(嫉妬心を煽る材料になる『成功』とは)
イヴァンカさんは自分でブランドをつくって、お店を持っているような人ですが、「大統領の娘」ということになったら、例えば、その権力を盾(たて)にして、いろいろなところで売り込みをしたり、他のブランドを脅(おびや)かしたりするぐらいのことはできなくもありません。
ただ、そういうかたちでの交渉をした場合、「買ってください」と言えば、相手のほうには、「大統領との関係もあるから、買わなければいけないのかな。取引しなければいけないのかな」というような、あらぬ憶測(おくそく)が立ってくるわけです。
そうすると、今までは自分の実力でやれたと思っていたようなことが、今度は、「実力ではない」という感じに見られることもあります。「自分自身に帰属するものではない成功が手に入ったのは、他力(たりき)によるものだ」というところが、嫉妬心(しっとしん)を煽(あお)る十分な材料になるということです。
やはり、誰もが「成功のチャンスの平等」を求めているところはあるので、民主主義の世の中であっても、それ以外の理由によって成功するのを見ると、納得がいかない面はあるわけです。
イヴァンカさんはもともと優れた女性だろうし、尊敬に値(あたい)する人だと思うのですが、父親が大統領という立場になって、35歳ぐらいでファーストレディ代わりにいろいろな意見を言ったり、政策を提言したり、父親に影響(えいきょう)を与(あた)えたりするとなったら、“ちょっと許しがたい”という気持ちを持つ人もいるのでしょう。そこで、「これは叩いてやらなければいけないかな」という大人が大勢出てきているのだと思います。
「30代半(なか)ばにして、イヴァンカさんはずいぶんと見識(けんしき)を持っているな。すごいことを言うな」と、ほめられていたようなことが、「大統領の代わりに発言するなんて、もし大統領がそれを聞いたらどうするのだ」という感じになって、大人たちが心配し始めるので、批判をたくさん受けるようになりました。それまでの「賞賛の嵐(あらし)」が「批判の雨嵐」になってきたわけです。
スーパーモデルだったトランプ大統領のメラニア夫人にしても、人によっては、「モデルならあまり勉強していないのではないか」と思われることもあるかもしれませんが、実際は、スロベニア出身で「六ヵ国語」ぐらい話せるとも言われています。スロベニアからアメリカに移住して、世界のスーパーモデルにまでなった方ですから、その“上がり方”は半端(はんぱ)ではありません。自分自身に力のあった方なのでしょう。
ただ、それでも大統領夫人になるための修業を積んだわけではないので、おそらく、いろいろな交渉等の面では足りないところが出てくるだろうと思うのです。
---owari---
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