水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

四方山(よもやま)ユーモア短編集 (75)まあ、いい…

2021年11月11日 00時00分00秒 | #小説

 一歩、社会へ出れば、自分の思うようにばかりはいかない。まあ、いい…と妥協を余儀なくされる場合だってある。^^ 今日は昨日の雨も上がり、気分がいい秋の晴天に恵まれたのだが、今日はっ! と意気込んだ日に雨となる日だってある。こんな場合は我々にどうしようもなく、まあ、いい…別の日にしようとなる訳だ。天気だけは仕方がないのである。さて、七十五話の四方山話(よもやまばなし)は、そんな、まあ、いい…を題材にさせていただいた次第だ。
 とある、どこにでもありそうな中堅会社である。課長の鼻田(はなだ)が係長の顎山(あごやま)に声をかけた。
「顎山君、昨日(きのう)の書類は出来てるんだろうねっ!」
「はあ、出来てはいるんですが、俄(にわ)かな機器の故障で…」
「コピー出来てないのか…」
「はあ、まあ…」
「まあ、いい…。コピーの部数が多いからなっ! それも仕方がない…」
「どうも…」
「いや、まあ、いい…。出来た書類はあるんだろっ!?」
「それが…、営業の耳川(みみかわ)君が他の書類と間違え、うっかり持ち出してしまいまして…。すみませんっ!」
「今、社内にないのか…」
「はあ、まあ…」
「まあ、いい…。一昨日(おととい)のヤツがあったろっ!?」
「それが…、いらないと思いまして、すでにシュレッダーに…」
「ないかっ! まあ、いい…。いや、よくないっ!! 弱ったぞっ! 部長が会議で使うからなっ! 配布資料のコピーはともかく、重役連中への説明資料がないとなっ!」
「どうも…」
「君は『はあ、まあ…』と『どうも…』ばかりじゃないかっ! どうするんだっ!!」
「はあ、まあ…。どうも…」
 このあとの経緯を私は知らない。しかし、まあ、いい…も度重(たびかさ)なれば、よくないっ! となるのは確かなようだ。^^ 今日の七十五話は、まあ、いい…ような四方山話でした。^^

                   完


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