すべてのことを考えないようにすれば、どうなるのか? この試問は興味あるシミュレーションになる。考えないのだから、成り行き任せ・・ということだが、巡回劇団の股旅時代劇・国定忠治なら、『あても果てしもねぇ~旅に出るのよっ!』『親分っ!』ということになるのだろう。^^ あてがないのだから、いささか私達にすれば不安だが、トラさんに、『それを言っちゃぁ~、おしまいよっ!』と注意されることだろう。^^ まあ、そんなことはどうでもいいのだが、今日の四方山話(よもやまばなし)は、考えないを話にした次第だ。^^
とある秋の公園である。二人の男が暇(ひま)そうにベンチに座りながら行き交う人を眺(なが)めている。
「おい、見ろよっ! アノ人、これで三周目だぜっ!」
「だな…。とはいえ、別に悪いことしてる訳でもねぇ~んだから、やめなさいっ! とも言えねぇ~だろっ!?」
「ああ、それはまあ、そうだが…。散歩もこうなると、ジョギングだなっ!?」
「ははは…まあ、そうなるかっ!」
「なるなるっ! ははは…!!」
二人の男の笑い声が大き過ぎたせいか、話題にされた老人は、二人の前で立ち止まった。
「あの…私、何か可笑(おか)しいですかなっ?」
「いやっ! 失礼しましたっ! ただ、私らの前を通られるのが三回目だったもので…」
「ああ、さようで。何も考えないで歩いておりましたのでな…。もう、三周目でしたかっ?」
「ええ、まあ…」
「考えないと続きますなぁ~、ははは…」
老人が立ち去ったあと、考えないで座っていた二人は、昼前になっていることに気づき、慌(あわ)ててベンチから去った。
六十九話は、考えないと続く・・という四方山話でした。^^
完