参政党の理念・綱領は、わが国の国柄から読み説けば、その目指すところが明らかになる。
(国民に「主人公」意識が必要)
この次の土曜日、3月18日(今年)に神奈川県藤沢市での参政党神奈川西支部主催の講演会にてお話をさせていただくので、そのさわりをご紹介します。私は参政党の党員ではありませんが、外部の勝手な応援団員として、お話しさせていただきます。(ただし、私が応援しているのは、参政党だけではありませんが)
私が参政党を知ったのは、数年前、大阪で開催していた輪読会の二人のメンバーからでした。一人は大手企業から独立して、自ら事業を始めた志高き男性、もう一人はお子さんを何人も立派に育て上げた主婦の方でした。
二人は別々の経緯で参政党を知ったらしく、ある時、読書会の始まる前の雑談で、参政党の話題が出たときに、互いに参政党を応援していると知って、驚くとともに意気投合していました。
その時に、私も興味を持って、参政党のことを調べてみたのですが、共感したのは「同じ思いをもった普通の国民が集まり、知恵やお金を出し合い、自分たちが党運営を行っていきます」という点です。
私は留学や駐在で合計7年間、アメリカで生活し、この国から日本が学ぶべきは、国民の「主人公」意識だと感じていました。もともとイギリスの植民地で、住民は選挙権も与えられないまま課税されていたのですが、それはおかしいと声をあげました。当時のイギリスが耳を貸さなかったので、それならばと独立戦争を戦い、ついには自分たちの国を立ち上げたのです。
参政党はDIY(Do It Yourself)政党と自らを規定していますが、それに習えば、アメリカはDIY国家です。ですから、国の主人公は自分たち国民であり、自分たちの主張を実行してくれる政治家を選ぶのだ、という意識が非常に強いのです。
米国に比べると、わが国は建国以来、民の安寧を祈る、という皇室の理想を実現しようと努力した政治家が時々現れて、他国に比べれば、はるかに幸福な国が有史以来、実現されてきました。その結果、政治向きのことは「お上」に任せておけばいい、という「お客さん」意識が、他国に比べてはるかに強いと思います。
左翼でも、自分たちで革命政権を作ろうなどという「主人公」意識を持つ人は少なく、万年野党に投票して、不平不満をぶつけていれば良いという「お客さん」意識の人がほとんどでしょう。
ところが、アメリカの庇護も怪しくなり、経済も低迷し、近隣にならず者国家が好き勝手をし出す、という時代になっては、国民が「お客さん」意識では国が持ちません。こういう時世に「同じ思いをもった普通の国民が集まり、知恵やお金を出し合い、自分たちが党運営を行っていきます」というのは、時宜を得た方針だと感じました。
(参政党の理念・綱領は「ど真ん中の剛速球」)
その後、縁あって神谷宗幣氏のYouTube番組「CGS」にも出演させていただき、氏の思想・主張には非常に共感できる点が多々ある、と感じていました。しかし、それと同時に、政党として多くの人々を束ねていくためには、それを綱領や政策にまとめていくところが、また難題だと思っていました。
これまた日本の弱点ですが、高邁な思想を語るだけの「評論家」は多くいますが、それを実現するための、具体的なシナリオやアクション・プランに展開していくという「改革者」は少ないのです。ですから、参政党が「改革者」として、どのような綱領や政策に集約していくか、という点に着目していました。
今回、参政党神奈川西支部からの講演のご依頼を受けて、現時点の参政党の綱領、政策を拝見し、かなり根本的核心的なものを打ち出している点に、まさに「ど真ん中の剛速球」を投げ込んできた印象を持ちました。ただ、あまりの剛速球に球筋がよく見えない、という方も少なくないのではないか、と外部から勝手に心配をした次第です。
そこで、今回の講演会では、私なら理念・綱領をこう捉える、という点をお話しして、それらが腹に落ちて、そこから活き活きとしたエネルギーを得られるようにしたいと思います。もとより、外部の勝手な応援団の声援ですから、参政党幹部の考えとはずれた処もあるかも知れませんが、そこはご容赦を。
(理念・綱領には意味深なキーワードが次々)
まずは、参政党の理念・綱領を見て、その中身を理解するための発問をしておきましょう。
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【理念】日本の国益を守り、世界に大調和を生む
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「日本の国益を守り」は日本の政党なら当然ですが、世界の「大調和」とは何なのか、国益を守ることが、どのように世界の「大調和」に繋がるのでしょうか?
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【綱領】一、先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる。
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「先人の叡知」とは何なのか? 「天皇を中心に一つにまとまる」とは、どういう事なのか? これは、なにやら右翼団体のようで警戒感を持つ人もいるでしょう。
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一、日本国の自立と繁栄を追求し、人類の発展に寄与する。
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「日本の自立と繁栄」が、どのように「人類の発展に寄与する」のでしょうか?
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一、日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる。
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「日本の精神と伝統」とは具体的に何なのでしょうか? それを活かしてつくる「調和社会」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
こう考えると、意味深なキーワードが次々と繰り出されている事が分かります。このあたりが「ど真ん中の剛速球」なのです。
(「天皇を中心に」とは、「大御宝(おおみたから)を鎮むべし」)
この理念・綱領を肚落ちできるよう理解するためには、わが国の成り立ちそのものを辿ることが早道だと思います。このあたりは、講演会でじっくりお話ししたいと思いますが、本稿では紙面の関係で、あらすじだけをご説明しましょう。
まず、第一項の「天皇を中心に」という表現が、戦後の左翼教育を真面目に受けてきた人々には、すぐには共感できないでしょう。自民党や維新の会の綱領でも、これほどストレートには出てきていません。
この点を私なりに読み説きますと、まず、日本国を建国された初代神武天皇は即位されたときに、「大御宝(おおみたから)を鎮むべし」と宣言されています。
「大御宝」とは『日本書紀』では漢字で「元元」と書いています。漢文では単なる「人々」という意味ですが、我が国では大和言葉で「おおみたから」と読ませたのです。したがって、わが国では民は「大御宝」と考えられていたのです。そして、その「大御宝」が「鎮むべし」、安心して暮らせるようにしよう、これが建国の目的であり、天皇の使命でした。
続いて神武天皇は「八紘(あめのした)を掩(おお)ひて宇(いえ)にせむこと、亦(また)良からずや」と述べられています。「大御宝」といっても、個人が物質的に安楽な生活をする福祉国家を目指したのではありません。「一つ屋根」の下で、祖父母、両親、兄姉から幼児まで、それぞれ処を得て、一家全体のために支え合う、それを「大御宝」の理想の姿とされたのです。
日本語の「国家」にはわざわざ「家」の字を添えられています。国とは家と同じようなものと見なした先人たちの国家観が、「国家」というたった一つの言葉からも窺えます。私の知る限り、外国語にはこういう表現はありません。
これがまさに「先人の叡智」であり、それを活かして「天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」とは、民が大御宝として安心して、活き活きと支え合って行ける国家を作ろうということなのです。
これは現行憲法冒頭の「第一条 天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」という規定にも通じます。「国民統合」とは、国民が一つの家族のように、力を合わせて、国家を運営していこうという覚悟であり、それは初代神武天皇の示された「大御宝の一つ屋根」を実現しようという祈りに繋がるものだからです。
参政党綱領の「天皇を中心に一つにまとまる平和な国」とは、こういう国を目指していると私は解釈しました。
---owari---
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