ある程度、スケジュールを組んでおいても、思ってもみなかった予想外のことが突如として起こることがある。デイトの最中に、知り合いの女性や男性から突然、予想外の携帯音[マナーモードの振動{バイブ}音を含む]がすれば、どうなるだろう。いらぬ誤解を招いて、関係がシャット・ダウンする場合だってある。まあ、そこはそれ、「えっ!? ああ、まあ…」とかなんとか言って、出ないのだろうが、それでも予想外の妨害に思え、気分はよくないだろう。^^ 相手に作為がないことを祈るのみである。^^ 七十二話は、そんな予想外の四方山話(よもやまばなし)をしたいと思う。
空は晴れている。が、突然、パラパラと予想外の雨粒(あまつぶ)が落ちてきた。所謂(いわゆる)、狐(きつね)の嫁入りと言われる現象である。
「いけねぇ~やっ! パラついてきやがったかっ! まっ! 狐の嫁入りに出会うと、幸運が舞い込むって言うからなっ! ほんとかどうかは分かんねぇ~がっ!」
酒屋の京治(きょうじ)は配達の一升瓶を括(くく)り付けた自転車を漕(こ)ぎながら独(ひと)りごちた。すると妙なもので、その予想外の幸運が突然、京治に舞い込んだのだ。
「あっ! 京治さん、いいところで…」
バッタリ、出くわしたのは、自転車配達の村の郵便屋、玉岡だった。
「なんでしたっ? 玉岡さん…」
京治は自転車を降り、玉岡に訊(たず)ねた。
「当たりましたよっ!! この前の旅行クーポンっ! まあ、私は外(はず)れましたがね…。はい、これっ!」
玉岡が京治に渡したもの、それは当選クーポンの書留だった。二人は先だって町へ出たとき、町の福引をして帰ったのである。
「これは予想外だっ! 当たりましたかっ! ハンコ…ちょうどいいやっ! 配達の帰りに集金して帰るつもりでしたから、持ってますっ!」
「いや、どうもっ!」
「それにしても、狐の嫁入りはいいことが起こりますっ!」
「そうですかっ? 私も出会いましたが…」
玉岡は訝(いぶか)しげに京治を窺(うかが)った。
「まっ! そのうち、イイコト起こりますよっ!」
そう言われた玉岡に予想外のイイコトが舞い込んだのは一週間先だった。予想外の局長表彰を玉岡は頂戴したのだった。玉岡に箔が付いたのである。^^ まあこれは、日々の勤務態度が認められたとも言えるのだが、予想外のことではあった。
この四方山話は、いい場合の予想外の出来事ですが、皆さん悪い場合も当然、起こりますから、注意しましょう。^^
完