Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

布石

2014-06-30 01:00:00 | 雪3年3部(偽物への警告~疎いライオン)
めでたく蓮と恵がカップルになったことを、

雪は自宅で勉強をしている時に知らされた。付き合うことになったと、メールが来たのだ。



まさか二人が‥と雪は思ったが、とりあえずお祝いメールを送っておいた。

小さい頃から喧嘩ばかりしていた二人が付き合うなんて、なんだか変な感じがする‥。



雪はメールを打ち終えてから、額の汗を拭って深い息を吐いた。

毎日色々なことがありすぎて、勉強に集中することが難しくなっている。

横山のことで巻き込んでしまっている聡美や太一にも、申し訳ない思いでいっぱいだ。



雪はパラパラとノートをめくりながら、それでも今日は何事も無く過ごすことが出来たと思い、ホッとする。

明日も平穏な一日であって欲しいと、静かに神に祈る。



雪は深く溜息を吐いた。視線の先には携帯電話がある。

先輩からの連絡は無い。携帯は震えも鳴りもせず、ただ沈黙している。



雪はどこか胸の内が騒ぐのを感じた。

静けさは、ギリギリの均衡を際立たせる



例えるならば、砂浜に築いた砂の城を前にしている気分だった。

波が来る前のほんの僅かな時間しか楽しめない、儚い砂の城‥。


明日何が起こるか、それは誰にも分からない。

大きな運命の歯車に私達は、為す術もなく回されるだけなのだ‥。




翌日、朝早くから赤山蓮は恵とA大の構内に居た。

こんなゴキゲンな笑顔を浮かべながら。



そのままニコニコして隣を歩く彼に、恵は言う。

「も~!何も朝から来なくたって‥」



少し困ったように口にする恵にも、蓮は「一緒に登校するのも楽しいっしょ」と言って嬉しそうだった。

地獄鉄‥ラッシュアワーの人混みで溢れかえる地獄のような地下鉄だって、二人一緒ならハッピーだと。

そのまま暫し二人が会話を重ねていると、後方から不意に名前を呼ばれた。

「蓮君?」



二人が振り返ると、彼は笑顔を浮かべて挨拶を口にした。

「やぁ、おはよう」



青田淳だった。

蓮は淳の顔を見るやいなやピッと姿勢を正し、深く頭を下げて挨拶した。

「わっ!淳さん!」 「久しぶりだね。大学に遊びに来たの?」

「あ、ハイッ!おはようございますっ!」



その超低姿勢の蓮に、恵は幾分呆れ顔だ。

今日はテストですか、と蓮が淳に質問すると、淳はレポートを出しに来たと言って微笑んだ。

明日はテストがあるよと続けて口にした淳に、蓮はファイティンと言ってエールを送る。



淳は蓮の隣に居る恵に視線を移すと、ニッコリと笑って挨拶した。

すると意識しまくりの蓮は、ビクッと身体を強張らす。



恵はそんな蓮に肘鉄砲を食らわすと、同じく笑顔で挨拶を返した。

二人のそんなやり取りを前にして、淳は不思議そうな表情だ。



気まずい思いでその場に佇む蓮の前で、暫し淳と恵は歓談した。

「君ら二人、幼馴染みなんだよね。朝から一緒に登校かぁ」 「はい、そうなんです。雪ねぇと一緒に小さい頃から‥」



しばし俯いていた蓮だが、決意を固めるとバッと顔を上げ、淳に向かって力強く宣言した。

「俺ら、付き合ってるんです!」



いきなりそう口にした蓮に、恵はビックリして息を飲んだ。淳も目を丸くする。

「昨日からっす!」「えっ本当に?」「マジっすよ!あれ?姉ちゃんから聞いてないっすか?」



その蓮からの問いに、暫し淳は固まったが、



すぐに笑顔を浮かべて口を開いた。

「朝から大ニュースだね」



淳は二人に祝いの言葉を述べた。お似合いだよ、と。

蓮と恵が礼を言って頭を下げると淳は頷き、授業があるからそろそろ行くよと別れの挨拶を口にする。

「そうだ。お祝いに今度ご馳走するよ。連絡してくれな」



その淳の提案に、蓮はバンザイをして喜んだ。

社交辞令じゃないっすよね?!と口にする蓮に、笑顔で首を横に振る淳。



そして彼は教室へと向かって歩いて行った。

淳の後ろ姿が小さくなるのを見届けてから、蓮はガッツポーズで口を開く。

「それじゃあ奢られようじゃね~の~!悩んだ分食べて取り返してやるぅ!」



悩んだといっても一日じゃないか‥。

恵は呆れながらそう返し、いい加減にしてと言って蓮をポカポカ叩いた。



カップルになったとはいえ、二人の雰囲気は今までと変わらない‥。





清水香織は、鼻歌を歌いながら構内を歩いていた。

テストを受けに行く為、教室へと向かう。



すると視線の先に、見慣れた後ろ姿があった。青田先輩である。

おそらく彼も自分と向かう方向は同じだろう。香織はオロオロし始めた。

で、出来るだけ足音を立てないように‥抜き足差し足‥



忍び足‥と心の中で思うより先に、彼は香織に気がついた。

心臓がドキリと跳ねる。



香織がうろたえていると、彼は行く先を指差して口を開いた。

「あ、同じ授業だよね?」



香織はバッグの持ち手をギュッと握り締めながら、二、三歩後ずさりをし、口を開いた。

「あ‥あ‥あ‥私はちょっと‥コンビニに‥」



そう小さく口にしてから、香織は逃げるように反対方向へ駆けて行った。

「え?そっちには‥」



淳は香織に声を掛けたが、彼女はそれを聞くことなく行ってしまった。

一度も淳の方を振り向くこと無く。



淳は一人で口角を歪め、嗤いながら、ポツリとその言葉の続きを呟いた。

「コンビニなんて無いけど‥」




上々だった。

今日の清水香織の反応は、先日彼女に下した警告が生きている証拠だ。



そして先ほど、新たに布石を打っておいた。

蓮と恵が付き合うことになったという、予想外だが好都合な事態が彼を動かす‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<布石>でした。

この先輩のコート‥。



バー◯リー設定ですかね‥?

なんか色合いが‥ますます彼をおじさんにさせる‥orz


次回は<疎ましいライオン>です。


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カップル誕生

2014-06-29 01:00:00 | 雪3年3部(偽物への警告~疎いライオン)
赤山蓮は、日が沈んでから外に出た。

しかしその表情は暗く、蓮は深く息を吐きながら頭をぐしゃぐしゃと掻く。



昨日目にした絵が頭から離れない。

恵のスケッチブックに詳細に描かれた、姉の彼氏の絵‥。






蓮は溜息を吐きながら、マンションの玄関前の階段を下りた。

するとそこに、腕組みした彼女が待ち構えている。

「今日は出て来たね?」



「昨日はシカトだったけど」



あのカフェでの一件以来、蓮はあからさまに恵を避けていた。昨日は恵の呼び出しがかかっても、彼はそれをシカトした。

しかしさすがに今日は無視出来なかったらしく、蓮は気まずい気持ちを押して出てきたのだった。

恵から目を逸らしながら頬を掻く蓮に、恵は正面からぶつかって行く。

「蓮、本当にどうしちゃったの?あたしが雪ねぇの彼の絵を描いてたからって、

なんでこんな風にぎくしゃくするの?」




蓮は目の前の恵から、唇を噛んで顔を逸らした。

心が揺れて、紡ぐ言葉が見つからない。



恵は蓮が考えていることを推測して、怒ったような表情で彼を見つめた。

後ろめたいことなど無いと、恵自身が一番良く分かっていた。



恵は沈黙する蓮に構わず、大きな声で自分の気持ちを口にした。

「そうよ!その通りよ!あの先輩を初めて見た時、めちゃめちゃカッコ良いと思ったよ!」



「けど芸能人に対して思うようにあの先輩の顔が好きだっただけで、

雪ねぇの彼氏に対してそういう感情抱くわけないでしょ?!あたしは雪ねぇに対して顔向け出来ないことをしたつもりはない!」




恵は蓮が、”雪ねぇの彼氏”に気があると誤解していることが許せなかった。

だから正面切って彼の目を見て、ハッキリと今本当の気持ちを口にしたのだ。

しかし蓮は、まだ彼女を信じられなかった。というよりも、そのことよりも気になっていることが蓮を憂鬱にさせていた。

「顔が気に入ったって‥それでもずっと描き続けてるってことは、

気があるってことじゃんか‥」




蓮は、恵が姉の彼氏‥もとい青田淳に気があることの方がショックだった。

彼の絵を描き、手元にずっと持っていることが、何よりもショックだったのだ。

恵は蓮の言葉とその態度に、少し苛立って言葉を続けた。

「違うってば!てかどうして蓮がこんなに不機嫌になるの?意味分かんないよ!」



恵はまだ彼の本心には気がつかない。

互いが持っている少し内容の違う誤解が、掛け違えたボタンのように噛み合わずぎくしゃくする。



そしてその恵の言葉を最後に、二人の間には沈黙が落ちた。

暫し立ち尽くした蓮は、彼女と目を合わせぬまま静かにこう口にする。

「てかさ、お前は俺が何でこんなに怒ってんのか分かんないだろ?

俺のことなんて何とも思ってないんだから」




その蓮の告白に、恵は目を見開いた。

彼の心を悩ませている問題が、今ようやく理解出来たのだ。



そう言ったきり「もう帰る」と、項垂れたまま建物の中へ戻ろうとする蓮だったが、

恵は彼の背中に向けて力いっぱいスケッチブックを投げつけた。



恵は怒ったように彼に背を向け、階段を下りながら振り返ってこう口にした。

「人の絵を勝手に見るんなら、最後までちゃんと見れば?!」



そのまま足早に去る恵の後ろ姿を目で追いながら、蓮は溜息を吐きつつスケッチブックを開いた。

そこにはやはり青田淳の絵が描かれている。

「だからこんなん見せられてどうしろって‥」

 

パラッ、と次のページを捲ると、

静かに微笑む青田淳の絵がまた描かれていた。



しかし次のページを捲って目に入って来たのは、

青田淳のようで青田淳でない人物だった。



そしてそのページ全体に視線を走らせた蓮は、はっと息を飲んだ。

そこに描かれている人物はまさに、自分だったのだ。



それは、恵の心の中を写し取った気ままなグラフィティーだった。

そして今その中心で微笑んでいるのは、他でもない自分なのだー‥。





蓮は走った。

スケッチブックを持ったまま、彼女が去って行った方向へ全速力で。

「キーンカーン!!」



恵の後ろ姿を見つけた蓮は大きな声でその愛称を呼ぶと、息を切らせて彼女に駆け寄った。

嬉しくて堪らないという表情で、スケッチブックを自分のその顔の横で翳す。

「この絵俺だろ?!俺だよね?!俺じゃん!!」



分かりやすくテンションの上がった蓮を前にして、

恵は無言でそんな彼をじっと見ていたが、やがてその手を軽く振り払ってこう言った。

「知らない!好きなように思ってれば?!」



フン、と言ってそのまま背を向ける恵の後ろで、蓮のテンションは更に上昇した。

この絵が自分であることを否定しない彼女の心の中心に、今まさに自分が居るのだ‥!



蓮は恵に駆け寄ると、彼女の周りをくるくると踊るように舞いながら話し掛けた。

「なぁなぁ!俺明日一緒に大学行ってもいい?試験期間だけどさ」



何度も返事を促す蓮に、恵は冷静な態度で一言口にした。

「いいよ」



蓮は心を踊らせながら、もう一度恵に確認する。

「マジ? マジでいいの?」



恵は少し微笑みながら、再びこう口にする。

「うん。いいよ」



いい、には「好い」という意味もある。

蓮は恵の口にした言葉の中にそのニュアンスを汲み取って、ガッツポーズで喜びに震えた。



そして二人は肩を並べながら、秋の夜道をゆっくりと歩いた。

蓮は未来の約束を次々と口にし、恵はそれに笑顔で頷く。

「そんで晩飯も一緒に食おうな!お前の好きなもん食いにいこ!」

「そうだね」

「試験終わったら遊園地行こうぜ。それから映画見たいのあんだ。一緒に行こ?」

「うん」



やむを得ない事情から、(仮)のカップルだった恵と蓮は、今日晴れて正式なカップルとなった。

二人の間を阻んでいた誤解も括弧も消え去って、二人は互いに笑顔を浮かべ共に歩く。


これから先に楽しいことが沢山待ち受けていると思うと、蓮の心はウキウキと踊るようだった‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<カップル誕生>でした。

(仮)が外れましたね~^^おめでとう蓮と恵!


そして今回の肝となるここ。



恵は「チョアヨ」と言っています。

この「チョアヨ」は「良い、好き」という意味で、ここではWミーニングになっています。

蓮の提案に「良いです」という意味と、「好きよ」という意味ですね。

記事では直訳のままにしましたが、意訳するとこんな感じだと思います↓

・・・・・・・・・・・・・・

蓮は恵に駆け寄ると、彼女の周りをくるくると踊るように舞いながら話し掛けた。

「なぁなぁ!俺明日一緒に大学行ってもいい?試験期間だけどさ。

一緒に登校とか、お前楽しくって好きだろ?」




何度も返事を促す蓮に、恵は冷静な態度で一言口にした。

「うん、好きよ」



蓮は心を踊らせながら、もう一度恵に確認する。

「マジ? マジで好き?」



恵は少し微笑みながら、再びこう口にする。

「うん。好きだよ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やはり「好き」という言葉が出ると、その後の蓮のガッツポーズの喜びがより伝わってくる気がしますよね。

皆様はどちらがお好きですか~^^


次回は<布石>です。


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雪先生の提案

2014-06-28 01:00:00 | 雪3年3部(偽物への警告~疎いライオン)
河村亮は一人、モジモジと居心地悪そうに佇んでいた。

ここはA大学の図書館前。



亮はA大生ではないが、雪にお願いして図書館に入れるよう取り計らってもらっているのだった。

雪は関係者と暫し交渉を重ねた後、亮に向かって手招きした。どうやら中に入れてもらえるようだ。

 

亮はホッと息を吐いて、雪の後に続いて図書館の入り口をくぐった。

二人は手頃な場所を見つけて着席し、各々の作業に取り掛かる。



今日で中間考査も三日目。この日は試験があるわけでは無かったが、雪は勉強の為に登校して来たのだった。

しかしそれよりも、隣に座る亮は一体何をしているのだろうか‥?

 

彼が棚から取ってきた本を横目で盗み見てみると、

ニュープライム、国語辞典‥。どうやら何か文章を書いているらしい。

「何してるんです?」



周りに迷惑を掛けぬようこっそりとそう口にした雪だったが、亮はビックリしてヒッと息を飲んだ。

「い、いやなんでもな‥」



笑顔で誤魔化そうとする亮がこちらを向いた瞬間、雪はパッとそれを取り上げた。

亮は焦ってそれを取り返そうとするが、雪は図書館に亮を通してあげた恩を盾に返さなかった。

「一体何‥」



そして目にしたその紙には、ぎっしりと文字が書き込まれていた。

一番上に、”反省文 河村亮”と書かれている。



志村明秀教授様‥

ごめんなさい。全部オレが悪かったんです。勝手に休んですいませんでした。

そして病院は本当にさぼらないのです。でも生計を立ててる中で、たまにはそんなこともあると思います。

また、頑張って失いというのは正直ちょっと大げさじゃないですか。

オレすげえ頑張ってます。一度見に来てほしいです。つみもないのに誤解されてくやしいです。

とにかく‥これからはもっとサボって、隊惰にはしません。

オレはピアノを弾くとき、胸のどきめきがいっぱいになって、気分が超マジで良いです。

こんなオレがマジメじゃないなんて、道行く犬も笑うようなこと(*)です。

これからはもっと頑張ってリハビリして、絶対早くってみせます。

最後に、教えてくれていつも感謝してます。いやマジで。



(*下線部は誤字の箇所です)(*「道行く犬も笑う」=とんでもないナンセンスという意味。韓国の諺だそうです)


ざっと文章全体に目を通した雪は、目を丸くした。

その文は礼儀もへったくれも無く、とても26才の成人男性が書いたとは思えないシロモノだったのである。



亮は溜息を吐きながら、反省文を書かなくてはならなくなった顛末を話し始めた。

「いや~前に教授が風邪引いて来なかった時、オレもちょっとサボっちって‥。

んで、反省文を書いてこいって言うわけよ。そんで超イカしてる文書いて持ってったのに、殴られて追い出されてよぉ!

高校生の時以来、3行以上の文なんて書いたことないオレだぜ?」




亮はブツクサと愚痴るようにその顛末を話した。そしてこの反省文を修正して持っていくまで、

ピアノ室を使わせてやらないと教授から言い渡されているらしい。



何で亮がこれを見せたがらなかったのか、雪は納得しながら頭を抱えた。

とにかく修正しなければならない。敬語や文章の構成の修正は二の次にして、まずは誤字を直すのが先決だ。

「ここ‥ここをちょっと見て下さい‥」



雪が修正箇所を指差すと、亮は「直してくれんのか?」と言って嬉しそうに飛びついた。

雪先生の授業の、始まり始まりである。

まず雪は、「そして病院は本当にさぼらないのです」という箇所を指差して言った。

「まずここ。この部分が矛盾してるんじゃないですか?」



結局病院をサボったのかサボらなかったのか分からないし、助詞との繋ぎも悪い。

雪は亮が自分からその間違いに気づいてくれることを期待してそう質問してみたが、亮はキョトンとした顔で聞いてきた。

「”矛盾”って何だ?」






‥亮は間違った箇所はおろか、”矛盾”という言葉自体が分からないようだった‥。

雪は「それは後で説明します‥」と小さく返し、数々の訂正箇所を指摘して行った。

(以下、韓国語を交えて説明します。

「‥そして胸のときめきという意味の”ソルレイム”という所‥。これは間違いですね。”ソルレム”ですよ」

「え?でもソルレイムってアイスあんじゃん」「それとこれとは全くの別物!



とにかく亮は文字を書き慣れないようで、音を文字に起こす際に誤ってしまうようだった。

スペルミスを連発し、最後は問題箇所「これからはもっとサボって、隊惰にはしません」を雪にボロクソに言われた‥



亮はワケが分からなくなり、思わずその場で大きな声を上げる。

「ぐわあああ!頭が爆発するぅぅ!!」



静かな図書館に、亮の叫びがこだました。(雪は内心「うるさい」と思って顔を顰める)

そして亮は雪の方を睨むと、グチグチと彼女の振る舞いに不満を垂れた。

「頭いてーじゃねーかオイ

お前はA大生でオレが高校中退だからって、オレのこと見下してんじゃねーだろーな?あぁ?!」




「またこの人は‥こんなの中学生でも間違えませんよ?」

雪がそう言い返すと、亮は更に言葉を続けて来た。

「おいダメージヘアー、何度も悲しくなるようなこと言うんじゃねーよ。

ただ直せばいーんだよただ直せば。嫌なのか、あぁ?」




少し教えてあげたと思いきやこの態度‥。雪は彼から顔を逸らしながら一人青筋を立てた。

すると不意に、携帯が震えた。聡美からだった。

後方5時方向にイタチ発見。写真を撮る



また始まった‥と呟きながら雪はそのメールに視線を落とした。

亮もそのメールを覗き込んだ後、後方5時方向に一体何があるのかと振り返る。

「何だそれ?戦争ごっこか?」「あっ駄目!」



雪は咄嗟に亮の腕を引き、再び前を向くように促した。

雪は前を向いて座った姿勢のまま、口だけ動かして説明をする。

「河村氏が足で蹴った、この前のアイツです。ずっと動向を追ってこっそり証拠を集めてるんです。

知らないフリをして下さい」




亮は納得出来ないながらも、とりあえず雪の指示に従ってそのまま沈黙を保った。

静かに座る二人の後ろ姿を見て、横山は顔を顰めて舌打ちする。

くっそ‥チャンスだと思ったのに太一と一緒かよ。出直すか‥

 

若干の勘違いをした横山はそのまま図書館を去り、それを確認した聡美は雪にメールを送る。

行ったよ の文字を見て、ホッとしたような表情を浮かべる雪。



亮はそんな雪の隣で、口を噤んだまま一人思案していた。俯いた雪の方に視線を流す。

心配してた静香は大人しくて、マジでイッちまってる奴がまたコイツを追い回してるってのか?



胸の中に、ドス黒い苛立ちが泡立ち始める。

しかしそんな亮の隣で雪は、横山のことではなく亮のことを考えていた。

ピアノの大きなコンクールには今後出ないって言ってたし‥。河村氏は今25才くらい‥



何かを深く考え込んでいるように見える雪を前に、亮は心の中で強く思う。

捕まえりゃ、オレがギッタギタにしてやんのに‥



あの夏休みの日のようにまたあの男が雪を困らせるなら、再起不能になるまで痛めつけてやろうと亮は思った。

あの時はその拳を外してやったが、今度はもう逸らさないー‥。



熱い思いを噛み締めていた亮だったが、不意に雪が「河村氏、」と声を掛けてきた。

突然名前を呼ばれた亮はビックリ仰天し、「何だ?!後ろ見てねーぞ?!」と言って当惑する。



雪は激しいリアクションの亮を不可思議に思いながらも、先ほど考えていたことを彼に打ち明けてみた。

「あの河村氏、高卒認定試験を一度受けてみてはどうですか?」



突然の雪の提案に、亮は目を剥いた。

「えっ?」「実は前から家の両親も薦めていて‥ちょっと考えてみません?」 



亮は口をあんぐりと開けながら、いきなり提案されたその内容に驚愕した。

まさか雪が試験を受けてみないかと言っている相手が、この自分だなんて‥。

「はぁぁ??」



亮は自らを指差して、尚も驚愕の表情を浮かべた。

雪先生の提案は、亮が「高校卒業」の資格を手に入れてはどうかということだったー‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪先生の提案>でした。

今回はCitTさんに亮の反省文の訳を頂きました~!!ありがとうございました!!

多謝です、マジで。(亮風に)

そして亮さんの勘違いしていた「ソルレイム」



亮さんはこの商品名が「胸のときめき」だと思っていたわけですね‥。ぷぷぷ‥。



そして亮さん‥中のシャツの柄と色が変わってマジコーです(^^;)

  


次回は<カップル誕生>です。


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ブログ開設400日♪

2014-06-27 01:00:00 | Movie
本日6月27日、当ブログ「Trapped in me」開設400日目です~!

こうしてコンスタントに更新出来るのも、いつも応援して下さる皆様のお陰です。ありがとうございます


今回もムービー作成いたしました~。少し亮さん成分多めです^^

3部の不穏な空気を表現出来ていたら嬉しいです!

こちらからどうぞ!

このバンド最近すごく好きで‥。(Back numberというバンドです)

でもチートラに合うのはこの曲くらいでした

楽しんで行って下さい


いやはや月日が経つのは本当に早いですね。もう400日‥アップした記事の総数も400越えですか‥

そしてきっと500日を迎える頃には、本家は最終回を迎えてるんでしょうね‥うぅさみし!


それでも当ブログ、最後まで突っ走って行こうと思います

これからも応援お願い致しますー


明日からまた通常記事です。

<雪先生の提案>です





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目醒めた虎

2014-06-26 01:00:00 | 雪3年3部(偽物への警告~疎いライオン)


長い爪に、真っ赤なマニキュアが塗られて行く。

河村静香は歌を歌いながら、機嫌良く爪に息を吹きかけた。

「♪君が振り返れば 目が合うのかな♪心臓がBounce Bounce ドキドキが聞こえないか不安で ♪」



近年稀に見るそのゴキゲン加減に、姉を見つめる亮はあんぐりと口を開けた。

姉はまだノリノリでその歌を歌っている。



すると静香は顔だけ後ろに倒し、何見てんのよと言って顔を顰めた。

亮は気分の上がり下がりが激しい姉に文句を垂れたが、静香は「人の気持ちなんてそんなもんよ」と言って悪びれない。



出掛けに文句を垂れて私の気持ちを損なわないでと、静香は更に亮の背中に小言を重ねた。

それに追い立てられるように、青筋を立てた亮は玄関へと歩を進める。



亮はふと、静香の周りに目を留めた。見たことのないバッグや香水が並んでいる。

どっかでまたスポンサーでも捕まえたか?だからあんなゴキゲンなんだろうが‥



機嫌の良い静香を見て、少し胸騒ぎを感じる。

しかしそんな感情とは裏腹に、どこか安心している自分も居る。

ってことは、今のところは心配しないでいいってことか‥?



脳裏に、いつか静香がA大に訪れた時に見せたあの表情が浮かんで来た。



あの時のように危ない目をして、”淳の彼女”を攻撃した時に比べれば、

今の静香は幾分心配要らないような気がした。確証など何も無いのだが‥。


亮は一つ息を吐くと、玄関のドアを大きな音を立てて出て行った。

静香はまだ歌を歌いながら、赤く塗った爪で携帯電話に手を伸ばす。



「♪初めて見た瞬間から君の姿が、僕の胸を高鳴らせてー‥♪ラルラララ‥」



新しいブランドバッグや洋服を手に入れ、ようやく虎は目醒めた。

そして狐の指示通り、早速狩りに取り掛かる。狙った獲物を仕留めるために、まずは一つ餌を撒く‥。




「ふあああ~」



カフェにて、横山翔は気の抜けた欠伸をした。

目の前に居る直美が「集中しなさい」と注意する。二人はここで試験勉強をしているのだ。



横山は直美から見えない角度に顔を向けると、チッと舌打ちをして顔を顰めた。

クッソ‥さっき赤山一人で出て行ったのに、運悪く捕まって‥



ようやく雪に話し掛けるチャンス到来と思った矢先、横山は直美に見つかり、

そのままこのカフェに連れて来られたというわけだった。横山は勉強に集中する直美に、苛立ちの込もった視線を送る。

てかコイツ最近更にウゼーんだけど‥。早くしねーとやぶ蛇だわ。どうにか体裁良く別れねーと‥



横山はこれ以上直美との付き合いを続ける気は毛頭無かったが、いざとなると踏み出せない状況が続いていた。

今も直美から笑顔を向けられると、咄嗟に笑顔を返してしまう‥。






そんな折、机の上に置かれた横山の携帯電話が鳴り、メールの受信を知らせた。

マナーにしていないことを直美からグチグチ言われつつ、横山はそのメールを開く。

お久しぶり



送信者は”偽青田”。

以前青田淳を追い詰めようと掛けたものの、別の人間が出たあの番号からだった。



メールの文面は更に続く。

この間は急に電話して来てビックリしたじゃん。

かけ直してなかったよね?




そのメールを目にするやいなや、横山は驚きのあまりガタッと椅子を鳴らした。

驚愕の表情で食い入るように携帯を見る横山に、直美が驚いて顔を向ける。



一体何事か、と言って直美は訝しげな視線を彼に送ったが、

横山は「懐かしいヤツから連絡があって」と、”お久しぶり”と書かれたメールを直美に見せてやり過ごした。



直美が納得して再び勉強に戻ったのを見届けた後、

横山は早る鼓動を抑えつつ”偽青田”にメールを打った。



何だお前は?一体誰だ?どうしていきなり連絡して来た?



横山が返事を待っていると、それはすぐに返って来た。

前に言ったじゃん。淳の彼女だってば



横山は高速で再び返事を返す。

それは赤山だろ。お前本当に誰なんだ?



また返信。

あたしが本当の彼女だってば。アンタ一体淳とどういう関係なの?



横山はその文面を見て暫し思案した。

初めて相手がこちらに、具体的な質問をして来たのだ。



横山は文を一文だけ打った。

別に。敵対関係



すると返信も一文だけ。

ん。そうだと思った



そしてそれ以降、”偽青田”からは続々とメールが送られて来た。

どこか哀しみを帯びた、横山を頼って来ているような口調だった。

だから連絡したの。他に女が出来たって話、詳しく知りたくて‥。

今回のこと、淳には心底失望したー‥


 

その内容を読んで、横山はこの先の道に光が灯るのを感じた。

しめしめと、心のままにニヤリと口角を歪める。

”偽青田”が味方に付けば、赤山に接近し青田を懲らしめる足掛かりになる‥。




しかしイタチは気づかなかった。

味方につけようとしている存在が、虎であるということを。

そしてその虎は今、狼の指示でイタチを狙っているということを‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<目醒めた虎>でした。

冒頭で静香が歌っているのはコチラ↓

Cho Yong Pil - Bounce (Full Audio)



かなり有名な歌だそうで、色々な歌手がカバーしているそうですね!

確かに爽やかなメロディーで聴きやすい!


そしてついに静香が動き始めましたね。

横山め、食われてしまえ!!


そしてそして~!明日6月27日で、当ブログ開設400日目です~

ですので明日はまた挨拶にさせて頂きます!

なんだかこの間開設1周年を祝って頂いたのに、またイレギュラー記事で申し訳ないですが

ではまた明日~


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