水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

四方山(よもやま)ユーモア短編集 (74)情(なさ)け

2021年11月10日 00時00分00秒 | #小説

 情(なさ)けない話ながら、昨今(さっこん)の世情は情け、がなくなっている。^^ 人の家前へポイ捨てても、なんとも思わない輩(やから)が増え続けた現状に目を覆(おお)いたくなるのは私だけだろうか?^^ 我が国は世界でも治安が安定しており、自由で快適に過ごせる、しかも、経済発展国として高度な文化を誇る世界屈指の住みよい国なのである。いったい何が不満なのだろう? と思える。^^ ポイ捨てられる人はポイ捨てられ、地獄道の下の地獄へ永遠に落ちていればいいっ! と断言して憚(はばか)らない。^^ ということで、でもないが、情けがなくなった現状を憂(うれ)うる気分で、今日の七十四話の四方山話(よもやまばなし)を書き進めている次第だ。^^
 二人の老人が、雨の中を公園のベンチに座りながら、話さなくてもいいのに傘をさして話している。
「今日は雨ですなっ!」
「はあ、まあ…。昨日は晴れてましたからなぁ~」
「お天気の日はいいですなぁ~。コンビニ弁当も食べやすいっ!」
「ははは…さようで。雨の日は片手が傘ですからなぁ~。おにぎり、になります…」
「情けない話ですが、おにぎり、ですなぁ~…」
「ははは…べつに情けなくはないでしょう。おにぎりは、おにぎりとしての文化がありますからっ!」
「ははは…文化ですか? おにぎり文化ですなっ!?」
「さよですっ! おにぎり文化! おにぎり文化は、実に情け深いっ!」
「情け深いですか?」
「コンビニ弁当でないのが情けないですが、情け深い、おにぎりがありますからっ!」
「ですなっ!」
 二人は妙な情けの話題で意気投合した。
 情けは、このように考え方次第で多岐に分かれる大切な人の感情の発露(はつろ)なのである。^^
 七十四話は、情けを紐解(ひもと)く、単純明快な一例の四方山話でした。^^

                   完


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