同じ人物が同時に他のことをすることは不可能だ。・・をしながら・・をするという行為は、曲芸で三個の球を交互に回したり、料理家が鍋(なべ)に火をかけながら別の材料を刻む・・などのように同じ場所にいれば可能なのだろうが、離れた別の場所なら、私達が暮らす三次元世界では100%不可能なのである。ということは、一人の人物が幾つもすることがあれば、優先順位を決める必要があり、こればっかりは個人の能力差があるから、私からはなんとも言えない。^^ まっ! こんな前置きはともかくとして、今日の四方山話(よもやまばなし)は優先順位について語りたいと思う次第だ。^^
いつやらの短編集にも登場した男が、DIY[日曜大工]をしているようだが、動かず、ジィ~~っと立ったまま腕組みをしたまま考え倦(あぐ)ねている。考え倦ねるくらいなら、最初から作らなければいいのだが…。^^
「待てよっ! 切って組み立ててから塗った方がいいか、塗ってから切るか・・だが…」
よくよく考えれば、どちらでもいいように思えるが、その優先順位を違えれば、完成に大きな時間差が生じるのである。この男は塗料を塗ってから切り、組み立てよう…と考えた。優先順位の正解は、切って組み立てたあとに塗料を塗る・・だった。その訳は、塗料は二度塗りが大前提で、一度塗ったあと、乾くまで待たねばならないからである。優先順位の違いによる完成への時間差は明白だった。
男は塗料を一度塗りしたあと手が止まり、ふたたび腕組みした。
「しまった! 二度塗りを考えなかったぞっ!」
そうこうしている間に昼になった。
「あなたぁ~~!! お昼よぉ~~!!」
聞きなれた奥さんの声がした。
「ああ! 今いくっ!!」
男の作業は、この日もまた完成することなく先延ばしとなった。
限られた時間で優先順位は大事になる・・という八十九話の四方山話でした。^^
完