永久に故障しないものは、はっきり言って私達の世界には存在しない。故障の度合いは物によって違いがあるが、多かれ少なかれ故障することに変わりはない。私達だって故障すればお医者に診てもらって治療する[故障を直す]だろう。^^ ということで、今日の四方山話(よもやまばなし)は故障をテーマにしたお話にした次第である。
とある大衆食堂である。二人の男が食べながら店のテレビを見上げている。
『現在、危機対策本部は、この未曽有の危機に対し、対策を立てようとしていますっ! 総理官邸より豚川がお伝えしましたっ!』
「そらまあ、危機対策本部だもんなっ!」
「だなっ! 危機には対策を立ててもらわんとっ!」
「で、未曽有の危機って、いったい何なんだっ!?」
「ウイルスだろっ?」
「ウイルスは以前から蔓延(まんえん)してるじゃないかっ!?」
「だから、その蔓延が限界を超えたからだろっ!?」
「俺達の社会が完全に故障しちまったってことかっ!?」
「まあ、そうなるな…」
「故障は直してもらわんとっ!」
「ああ。だが、この故障は根が深いぜっ!」
「どうしてっ!?」
「文明が引き起こした故障だからなっ!」
「そうなのか!?」
「ああ、そうだ。五十年前には、こういう故障はなかったろっ!?」
「だなっ!?」
二人は結論が出たところで、ちょうど食べ終わった。
文明が引き起こす、見えない故障もある訳である。
今日の八十五話は、故障を掘り下げた四方山話でした。胡椒(こしょう)でクシャミが出るのは故障ではありません。^^
完