水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

忘れるユーモア短編集 (78)読み取り

2020年07月01日 00時00分00秒 | #小説

 最近の光学ディスクはブルーレイディスクなどという高度なディスク時代に突入している。便利で、CDをカチャッ! と入れるだけで、ビデオの録画再生が可能となる優(すぐ)れものだ。ただ、掃除を忘れると、埃(ほこり)がレンズ部に溜(た)まり、読み取りにくくなってしまうのが難点だ。スーパーマーケットのレジで使われている赤外線で読み取るポス・システムのようにはいかないものだろうか? などと、私のようなド素人(しろうと)は、ついつい考えてしまうが、これも難点だ。^^ アメニモマケズ・・カゼニモマケズ・・ユキニモナツノアツサニモマケズ・・埃に負けたのでは浮かばれない。^^
 とある家庭の日常風景である。
「そろそろ夕飯だって! ? …父さん、何してるのっ?」
 書斎でビデオディスクを弄(いじ)っている父親に、今年、中学生になったばかりの息子が訝(いぶか)しげに声をかけた。
「んっ? ああ、まあな…。ご覧(らん)の通りだ…。父さん、こういうの苦手(にがて)でなっ!」
「そういや、昼前にも呼びに来たよねっ?」
「ああ…。食ってからまた始めたんだが…」
「どこが悪いのっ?」
「どこが悪いのっ? って、それが分かりゃ苦労はせんさ、ははは…」
「せんさっ! センサー …ダジャレじゃないけど、レンズの読み取りが悪いんじゃないの?」
「おっ! 上手(うま)いっ! そういやお前、機械モノは得意だったなっ?」
「んっ? まあ…」
「なら、悪いが、ちょいと頼むかっ!」
「いいよ…」
 息子は父親に代わると二十分足らずでディスク不良の問題を解決してしまった。
 このように、物も人も年を重ねれば読み取り不良になるリスクが増すのである。この事実を忘れることなくコトに当たりたいものだ。^^ ? なにに当たるんだったか…。そうそう! 読み取り、読み取りっ! 危ない危ないっ! うっかり忘れるところだった。^^
 
                                     
 


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