今日も国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。
今日は長文になりますが、あしからず。
~~~~~~~~~~~
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。
私が「尖閣をめぐって日中対立が激化する」と書いたのは、08年のことです。
「隷属国家日本の岐路」という本で、ダイヤモンド社から出版されました。
副題は、「今度は中国の天領になるのか?」です。
(@復刻版(2020年度補足つき)は、「自立国家日本の創り方」と名を変え、ダイレクト出版から出版されました)。
詳細は↓
その後、2010年に「尖閣中国漁船衝突事件」が、2012年に「尖閣国有化」があり、日中関係は戦後最悪になった。
それで、「どうしてわかったのですか???!!!」と問い合わせが殺到しました。
そして、この問題は、まだ全然終わっていません。
中国は、尖閣を強奪するため、ロシア、韓国に「反日統一共同戦線」構築を提案した。(2012年11月)さらに、「日本には尖閣だけでなく【沖縄】の領有権もない!!!!!!!」と宣言しているのです。
@全国民必読絶対証拠↓
そして、尖閣は近い将来、尖閣強奪に動く可能性が、どんどん高まっています。
まずは、こちらをごらんください。
<第11管区海上保安本部(那覇市)は22日、沖縄県石垣市の尖閣諸島の接続水域(領海の外側約22キロ)内を中国公船4隻が航行していると発表した。接続水域内での航行は、4月14日から100日連続となった。>(読売新聞7月22日)
100日連続・・・・・。
ちなみに中国は、年初から7月22日までに、領海侵犯を14回行っています。
さらに。
<中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での多数の漁船による領海侵入を予告するような主張とともに、日本側に航行制止を「要求する資格はない」と伝えてきていたことが2日、分かった。
16日に尖閣周辺で中国が設定する休漁期間が終わり、漁船と公船が領海に大挙して侵入する恐れがある。
日本の実効支配の切り崩しに向け、挑発をエスカレートさせる可能性もあるとみて日本政府内では危機感が高まっている。>(産経新聞 8月2日)
意味は、
「8月16日以降、中国漁船の大群が日本の領海に侵入するけど、日本にはそれを止める資格はないよ」
なぜ?
「だって、日本が主張している日本の領海。
本当は日本の領海じゃなくて、【中国の領海】なのだから」
ということでしょう。
彼らは、「尖閣は、中国固有の領土であり、『核心的利益』だ!」と宣言しています。
その証拠に、彼らは、こんな「トンデモ主張」もしています。
<中国政府は、5月8~10日に公船が領海に侵入して日本漁船を追尾した際には「『中国の領海』で違法操業」している日本漁船を「法に基づき追尾・監視」したとの見解を示した。>(同上)
日本の漁船が日本の領海で漁業をしていた。
すると中国の公船が、
「お~日本の漁船が【中国の領海】で違法操業しているぞ!」
とイチャモンをつけて、追いかけた。
どう考えても、中国が「尖閣強奪」を狙っているのは明白です。
非常に残念ですが、尖閣をめぐって日中戦争が起こる可能性は、日に日に高まっています。
▼失敗したフィリピンモデル
日本はどうしたらいいのでしょうか?
実に悩ましい問題です。
大きくわければ、
「戦う」と 「戦わない」(懐柔を試みる)
にわけることができるでしょう。
中国に対しては、どっちが効果的なのでしょうか?
これは、絶対的に、「戦う」方が効果的なのです。
中国は、周辺のほとんどすべての国と争っています。
しかし、中国に対する態度は、異なっています。
弱気の代表はフィリピンでしょう。
中国とフィリピンは、日中と同じように領土問題を抱えています。
しかし、仲裁裁判所は、「中国の主張は間違っていて、フィリピンの主張が正しい」という判断を下しました。
<仲裁判断、中国外交に大打撃 習主席「一切受け入れない」
AFP=時事 2016年7月13日(水)10時7分配信
【AFP=時事】オランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所(PCA)が南シナ海をめぐる中国の主張には法的根拠がないとの判断を示したことについて、中国の習近平国家主席は、一帯の島々は古来より中国の領土だとして、政府は今回の判断に基づくいかなる行動も受け入れないと述べた。国営の新華社通信が伝えた。>
<フィリピンの訴えを受けた裁判で仲裁裁が12日に下した判断は、天然資源も豊富な南シナ海の支配に野心を燃やす中国にとって外交的な大打撃となった。
中国政府は真っ向から拒絶しており、中国外務省は同日のうちに「判断は無効で何の拘束力もない」との声明を出した。
新華社によると、中国の在オランダ大使は「きょうはハーグにとって『ブラックチューズデー(黒い火曜日)』になったと批判。
判断は「国際法を辱めた」とこき下ろした。>
国際司法は、「フィリピンの言い分が中国よりも正しい」と判断した。
ところが、ドゥテルテ大統領は、愚かにもアメリカとケンカした。
後ろ盾をなくしたフィリピンは、裁判で勝ったにも関わらず弱気になり、中国に「敗北宣言」したのです。
<南シナ海問題、「中国を止められない」ドゥテルテ比大統領
AFP=時事 3/19(日) 21:43配信
【AFP=時事】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は19日、中国はあまりに強大であり、フィリピンや中国が領有権を争う南シナ海のスカボロー礁で中国が進めている構造物建設を止めることはできないと述べた。>
フィリピンは、「中国に融和政策をとれば、優しくなる」と期待した。
ところが、中国は、「もらえるものは全部もらってしまえ」という態度なのです。
日本が弱気になったり宥和的になれば、
「では、ありがたく尖閣をもらっておこう。次は、沖縄を全部もらおう!」
となるでしょう。
▼成功したベトナムモデル
一方、フィリピンとは反対に、徹底抗戦しているのがベトナムです。
世界一の戦略家エドワード・ルトワックさんは、
●戦争にチャンスを与えよ↓
の中で、こう書いています。
<2014年に起きたベトナム沖の海底油田をめぐる事件が、その典型である。
当時の中国は、船の数で圧倒すれば、ベトナム側は引き下がる、と考えた。
ところが、実際には、戦いは、海から陸に移り、中国人の旅行者や商店に対する暴動や焼き討ちが起こり、中国側は、ベトナム沖の海底油田からの撤退を余儀なくされた。
ベトナム側が態度で示したのは、
「これは子供の遊びではない、戦争だ」ということだ。
海に40隻浮かべたから勝てるような遊びではない、というのだ。>
どうですか?
中国に比べれば、フィリピンもベトナムも小国です。
フィリピンは、早々に敗北宣言し、
ベトナムは、戦いました。
そして、フィリピンは、中国の属国に堕ち、ベトナムは勝利したのです。
▼では、日本はどうする?
では、具体的に日本はどうするべきなのでしょうか?
ルトワックは、「戦争にチャンスを与えよ」の中で、中国が尖閣に
【漁民上陸作戦】
をする可能性があると指摘しています。
なぜ中国は、
「大量の漁船が日本領海に侵入すること」(彼らは、中国の領海と主張)
「日本には、漁船の大群を止める権利がない」と宣言しているのでしょうか?
近々、「尖閣漁民上陸作戦」を実行しようとしているのではないでしょうか?
ルトワックは、「どうすればいい」と書いているのでしょうか?
<今やるべきことは、一体何だろうか。
それは、日本が先手を打って、魚釣島で物理的プレゼンスを示すことだ。
目的は、中国を挑発することではない。
日本は、尖閣の実効支配を明確に中国側に伝えるためにこそ、人員を配備すべきなのだ。
これによって「あいまいさ」を排除し、中国が「漁民」を上陸させることを防ぐのだ。>
皆さんご存知のように、私は、常に「穏健派」でした。
しかし、危機が目前に迫ってきている今、ルトワックさんの考えを支持します。
具体的にどうやるべきなのでしょうか?
まず、ポンペオ国務長官にお願いし、
「尖閣は日米安保の適用範囲だ。
日中で軍事衝突が起これば、我が国も介入せざるを得ない」
といってもらいます。
ちなみに中国は、2010年の「尖閣中国漁船衝突事件」の時も2012年の「尖閣国有化」直後も、尖閣侵攻を計画していました。
しかし、いずれもアメリカ政府高官が、「尖閣は日米安保の適用範囲」と発言したことで引き下がった。
だから今回も、効果があるかもしれません。
(ここ8年で、中国は、さらに強大になっていますが。)
次に、アメリカに、「尖閣周辺で合同軍事演習をしてほしい」と依頼します。
日米が合同軍事演習している期間中に、海上保安庁あるいは海上自衛隊員が、尖閣に上陸する。
そのまま、常駐するのです。
魚釣島には1940年まで日本人が住んでいました。
だから、今でも住むことは可能なはずです。
結果どうなるでしょうか?
中国は、激怒して侵攻してくる可能性があります。
侵攻しなくても、日中関係は戦後最悪になるでしょう。
しかし、既述のように、中国が「漁民」を上陸させ、尖閣強奪に動く可能性は、日に日に高まっています。
もしそれが起こったらどうするのでしょうか?
菅官房長官が、「決して容認することはできない。真に遺憾である。断固として抗議する!」
といって終わらせ、日本は尖閣を失うのでしょうか?
それとも尖閣奪回作戦をするのでしょうか?
その時、中国は、「日本が中国固有の領土である魚釣島を侵略した!」と大々的に騒ぎ、喜んで反撃することでしょう。
ちなみに世界の国々は、「尖閣は日本の領土か中国の領土か全然知らない」ことも踏まえておく必要があります。
日本と中国は、戦闘になるのでしょうか?
日本が、尖閣に人を常駐させて戦闘になる?
中国が「漁民」を上陸させて、奪回作戦で戦闘になる?
どっちがマシなのでしょうか?
ルトワックは、「奪回作戦はまずい」とはっきり書いています。
<中国の怪しい「漁民」が尖閣に上陸したとしよう。彼らは信号弾
(空中で炸裂すると色のついた光を発する弾丸で、連絡用などで使われる)を持っている。
もし信号弾を撃ってきたら、警察官を運搬するヘリは、視界を遮られ、島に到着できないリスクがある。
加えて、ヘリによる島の奪還は、元来、極めて脆弱な作戦だ。
天候などの要素に大きく左右されるというのが、その一番の理由だ。
さらに重要なのは、ヘリで送り込んだ警察官が現場の状況に対応できないような場合だ。
中国側の「漁民」が武装していれば、狙撃されておしまいである。
したがって、このようなハイリスクな奪還作戦を考えるよりも、予め尖閣に軽武装した人員を送り込み、常駐させるべきだ。
いわば「静かな占領」を行っておく方が、はるかにベターなのである。>
▼日本は、「反中同盟参加」を宣言せよ
アメリカは、日本に協力してくれるでしょうか?
私が「尖閣に人を」と書いているのは、アメリカ側の姿勢が大きく変化したからです。
ポンペオは7月23日、カリフォルニアで演説しました。
<中国との闇雲な関与の古い方法論は失敗した。我々はそうした政策を継続してはならない。戻ってはならない。自由世界はこの新たな圧政に勝利しなくてはならない。>
明確な、「中国打倒宣言」です。
そして、「反中同盟結成」を呼びかけました。
<志を同じくする国々の新たな集団、民主主義諸国の新たな同盟を構築するときだろう。
自由世界が共産主義の中国を変えなければ、中国が我々を変えるだろう。
中国共産党から我々の自由を守ることは現代の使命だ。
米国は建国の理念により、それを導く申し分のない立場にある。
ニクソンは1967年に「中国が変わらなければ、世界は安全にはならない」と記した。
危険は明確だ。自由世界は対処しなければならない。過去に戻ることは決してできない。>
(日経新聞 7月24日「『共産主義の中国 変えなければ』米国務長官の演説要旨」)>
日本は、アメリカに「尖閣問題での協力」を求めるかわり、
「反中同盟に参加する」という意志を伝えるべきです。
そして、貢献するのです。
たとえば、
・中国がウイグル人を100万人強制収容している事実を非難する
・中国がウイグル女性に強制不妊手術をし、民族絶滅政策をしていることを批判する
・パンデミックの責任を追及する
・ファーウェイを5Gから排除することを宣言する
・欧州や東南アジア諸国に「反中同盟への参加」を求める
・台湾の国際機関での地位が上がるよう努力する
などなど。
日本は、「平和ボケ」で「へたれ」で「弱腰」の国です。
しかし、なんやかんやいっても「GDP世界3位」の経済大国でもある。
結局、米中覇権戦争は、
日本、欧州、ロシア、インド
などがどっちにつくかで決まるのです。
日本はそのことを自覚して、アメリカに勝利をもたらす。
「日本に沖縄の領有権はない!」などとトンデモ宣言をしている国より、アメリカは、はるかにマシなのですから。
---owari---
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます