物事の失敗・・このことを、人は不手際(ふてぎわ)という。手際が悪かったということだ。神さまや仏さまでない以上、不手際は私達について回る。実は、六十六話でこの不手際を書いたはずだったが、入力ミスで消えてしまったという不手際があったのである。笑止千万(しょうしせんばん)な話で、新しく書いた六十六話の隙(すき)のように反省した次第だ。どうも、電子モノは私には馴染(なじ)まないようだ。^^ などとグダグダ言っていても仕方がないから、六十七話の四方山話として不手際を書き進めることにしたい。正確にはkeyを打ち進める訳だが…。^^
とある大学の医学研究所である。
「先生っ! 完成したワクチンはっ!!」
「ああ、牡丹川(ぼたがわ)君か…。驚くじゃないかっ! 突然、うしろから大きな声を出してっ!」
「ど、どうも、すみません…」
「いや、謝(あやま)ることはないがっ! 私にも隙(すき)があったようだ、ははは…」
「で、先生、例のワクチンはっ!」
「ああ、アレか…。アレは不手際でボツだっ! ははは…」
尾萩(おはぎ)教授の笑いを聞きながら、大勢の命がかかってるんだっ! なにが不手際だっ! と助手の牡丹川は怒れた。
「笑ってる場合じゃないでしょ! 政府から、やいのやいのとせっつかれてるんですからっ!!」
「すまん、すまん! 予備は取ってあるから心配ない。今度は手際よく完成させるからっ!」
「ったくっ! 頼みますよっ!」
「はい、はいっ!」
「はい! は、一回っ!!」
「はいっ!!」
尾萩教授は、ったくっ! どっちが教授だかっ! と怒れたが、ミスったのは事実だったからそうとも言えず、笑って暈(ぼか)した。
その後、ワクチンと治療法が完成したのか? まで、私は知らない。希望的な観測として、完成し、人類が救われたことを祈るのみである。
完