水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

四方山(よもやま)ユーモア短編集 (87)原因

2021年11月23日 00時00分00秒 | #小説

 物事には、全(すべ)てに原因がある。この原因を取り除(のぞ)かないと物事がスムーズに流れないように私達の三次元世界は出来ているのだ。風邪(かぜ)を引くには引くだけの、コロナウイルスが蔓延(まんえん)するには蔓延するだけの原因が隠れている訳である。ということで、今日の八十七話の四方山話(よもやまばなし)は原因のお話だ。^^
 とある家庭である。一人の男がブツクサと小言(こごと)を垂(た)れている。
「チェッ! ガス湯沸かし器がつかないから修理してもらったら、今度は水道の漏水かよっ! この家には貧乏神が住みついてんじゃねぇ~のかっ!」
 するとそこへ、どこから現れたのか、貧乏神が現れた。
『そうだよっ! 私が住みついてるから、アンタは困ることが多いのさっ! ははは…』
「ははは…じゃねぇ~よっ! それが分かってんなら、サッサと出てってくれっ!」
『出てってくれって、それには、その原因を取り除かんとなっ!』
「原因が分かってんなら、苦労しねぇ~よっ!!」
『まっ! それも、そうだな…。それじゃ、お世話になったお礼だ。ヒントを一つだけ教えてやることにしよう!』
「ヒント!? そこは、ズバッ! と教えるという…」
『訳にはいかないのさっ! 貧乏神の決まりでなっ!』
「決まりか…。もう、これ以上、原因が分からず、苦しみたくねぇ~からなっ! まっ! 仕方ないかっ!」
『だろっ!?』
「ああ…」
 貧乏神は一つだけ男にヒントを教えると、スゥ~っと音もなく消え去った。
 原因を取り除くのには、原因を取り除くヒントが欠かせない・・というお話でした。神様、仏様、困って、お金がいるのは、やる気が出ず、困りものです。なんとかして下さい。^^

                   完


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