水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

コメディー連載小説 里山家横の公園にいた捨て猫 ②<48>

2015年02月20日 00時00分00秒 | #小説

 里山の怒りを代弁するように不平っぽく週間文秋の枯木が言った。どうもインタビューする番記者は、先に決められていたようだった。茶水は燃えている焚き火がバケツの水をぶっかけられて消えたかのように意気消沈し、沈黙した。
「すみません、続けます…。呼ばれれば、またテレビにご出演ということは?」
「はい、それはテレビ局の方からも問い合わせがありました。私としましては異論ございません」
「ということは、今後、あのテレビ内容がまた放送されると考えてよろしいんでしょうか?」
「はい! そう受け取っていただいて…結構です。ヤラセとか…言ってられた方がおられましたが、…ご覧になっていただければ、分かっていただけると思います」
 里山は冷静さを取り戻(もど)し、訥々(とつとつ)と答えた。里山の声を無言で聞いていたその場のマスコミ関係者は、ざわつき出した。
「ちょっと、お静かにっ!! 今、言ったでしょうがっ!!」
 枯木が叫んだ。完全に起こった状態で顔を真っ赤にしている。大丈夫ですか? と、里山は思わず声をかけそうになった。


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