修理・・このタイトルも、過去、何度か他の短編集に登場しているが、今回は、また別の視点で迫ってみた。
すべての物には寿命がある。それは生物に限ったことではない。この世に新しく物として誕生し、時を経て次第に劣化するという過程[プロセス]を辿(たど)る。むろん、ただの物は使われなければ劣化はしないものが多い。だが、生物は劣化し、やがて傷(いた)んでくる。傷んでくれば修理を必要とする。それが治療である。病気は天が与えた寿命ではなく、原因を取り除いて治療をすれば治ることになる。天寿を全(まっと)うしたいものだ。^^物だって同じで、修理をすればまた使える。修理できなくなったり、修理するより買い替えた方が…と判断されれば、それが寿命だろう。今日の六十八話は、この修理をテーマにした四方山話(よもやまばなし)である。そういや、私自身も、あれやこれやと修理をする年になった。^^
(67)に登場した牡丹川(ぼたがわ)教授と尾萩(おはぎ)助手がいるとある大学の医学研究所である。朝から、二人がグダグダと話をしている。
「教授っ! ミクロ生物が強くなってんじゃないですかねっ!」
「そういや、マクロ生物の人間が昨今(さっこん)、大弱りしてるな…」
「そうなんですよっ! 僕は人間が弱いとは思ってないんです。ただ、考え方を修理しないと、ミクロ生物に滅ぼされるような気がしてるんですっ!」
「どういうことかねっ!?」
「このまま無秩序に文明を進める・・という考え方ですっ!」
「もう少し具体的に言ってくれたまえっ!」
「例(たと)えばですよ。無秩序に流した科学薬品が水質を汚染させ、ミクロ生物を強くした・・とか…」
「そういや、絶滅種、絶滅危惧種もかなり多いな…」
「でしょ!?」
「ああ…」
「修理しないと…」
「ああ…」
二人は空(から)になったコーヒーカップをボケェ~~っと啜(すす)った。
根本的な修理は根本的な考え方から始まるのである。^^
六十八話は修理の根幹(こんかん)に迫る四方山話でした。^^
完