Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

河村亮

2017-03-06 01:00:00 | 雪3年4部(消えた兎〜河村亮)


雪は肩を上下させながら、呼び止めた亮に向かって問いかけた。

「河村氏‥本当に行っちゃうんですか?」



「嘘ついてどーすんだよ」



「そんじゃな」



そう言ってこの場から去ろうとする亮。

咄嗟に雪は声を出す。

「あの!それじゃ‥」



「そこまで」






突然ピッと、亮は線を引いた。

逆光と目深に被ったキャップのせいで、その表情は窺えない。







二人の間に空いた距離は、たった数メートルだった。

けれどまるでその間に大きな隔たりがあるかのように、雪はその場から動けない。

「そこまでだ」







繰り返されるストップ。

雪は目を見開いたまま、その真意を喉の奥で汲む。







亮は荷物を背負い直しながら、真っ直ぐにこう聞いた。

「オレのことが憎いだろ?」







ぶつけられたストレートなその問いは、雪の心に重たく響く。



結局受け止められずに、雪は彼から目を逸らした。

「‥‥‥‥」



亮は少し俯きながら、雪を呼び出したあの時のことを話し始める。

「あの日、確かにオレはお前を呼び出したけど‥

お前らを別れさせようとわざとそうしたわけじゃねぇんだ。

オレの高校時代の話のせいで、お前も沢山苦しんだだろ。

真実はこうだったんだって、ここを離れる前にお前に見せてやりたかっただけで」




「分かってます。心配してくれたんだなって‥。ただ私は‥」



雪は依然として目を逸らしながらそう答えた。

亮は真っ直ぐに雪を見つめながら、飾りのない言葉を投げ掛ける。

「淳は淳だ。アイツは変わんねぇ」



「これからどうして行くのか、全てはお前の選択次第だよ」



目を逸らしても、考えないようにしても、真実は依然としてそこに在る。

そのことを指し示す亮の言葉が、雪の心を真っ直ぐに弾いた。



「分かってます‥」







亮はフンと息を吐くと、急にこんな話を始める。

「つーかよ!マジ最後の質問すんぞ!正直に答えろよ?!」



「どう見ても淳よりオレのがイケメンだろ?マジでリアルに答えろ!」

「‥‥‥」



亮はそう言ってイケメンポーズをキメた。

突然のその話題に、雪はポカンと口を開ける。

「どーだ?そーだろ?」



それはいつもの亮だった。自信満々で、少し図々しくて。

思わず雪は笑顔になる。

「はい!イケメンです!」







亮は雪のその顔を見て、穏やかに微笑んだ。

雪の笑顔、それこそが、亮が一番大切にしていたものだった。



宝物をそっと仕舞うように、亮は雪から目を外す。

そして呟くように、自分自身に言い聞かせるように亮はこう言った。

「確かに全てに嫌気が差したこともあったよ。

けどよ、今度こそ逃げるわけじゃねーんだ」








もうどこへ行ったって、きっとちゃんと生きて行ける。

喜びにも似たその気持ちが、今亮の胸を満たしていた。

「つーわけでイケメン河村氏はマジでもう行くぜ!」



「元気でな」







そう言って亮は歩き出した。

堪らず雪は声を掛ける。

「河村氏!どこへ行ったとしても、きっと上手くやっていけますから!」



「当然だろ」



片手を上げてそれに応える亮。

彼は振り返ることなく、最後にこう打ち明けた。

「ダメージ、凛として生きろよ」



「お前に出会えて良かった」


















遠ざかる背中と共に、記憶は急速に遡って行く。


初めて彼と出会った、数ヶ月前の春の日に。





「あ」







突然現れた、河村亮という男。

なぜ雪の前に現れたのか、その素性もその真意も何もかも分からなかった。

けれど運命の糸は、意図せずして二人の関係を紡ぎ出す。


「お陰様でおもしれーモン見せてもらったぜ」



「お前は他の奴とは違う何かを秘めてると思ってたのに‥ガッカリだな」




思えば、第一印象も次に会った時の印象も最悪だった。





落とした携帯を取りに行った時だって、一筋縄では行かなくて。


「おーっと」




何度も飯を奢れと食い下がられて。


「だからって本当に訪ねてくる人がどこにいます?!」

「ここにいますけど。何か?」








夏休み、塾で思わぬ再会を果たした。

彼はいつだって、煮詰まった雪の悩みに簡単に答えを出す。

「お前はオレに向かって生意気な口利くし大胆不敵だし、随分と骨のある女だなと思ってたけど、

実は自分の意見もロクに言えない、自分で自分のメシも用意出来ねぇような小娘だったとはな」





そして次第に、知ることになった。

彼が歩んで来た道を。


「お前、Impromptuって知ってるか?」




彼の明るさを。





彼と居る時、素直で居られる自分自身を。


「これ!受け取っ‥」「あーもーうっせーな‥」



ガッ!



「くぅ〜!オレの鼻がぁぁ!」








そしていつも、助けてくれた。





道に迷いそうな時、そこに居てくれた。


「お前何してんの?」



「河村氏‥」




どれだけ心強かっただろう。





本当はとても脆いものを、胸の中に秘めていたけれど。






「わ!本当にエプロンしてる!似合ってるし!」「ユニホームは必須だろ?」




途切れなかった、彼との縁。





次第に見せる、色々な顔。





限り在る関わりの中で彼はいつも、傍で見守ってくれていた。





踏み込むでもなく、見放すでもなく。









彼の奏でる少しぎこちない旋律が、心の襞を震わせる。


「一緒に勉強しても‥構わねぇかな」








あの時鮮明に見えた彼の気持ち。


今雪ははっきりと思う。


彼に出会えてよかった、と。








「私もです」



雪がそう言葉を返す。



けれどもう、そこに亮の姿は無かった。







俯くと気持ちが零れそうで、空を仰いだ。

そこにはまん丸い満月が、彼の旅立ちを照らしていた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<河村亮>でした。

遂にこの時が‥うぐっ‥来て‥うぐっ‥しまいましたね‥

亮さんが行ってしまった‥ああ〜〜〜(言葉にならない)

回想シーンが一段としんみりさせてくれました。

そして最後の空に満月が浮かんでいる描写が感慨深い。

今まで亮さんが見上げて来た空って、曇っていて星も月もないものばかりだったじゃないですか。

それが最後にまん丸い月が出ていて‥これから彼の歩む道が明るいものであることを暗示しているようで、

ジーンとしました


けど‥

せめて雪に思いを伝えてほしかったなぁ‥ピアノでの晴れ姿見たかったなぁ‥

なんだかしばらく亮さんロスになりそうです‥はぁ〜‥


次回は<穴>です。


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虫の知らせ

2017-03-04 01:00:00 | 雪3年4部(消えた兎〜河村亮)


さわさわとした胸騒ぎを抱えながら、雪は一人帰路についた。

しんとした夜道をゆっくりと歩く。

胸騒ぎは、消えない。









立ち尽くす彼の、瞳の中に答えを探すその眼差しが、雪の心を微かに揺らす。

まだ何も答えは用意出来ていないというのに。






瞬きをすると、そこに居たはずの彼は消えた。

胸の中の重たい気持ちが、雪に幻影を見せる。

「‥‥‥‥」






彼に対してなんと言ったら良いのか分からないくせに、いざ居ないと分かると落胆した。

身勝手な矛盾を持て余しながら、雪は無言で家に入る。







真夜中の静寂。

雪は布団に横になりながらも、まるで寝付けなくて何度も寝返りを打った。



胸のざわめきは、どんどん大きくなる。







ふと鼓膜の裏で、ピアノの音が聴こえた気がした。

雪は布団から飛び起きると、身支度をして家を出る。



不意に胸が騒いで、店まで走った。







まるで虫の知らせだった。

その胸騒ぎに突き動かされるかのように、雪は駆け足で店へと向かう。






「!」



そこには「今週いっぱい休業」と書かれた張り紙を眺める、亮の姿があった。

「いっそこれで良かったんだ。未練無く出て行ける」



「違いねぇ」



亮はそう言って荷物を背負い直した。

今にも背を向けて去って行こうとする亮を見て、雪の目が見開かれる。



「河村氏っ!!」



雪は彼の名を思い切り叫んだ。

亮は足を止め、彼女の方を向くー‥。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<虫の知らせ>でした。

短い記事になってしまってすいません!

雪ちゃんまぼろし見すぎよぉ〜〜!どんだけ〜〜!

そして次回、ううううう‥

タイトルは、<河村亮>です。長いですよ!


そして今日3月4日は、河村静香氏の誕生日です〜

おめでとう静香



色々乗り越えて自立するんだよ!頑張るんだよ‥!(親心)


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音に乗せて

2017-03-02 01:00:00 | 雪3年4部(消えた兎〜河村亮)


大学を出た二人は地下鉄に乗った。

座席に座った雪の前に亮が立つ。

「店、休業中だって?」

「はい。お父さんの腰が良くないので、療養の為にも‥」



雪はずっと気になっていたことを聞いてみた。

「河村氏、高卒認定検定の方は‥」



「心配すんな。勉強は続けてるからよ」



亮がそう答え、雪は安心する。

そうして二人は、雪の叔父が経営するカフェへと向かった。



カフェの横にあるその倉庫には、電子ピアノが置いてある。

それを弾くきっかけをくれたのは、雪だった。






ゆっくりと音を出す。

雪は出入り口の辺りで立ち止まりながら、その調べに耳を澄ませた。






繊細ながらも音は色づき、いつしか亮の顔に笑顔が浮かんでいた。

弾むようなメロディが、彼の心まで躍らせる。















雪はずっと、亮の横顔を見ながらピアノを聴いていた。

普段の彼とは少し違う、シリアスな顔をした彼の横顔を。






やがて曲は終わり、音の余韻が去ると亮は真っ直ぐに両手を上に上げた。



パッと雪の方を見る。



「拍手は?」



その言葉にハッとした雪は、少しぎこちないながらも大きな拍手を彼に送った。

「わぁっ!本当に凄かったです。カンペキ!すばらしい!」

「それなりに完奏出来ただろ?」



「コンクールには出れずじまいだったけど、悲しむことなんて何もねぇっつーことだ」



力強くそう言う亮を見て、雪は穏やかに微笑んだ。

何かに焦れて苛立ちを抱えていたかつての亮は、もういない。



「実はよ、今日はこれを見せたかったんだ」



「はい、本当にすごかったです。何ていう曲なんですか?」



そう質問する雪に向かって、亮はニカッと笑ってこう言った。

「教えてやんねぇ」



「もう!何なんですか!からかって!」



亮に向かって怒る雪。

もう何度、この顔を見ただろう。もう何度、こんなやり取りを交わしただろう。

「今日お前に会ったら、伝えたい言葉が沢山あると思ってた」



「けど、違ったな。これで十分だ」



想いは全て、音に乗せた。

そして最後はこの言葉で、彼女へ伝える全てが終わる。

「ありがとな」







亮が口にする「ありがとう」を受け取りながら、雪は自分の胸がさわさわと騒ぐのを感じていた。

けれどその正体を確認する前に、亮は雪に背を向ける。

「今日のところはこの辺で」



「じゃーな」



亮はそう言って倉庫から出ると、

店の出入り口に居た雪の叔父と挨拶を交わした。



二言三言。

そしてここから去って行く。







雪はそんな亮のことを、その場に立ち尽くしたまま見送った。

胸のざわめきは、だんだんと強くなって行く‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<音に乗せて>でした。

亮さんは何を弾いたんだろうなぁ‥。シューベルトか、それともショパンか‥。

個人的にはもう一度「Maybe」弾いてほしかったなぁ‥

Yiruma, (이루마) - May Be


次回は<虫の知らせ>です。

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刹那の大学生

2017-02-28 01:00:00 | 雪3年4部(消えた兎〜河村亮)


翌日、雪の携帯にメールが届く。

(聡美)味趣連、集合しようよ〜 (蓮)姉ちゃん、キンカンと一緒に‥

(萌菜)一度店に遊びに来てよ (カテキョ先の子)先生、私です〜。今日の勉強の時間‥



自分を取り巻く彼女達のメールを見て、雪は穏やかに微笑んだ。

擦り減った神経が少しだけ回復するような、優しい気持ちになる。



そんな中、財務学会からも一通メールが届いていた。

ゼミの時間が変更になりました



「もぉー何よいきなり〜」



ゼミは直前にキャンセルになったようだ。

雪は「チェッ」と口にして歩き出す。







冬休み中の大学。知っている人は誰も居ない。

雪は一人その中を歩いて行く。







どこを目指すわけでもなく、ただぼんやりと歩いていた。

すると。






先輩そっくりの後ろ姿に目が止まった。

勿論それは、人違いだったけれど。



「‥‥‥」



胸の中がさわさわと騒いだ。

その場に立ち止まった雪に、後ろから声が掛かる。

「ダメージ!」



聞き覚えのあるその声、そしてその呼び名。

振り返ったその先に、彼の姿があった。



「よぉ」



河村亮は被っていたキャップのつばを上に上げると、ニッと笑った。

雪は突然現れた彼に驚き、思わず目を丸くする。

「河村氏」「おいおい」



「冬休みなのにご登校ってか。大学生ってのはそんなもんなんか?」



亮はそう言いながら雪の方へ近付いた。

雪は何を言うべきか分からずに、ただそんな亮を見つめている。



亮は黙り込んだ雪を見て、ニヤリと笑った。

そして顔を上げながら、こんなお願い事を口にしたのだった。

「なぁダメージ、ちょっと学校案内してくれよ」









二人が並んでキャンパス内を歩き出した時、頭を掻きながら亮が言った。

「さっき教授に挨拶して来たんだ」



最近手の調子が鈍ることが多くて、結局コンクールにも出れずじまいでな



志村教授に向って亮は、何度も頭を下げた。ごめんなさいと謝りながら。

けれど今まであれほど亮の頭を叩き怒鳴っていた教授も、今回は何も言わなかった。

ただ淋しげに眉を下げ、そっと亮に自分の名刺を渡しただけだ。いつでも連絡して来てくれと言い残しながら。



そのことに亮は言及しないまま、雪には前向きな言葉を伝える。

まぁ、大したことじゃねぇよ



コンクールは沢山あるしな



亮が音大を出て行くまで、志村教授はずっと亮を見送ってその場に立っていた。

けれど亮は振り返らずに、ただ前を向いて進んで行く。

そんでふと周りの建物見回してみて、思ったんだ



あぁ、ダメージの大学ってこんなにでかかったっけって



これが大学なんだなって







亮が紡ぐその言葉を、雪は彼の隣でただ黙って聞いている。

考えてみたら、音大と図書館以外行ったことねぇなと思って









まともに見てみたくなったんだよ






大学ってやつを









一度、大学生のフリして遊んでみたかったんだ。



亮は刹那の大学生として、雪と共に構内を歩いた。

学歴も過去も今までのわだかまりも全てを忘れて、ただ二人で笑い合いながらー‥。








空に夕焼けが広がる頃、二人は大学内のホールに居た。

ステージに置かれたグランドピアノの前で、亮は立ち止まる。



「‥‥‥」



その鍵盤に指を伸ばすのを、雪は黙って遠くから見つめていた。






亮は伸ばしたその手を、

鍵盤ではなく被っていたキャップのつばに伸ばし、上を向く。



そのステージの上から見る景色を、亮は暫く眺めていた。

胸の中に懐かしさが染み入ると、肌に照明の熱さが蘇り、鼓膜の奥で豪雨のような拍手が残響する‥。








聴こえていたはずの拍手は、やがて消えた。

魔法はいつしか解けて、再び現実が目の前に広がっている。

そのまま亮は雪と共に、大学を去った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<刹那の大学生>でした。

亮さん、髪切りましたね!初期のM字を思い出させる髪型に‥。

ていうかコンクール出ないというのがすごくショックでした。。亮さんにステージに立ってほしかったよ‥

次回は<音に乗せて>です。

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彼女の中の静寂

2017-02-26 01:00:00 | 雪3年4部(消えた兎〜河村亮)


財務学会の講義を聴きながら、次第に雪の視線は窓の外に注がれて行った。

どこかぼんやりとした意識の中で、昨日の出来事について雪はこう思う。

正直な所、何とも思わない。



昔はあんなに敏感だったくせに、今はもう本当に何とも思わなくて



窓の外の景色も、昨日の先輩の後ろ姿も、全ては心の表面を滑って行くだけだ。

先輩に対して腹が立つとかそんな感情も湧かなかった。

今も変わらず先輩のことは好きだと思う。




けど、何か反応を見せようという気になれない。

ただ‥




知らなかった自身の一面を知った。



雪の脳裏に、様々な場面が再び蘇って来た。

先輩の手に縋り付く自分と、昔祖母の手を振り払ってしまった自分が。

どうしてああいう行動をしたのかということも。



そして、先輩はそのことを知っていた。



思い出したことがあった。

離れたその手を繋ぎ止めたその時、

彼は手に目を落としながら、どこか寂しそうな顔をしていた。



そんな表情も一瞬で、

笑顔で隠されてしまったけれど。







握り締めた手。

彼は何を思い、その手を握っていたんだろう。



雪は地下鉄の揺れに身を任せながら、擦り減った神経と疲れた身体を持て余している。

混乱してる。

周りの人達の為じゃなく、自分自身を探す為の休息が必要だと感じた








携帯を取り出して、履歴ページを開いてみる。

そこには「先輩 不在着信32」「河村静香 不在着信50」という表示があった。



しかしどうしても掛け直す気にはなれない。

今日は連絡とか何もしないで休みたい



掛け直すには意志が必要で、向き合うには勇気が必要だった。

瞼の裏に彼らが浮かぶ。

三人が消えた私の世界は












静かだ




瞼を閉じると彼らは居なくなった。

雪の中にはただ静寂だけが残り、それは彼女に安らぎを与えていた‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<彼女の中の静寂>でした。

短めの記事で失礼しました!

さて今回の雪のモノローグ‥。最後の「静かだ」は否応なしにこの場面を思い出しますね。


<彼の中の静寂>より

淳化は止まらないのか‥。

そして手を離すことが出来ないという自分を客観視出来た時、雪にどんな変化が訪れるのかが楽しみです。

次回は<刹那の大学生>です。

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