「週刊ダイヤモンド」10月16日号が、「電子書籍入門」を特集しています。60頁ほどの充実した内容。電子書籍には縁遠いひとでも、わたしのような初心者?にも、わかりよい入門編です。今日明日(10月16日17日)なら書店店頭に並んでいるはず。おすすめの1冊です。「パソコンを閉じて、本屋に行こう」。以下、印象に残った記載を紹介します。
まずさまざまな「電子書籍可読端末」機種を、整理分類しておきます。もともと利用されてきたのがPC。そしてマンガやケータイ小説が読まれた携帯電話。まずケータイは進化し、「アイフォン」などのスマートフォンは電話機ですが、立派な超小型携帯PCです。しかし若者にはいいが、眼力の低下した中高老年には小さな文字はきつい。
そして「板タブレット型携帯PC」の<アイパッド>など。「板型読書専用携帯端末」の<キンドル>タイプ。だいたいこのように分類できそうです。これらの機種を分類仲間分けして考えないと、これからのITの進む方向が見えなくなってしまう、そのように思います。
20年近くも電子書籍ビジネスにかかわって来た、ボイジャー社長の萩原正昭氏はこう語っています。
「電子書籍っていうと、すぐ見栄えのよいことをやるんです。めくったときのエフェクトとか音が出たり動画が出たり。紙ではできないことをやって、読者を驚かしてやろうとするんです。電子書籍ってちゃらちゃらした、表層的で移ろいやすいものです。でもこれはすぐにダメになってしまう。端末はすぐに新しくなったりするでしょう。そうなるとせっかく作った本は残らないんですよ。18年のあいだに何度もこうした経験をしましたよ。本当に情けなく、へたり込む、自己否定の経験でした」
また彼は、いまこそ電子出版のための環境は整った。出版社は原点に立ち返るべきであり、紙だ電子だなどと、こだわるのは滑稽である。
「本は誰でも読めるものでないといけません。規格、端末、ビューアなどで、読める本の制限があるいまの状況はおかしいですよね。しかし、すぐに規格の話が語られることはなくなって、世界で統一されるでしょう」。電子書籍のパイオニアであり、現在も先端を行く萩原氏の声は重い。
「 たった10分で紙の書籍ができるエスプレッソ・ブック・マシン EBM 」も紹介されています。三省堂書店が全国の店舗に年内設置する、オンデマンド印刷製本機です。電子書籍データに接続できれば、わずか10分で1冊の紙本が、眼前でできあがる。現在は米グーグルのデータベースにある200万点ほどの洋書のみが対象だが、おそらく来年の早いうちに、日本の本も数10万点が可能になるはずです。絶版品切れ書籍が製本された新本で入手できる、画期的な事件です。
EBM は1台1千万円ほどもする米オンデマンドブックス社の製品だが、全国各地の書店に同様の機種が導入されるに違いない。
先端メディアの世界で活躍する野田収一 LED BRAIN 社長は、もと書店員だった。リクルート社系ウェブ制作会社を経て、40歳で独立した起業家です。
彼は「昔から本が好きだった。古い世界である書店業界を経て、最先端のウェブの世界へ行き、いまは電子書籍に取り組んでいる。自分のなかでは、すべてがつながっている」
この特集の末尾で編集者はこう結んでいる。1冊の本が人生を変えることがある。そんな経験のないまま過ごすのは不幸だ。電子書籍が、そのきっかけを広げる存在になる可能性は十分にある。
<2010年10月16日>
まずさまざまな「電子書籍可読端末」機種を、整理分類しておきます。もともと利用されてきたのがPC。そしてマンガやケータイ小説が読まれた携帯電話。まずケータイは進化し、「アイフォン」などのスマートフォンは電話機ですが、立派な超小型携帯PCです。しかし若者にはいいが、眼力の低下した中高老年には小さな文字はきつい。
そして「板タブレット型携帯PC」の<アイパッド>など。「板型読書専用携帯端末」の<キンドル>タイプ。だいたいこのように分類できそうです。これらの機種を分類仲間分けして考えないと、これからのITの進む方向が見えなくなってしまう、そのように思います。
20年近くも電子書籍ビジネスにかかわって来た、ボイジャー社長の萩原正昭氏はこう語っています。
「電子書籍っていうと、すぐ見栄えのよいことをやるんです。めくったときのエフェクトとか音が出たり動画が出たり。紙ではできないことをやって、読者を驚かしてやろうとするんです。電子書籍ってちゃらちゃらした、表層的で移ろいやすいものです。でもこれはすぐにダメになってしまう。端末はすぐに新しくなったりするでしょう。そうなるとせっかく作った本は残らないんですよ。18年のあいだに何度もこうした経験をしましたよ。本当に情けなく、へたり込む、自己否定の経験でした」
また彼は、いまこそ電子出版のための環境は整った。出版社は原点に立ち返るべきであり、紙だ電子だなどと、こだわるのは滑稽である。
「本は誰でも読めるものでないといけません。規格、端末、ビューアなどで、読める本の制限があるいまの状況はおかしいですよね。しかし、すぐに規格の話が語られることはなくなって、世界で統一されるでしょう」。電子書籍のパイオニアであり、現在も先端を行く萩原氏の声は重い。
「 たった10分で紙の書籍ができるエスプレッソ・ブック・マシン EBM 」も紹介されています。三省堂書店が全国の店舗に年内設置する、オンデマンド印刷製本機です。電子書籍データに接続できれば、わずか10分で1冊の紙本が、眼前でできあがる。現在は米グーグルのデータベースにある200万点ほどの洋書のみが対象だが、おそらく来年の早いうちに、日本の本も数10万点が可能になるはずです。絶版品切れ書籍が製本された新本で入手できる、画期的な事件です。
EBM は1台1千万円ほどもする米オンデマンドブックス社の製品だが、全国各地の書店に同様の機種が導入されるに違いない。
先端メディアの世界で活躍する野田収一 LED BRAIN 社長は、もと書店員だった。リクルート社系ウェブ制作会社を経て、40歳で独立した起業家です。
彼は「昔から本が好きだった。古い世界である書店業界を経て、最先端のウェブの世界へ行き、いまは電子書籍に取り組んでいる。自分のなかでは、すべてがつながっている」
この特集の末尾で編集者はこう結んでいる。1冊の本が人生を変えることがある。そんな経験のないまま過ごすのは不幸だ。電子書籍が、そのきっかけを広げる存在になる可能性は十分にある。
<2010年10月16日>