が終わって、雪は一人構内を歩いていた。




すると前方の教室から、彼が出てきた。



目が合う。




二人は同じ速度で近づいて行った。



しかし雪は決して彼とは目を合わそうとしない。

もう挨拶をしようかしまいか、考えあぐねる必要もないのだ。




二人がすれ違って、その後姿を彼が見ていることにも、彼女は気が付かない。



このまますれ違ったまま、二人は別々の方向に歩んで行く。







‥と思われたのだが。



次の瞬間、雪の携帯から大音量の着メロが流れた。




♪僕はもう疲れたよ~ 君はテンボルテンボル♪

??!



♪待ちくたびれたよ~ 僕のテンボルテンボル♪


しかも流れた歌は巷で流行ったエロ歌謡ww

こんな曲を設定した覚えはないが、雪は思い当たるフシがあった。



聡美が雪の携帯をしょっちゅういじくって着メロを変えるいたずらをするのだ。


聡美めぇぇ~~~!!

雪は猛スピードで鞄の中を漁った。



しかし案の定‥




Orz....




♪君は止まらないテンボルテンボル♪僕を泣かせるテンボルテンボル♪

大音量で流れ続けるエロ歌謡‥。

こっちが泣きたいわ!




雪はやっとの思いで携帯をオフにすると、一目散に鞄の中身を拾った。

わたわたと拾い続ける雪を、青田先輩はじっとその場で見ていた。



見上げなくても、視線が刺さっているのが分かる。

なんで立ち去らずに突っ立っているんだろう‥。

素朴な疑問が頭をかすめる。

すると転がっていったボールペンが、青田先輩の足元にあることに気がついた。





蘇る苦い記憶。



あの時も今日も、結局視線は上げられない。



けれど。



その手の動きを目で追うと、自然と上を向いていた。











雪は小さくお礼を言った。



しかし苦い記憶が消えなくて、変な愛想笑いと苦笑いみたいになってしまった。




彼はそんな彼女を一瞥し、




すぐ背を向けて行ってしまった。




雪はその後姿をじっと見ていた。

彼から渡されたボールペンを、ぎゅっと握りしめながら。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪>攻撃の終了 でした!

雪の着信音は、「テンボル」(スズメバチの意)という歌だそうですよ。

最初ロックかなにかと思いきやめっちゃ歌謡曲ですね。しかもエロ歌謡て‥ww

そりゃ雪も大慌てで止めにかかりますね(笑)

さて、次回は雪の生い立ちについて少し触れたいと思います。



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<雪と淳>全面対決

2013-06-29 01:00:00 | 雪2年(全面対決、攻撃の終了)
A大学の学園祭がすぐそこまで迫ってきていた。

各学科が出し物として店をやったりイベントを企画したりするのだが、

経営学科もそろそろその出し物を決定して、申し込みをしなければならなかった。



授業終了後、雪が机に突っ伏していると、その話し合いが前方の席でされているのが耳に入ってきた。

「それじゃ具体的な意見はもうない?他の案でもいいよ。

居酒屋の他に提案がある人は言って」




なかなか意見や提案は集まらない。まとめ役の青田淳は溜息を吐いていた。

そんな淳に、柳瀬健太が声を掛ける。

「やっぱ他の学科と同じように居酒屋でいいんじゃねーか?」

「それだと毎年全く同じなので、学祭に誰も参加しなくなります」



経営学科は惰性で毎年居酒屋をイベントとしてやってきたようだ。

その事実には色々意見が別れるところだった。

「いいじゃん居酒屋!毎年同じってことは理由があるんだって!」

「同じ事何回もして何が面白いんだよ。面倒くさい」



居酒屋を開くという意見そのものには淳も賛成しているが、問題はそこへの皆の関心の低さだった。

「じゃあ軽食屋は?お好み焼きとかそういうの」「それじゃ居酒屋と変わんないじゃん」

「学祭の日雨降りそー」「んなこと言うなよ。テンション下がるわー」



雪は皆のダラダラとした話し合いを聞いていた。

出てくるアイデアは既存のものばかりで、皆の関心の薄さが伺える。



知ーらない、と雪は始め背を向けた。

やりたい人だけで勝手にやってくれ、と。



しかし話し合いは遅々として進まない。皆意見というより文句や愚痴ばかり口にする。

思わずグッと言葉を飲み込む雪。



そして結局、雪は再び彼らの方へと向き直った。

小さな声で声を掛ける。

「あの‥先輩!」



「て‥提案があります‥」

「お、赤山!何だ?我らが経営学科の期待の星!言ってみろ言ってみろ!」



健太先輩が発言するよう促し、恐る恐る雪は口を開いた。

「私が一年の時入ってたボランティアサークルで、大学の前のビヤホールを借りて居酒屋をやったんです」



「それがすごく上手くいって‥天候にも左右されないですし。

あとはインディーズバンド呼んで、ライブハウス風にするのもいいかもって‥」




雪の意見に、健太や他の先輩達は「いいかも」と乗り気になった。

しかし、青田淳だけは違った。真っ向から切ってかかったのだ。

「それはちょっと難しいんじゃない?オーナーの許可なんて簡単に取れない。

君たちのサークルではどうやったの?」




雪は多少たじろぎつつも、それに答えを返した。

「あ‥人脈で‥」「その人にまた頼める?」

「いえ‥」「それじゃ上手く行くとは言い切れないよね?」



取り付く島のない淳の意見。

しかし雪も負けていない。続けて自分の思う所を述べた。

「‥だとしても、出来ないことはありません。

前に先輩たちがやったときはかなり上手く行きました」




「じゃあ資金面はどうなる?

バンドを呼ぶにしても店を借りるにしても、その予算はどう工面するの?」




意見を戦わせる青田淳と赤山雪。

周りの視線は痛いくらいに、首席と次席の討論に注がれた。

「他の学科は皆構内で居酒屋やるのに、俺達だけ外ですれば客足も減るんじゃないかな?」

「そうだよねー」「これ以上お金掛けたくない」



周りの意見は淳寄りだった。

だとしても、ここではいそうですかと引き下がる訳にはいかない。



イラつく雪。

頭ごなしに意見を否定する彼に、今までの悪感情が堰を切ったように溢れ出る。

「でも差別化されて逆に良くないですか?却ってお客さんが来るかもしれません。

場所が問題なら、張り紙や案内板を構内に沢山作って、案内すれば良いんじゃ‥」


「その程度の宣伝はどこでもやるさ」



淳も又、今までの鬱憤が溢れ出るのを感じていた。

しかし頭は冴え渡り、理論でその意見を叩き潰す。

「学祭だからって派手なだけの企画なら、やらない方がマシじゃないか?」








その対決の激しさに、教室は静まり返った。

柳がドン引きしつつフォローに入り、健太が淳の肩を抱く。

「ちょ‥お前‥」「うははは!経営学科の熱い精鋭達よ!魂が騒いじまうか?いや~立派立派!」



「ま~あんまデカイことはせんでさぁ。安パイで行こうぜ安パイで」



淳は息を吐いた。軽く疲労を感じている。

そしてふと気づいた。赤山が言い返して来ないぞ、と。

また怒ったか?















その雪の目には、激しい感情が何も無かった。

あるのはただひとつ。

諦めだけ。



そして最後に彼女は、ポツリと一言呟いた。

「‥はい。私の考えが足りなかったみたいです」








彼女は去っていった。





たった一人で。












淳は扉が閉まってからも、彼女の残像を見ているかのように視線を留まらせていた。





しばらくして、柳が淳の表情を窺いながら口を開いた。

「ん~、オレは赤山ちゃんの提案イイと思うけどね」



「そこまでケチョンケチョンに言わなくてもイイんじゃない?

お前らしくもない‥一体どーした?」




淳が黙っているので、柳は続ける。

「要はコネさえあればいいんだろ?うちの兄貴の友達が大学の前でバーを始めたんだけど、

そこの雰囲気も良いし、しかもその人もうちの学科の卒業生だから、結構乗ってくれる気がするけどね」











雪は一人きりで去って行く。

心の中は先程の昂ぶりと、落胆と、苛立ち、そのほか形容できない感情たちが、底のほうに揺蕩っている。

しかし雪の理性がそれを押さえ込んだ。

もうどうでもいい。私には関係ない



彼女は諦めた。

憤りも興奮も、全てを腹の中におさめながら。

今までそうやって、生きてきたんだ。










同じ頃、淳は中庭で一人ベンチに座っていた。



自分の中に生まれた感情に、少し戸惑っていた。

先ほどの柳の言葉が頭の中を廻る。

お前らしくもない‥一体どーした?




自分でも分かっていた。

あまりにも自分らしくない、と。

彼女にまつわる、記憶の全てが蘇ってきた。


前から嫌いだった。



無理に笑うのも、



自主ゼミの時の彼女が思い浮かんだ。

何か聞かれても、すぐに愛想笑いを浮かべる彼女。

観察するような目つきも、



笑いながら寄ってくる大多数の合間から、

いつもその目つきは鋭く刺さり、気に障った。

全て見透かすかのようなその表情も。



毎日を平穏に過ごしていくために構築した、見せかけの自分自身を尽く彼女は見破った。

侮辱を受けたら他人を利用して傷つけ返し、戸惑う彼女に報復したつもりだった。



しかし気がついたら、幼稚な振る舞いをした自分が居た。



堰を切ったように溢れ出る悪感情。

自分で自分がコントロール出来なくなる不快感。

ずっとウザかったから‥大人げなく詰め寄ってみたけど‥



人が自分の振る舞いを受けてどんな反応をするかなんて、全て分かってたつもりだった。

なのに‥







怒ると思ったのにな‥




その時淳の心の中で、何かが引っ掛かった。

静かな空間の中で微かに、それは淳の意識を惹く‥。


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<雪と淳>全面対決 でした!

遂にお互い正面切っての対決でしたね!

次回は3部にて追加された、この全面対決後の雪と淳とのエピソードです。

<雪と淳>攻撃の終了 です。


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