中国在住の日本人で、いまいちばん注目されているのは加藤嘉一、若干26歳の青年のようです。北京大学在学中は、カリスマ留学生、スーパー留学生、現代の遣唐使とも称されました。弘法大師空海の1200年ぶりの再来でしょうか?
彼は静岡県伊豆の農家出身ですが、中学生のときに親が破産。つらい青春だったでしょうが公立高校卒業後、東大文科1類に合格した。しかし彼はそれを辞退し単身、北京大学に留学する。恵まれたボンボンでは、決してないのです。
北京大大学院を修了後、いまはウェブメディアを主に、コメンテイター・コラムニスト・ブロガー等として活躍している。昨年に受けたメディアからの取材は、合計318本。1年間に発表したコラムは、200本以上にのぼる。彼の国では「加藤現象」というそうだ。
著書は単著・共著・訳書をあわせ5冊。すべて中国語ですが、この夏に新刊『従伊豆到北京有多遠』、日本語では<伊豆から北京はどのくらい遠いのか>を刊行した。江蘇文芸出版社刊。
加藤は「伊豆を飛び出し、中国語もできず、友人もいない。何も持たない18歳の少年がどのようにして北京を目指したのか?」。そして北京での体験…、現在までを描く自伝的作品である。
少年青年加藤は理解を深める、中国という得体も先行きも知れない巨人。全世界が模索している中国人、そしてチャイナ政府とのつき合い方、どう向き合っていくべきか? 加藤はそれを世界的な「21世紀最大の問題」という。おそらく近い内に、日本語訳本が出そうに思うが、早い刊行が待たれる。
ところで、あえて出身地の伊豆をタイトルに選んだ理由は、静岡県を知る中国人は数少ないが、川端康成『伊豆の踊り子』は、たくさんの中国人が知っているからだそうだ。
日本人のたいていが彼を親中派という。中国人はスパイではないかと疑う。「それは正常なことです。僕は中国でも日本でも発言するが、それは完全に、僕個人の独立した意見でありたい。ただそれだけです。」
加藤は「日本の社会は異質なものを受け付けません。日本では年齢と経験に基づいて人を判断するのです。若者は年齢が若いというだけで使えないといわれてしまう。ある程度の年齢に達するまでは、発言権もない。若いときは口をつぐむしかない。しかし中国では違う。若くても非常に優秀な人材は、若者たちの目標となり励みになる。僕は日本でも名前が知られるようになったが、中国で発言する自由さは、絶対に日本では発揮できません」。すごい青年です。
ところで今回あえて「未来書店物語」にかかりっきりになっている最中に、思い出したかのように、シリーズ「中国・チャイナという不可解な国」を突然、復活したのか?
わたしはもともと移り気で、いつまでもひとつのテーマばかり追っていると、正直なところ退屈してしまうのです。ポーンと飛んで横の脇道に行きたい…。しかし「未来書店物語」はある方との約束で、それなりにまとまるまで続けることになってしまいました。
もうひとつ理由があります。『国益と外交』(2007年・日本経済新聞社刊)をざっと、目を通したからです。この本は外務省アジア大洋州参事官の小原雅博氏の著作です。昨年に北京で加藤嘉一氏が翻訳出版したのですが、中国国内でかなり売れているようです。中国語書名『日本走向何方』2009年・中信出版社。<日本はどこへ向かうのか>。外交など門外漢のわたしですが、触発されました。
最近の東・南シナ海の謎など、この本がヒントになるのではないか? それが、シリーズ未来書店からチャイナに脱線した理由です。次回は「国益と外交 続編」を書こうかと思っていますが、興味ある方はぜひ、原著『国益と外交』をご覧ください。
<2010年11月14日>
彼は静岡県伊豆の農家出身ですが、中学生のときに親が破産。つらい青春だったでしょうが公立高校卒業後、東大文科1類に合格した。しかし彼はそれを辞退し単身、北京大学に留学する。恵まれたボンボンでは、決してないのです。
北京大大学院を修了後、いまはウェブメディアを主に、コメンテイター・コラムニスト・ブロガー等として活躍している。昨年に受けたメディアからの取材は、合計318本。1年間に発表したコラムは、200本以上にのぼる。彼の国では「加藤現象」というそうだ。
著書は単著・共著・訳書をあわせ5冊。すべて中国語ですが、この夏に新刊『従伊豆到北京有多遠』、日本語では<伊豆から北京はどのくらい遠いのか>を刊行した。江蘇文芸出版社刊。
加藤は「伊豆を飛び出し、中国語もできず、友人もいない。何も持たない18歳の少年がどのようにして北京を目指したのか?」。そして北京での体験…、現在までを描く自伝的作品である。
少年青年加藤は理解を深める、中国という得体も先行きも知れない巨人。全世界が模索している中国人、そしてチャイナ政府とのつき合い方、どう向き合っていくべきか? 加藤はそれを世界的な「21世紀最大の問題」という。おそらく近い内に、日本語訳本が出そうに思うが、早い刊行が待たれる。
ところで、あえて出身地の伊豆をタイトルに選んだ理由は、静岡県を知る中国人は数少ないが、川端康成『伊豆の踊り子』は、たくさんの中国人が知っているからだそうだ。
日本人のたいていが彼を親中派という。中国人はスパイではないかと疑う。「それは正常なことです。僕は中国でも日本でも発言するが、それは完全に、僕個人の独立した意見でありたい。ただそれだけです。」
加藤は「日本の社会は異質なものを受け付けません。日本では年齢と経験に基づいて人を判断するのです。若者は年齢が若いというだけで使えないといわれてしまう。ある程度の年齢に達するまでは、発言権もない。若いときは口をつぐむしかない。しかし中国では違う。若くても非常に優秀な人材は、若者たちの目標となり励みになる。僕は日本でも名前が知られるようになったが、中国で発言する自由さは、絶対に日本では発揮できません」。すごい青年です。
ところで今回あえて「未来書店物語」にかかりっきりになっている最中に、思い出したかのように、シリーズ「中国・チャイナという不可解な国」を突然、復活したのか?
わたしはもともと移り気で、いつまでもひとつのテーマばかり追っていると、正直なところ退屈してしまうのです。ポーンと飛んで横の脇道に行きたい…。しかし「未来書店物語」はある方との約束で、それなりにまとまるまで続けることになってしまいました。
もうひとつ理由があります。『国益と外交』(2007年・日本経済新聞社刊)をざっと、目を通したからです。この本は外務省アジア大洋州参事官の小原雅博氏の著作です。昨年に北京で加藤嘉一氏が翻訳出版したのですが、中国国内でかなり売れているようです。中国語書名『日本走向何方』2009年・中信出版社。<日本はどこへ向かうのか>。外交など門外漢のわたしですが、触発されました。
最近の東・南シナ海の謎など、この本がヒントになるのではないか? それが、シリーズ未来書店からチャイナに脱線した理由です。次回は「国益と外交 続編」を書こうかと思っていますが、興味ある方はぜひ、原著『国益と外交』をご覧ください。
<2010年11月14日>