小平奈緒さんはスピードスケート女子500メートルで現在、37連勝中のトップアスリートで、言わずと知れた平昌冬季オリンピックの金メダリストです(連勝記録は残念ながら今月9日で止まりました)。
小平奈緒さんは1986年長野県生まれ、3歳でスケートを始め、小学5年時の長野五輪での清水宏保選手の活躍を目の当たりにし、益々スケートにのめり込まれた。中学2年で500mの中学記録更新。高校時代のインターハイでは500m、1000mの二冠達成。2005年に結城匡啓(ゆうき まさひろ)コーチの指導を求めて、信州大学に進学。特訓と試行錯誤を重ね、各種大会で活躍中。
卒業後2009年松本市内の相澤病院に就職。同年の全日本スピードスケート距離別選手権500、1000、1500mで三冠。2010年のバンクーバーオリンピックでは団体パシュートで銀メダルを獲得。2014年ソチオリンピック500mで5位入賞。そして昨年の平昌オリンピックで見事に500m金メダル、1000mで銀メダルを獲得。不断の努力は尚続いています。
奈緒さんは今年33歳になられます。
身長は165cmと小柄ながらも、世界の強豪アスリートを次々と降してきたのです。
彼女の精神力がとても強かったので、ライバルに臆することなく戦えたのだと思っています。
奈緒さんの強さの秘密は何でしょうか?
奈緒さんがスケート王国・オランダに留学したことだと、私たちは思っていないでしょうか。
その点について、奈緒さんのインタビューがあります。
「オランダでトレーニングを決めたのはソチオリンピックの少し前だったのですが、競技人生も後半にさしかかる27歳という年齢で、世界のスケートの本質を見てきたいと思ったのです。何かがあると思って行ったオランダでしたが、自分が求めていた中距離(1000、1500m)に関するヒントは掴めず、成績もその2年間全く伴わなくて、むしろ500mに特化するような結果になってしまいました。
ただ帰国後、結城先生と遠征を振り返る中で気づいたことはたくさんありました。例えば、オランダ人と同じことをやっていてもオランダ人には勝てないということ。背の高いオランダ人がそれをメリットにして極めようとしていることを求めようとしても、日本人には合わない。日本人のメリットを最大限生かしながら、オランダ選手がやっていることをアレンジして取り入れるというのが「正解」なんだと。そのようにして結城先生との対話の中で自己流が積み上げられてきたんだと思います」と語っていた。
その自己流の一つに、解剖学の知見を深め、スタート時の右手を浮かすあの仕草が試行錯誤の末、ベストポーズとして生み出されたのです。
そして、奈緒さんの最も強いところは何かと言うと、競技に臨む情熱であり、技を極める求道者としての精神であり、真摯な態度ではないでしょうか。野球のイチロー選手にも通じるところを感じるのです。
平昌冬季五輪で金メダルに輝いたレース後の会見では、「金メダルは名誉ですが、どういう人生を生きていくかが大事」などの「名言」を披露、大きな反響を呼んだと報道されました。
奈緒さんはこれまでも数々の「反響のあるコメント」を残されており、ネットでは「名言すぎる」「ステキな言葉」といった感動を呼んでいるのです。
それでは、その名言と呼ばれている言葉を少しピックアップしてみましょう。
(毎日の生き方)
・悔いの残らない毎日を生きよう
・ただひたすら目の前の事に全力を注ぐのみ
・生きるとは「燃えること」「楽しむこと」 自分なりに「チャレンジすること」
・日々自分超え
・いつも笑顔を忘れずに
・ただひたすら目の前の事に全力を注ぐのみ
・「世界で私が一番スケートが好きなんだっていうのを体からあふれるぐらい出していきたい」
・与えられるモノは有限、求めるモノは無限
・誰かの人生を生きることはできないけれど、 誰かの生きる勇気にはなれる
・誰かの心を動かせていることが、とても嬉しいです
・大事なのは決して振り回されない自分の強い気持ち
(学び)
・私にとってのスケートは「学び」
・成長するというのは、学びが多いということ
・「上には上がいる」「先には先がある」と思えば、何が足りないか、何が強みなのか冷静に判断できる
・.私にとってのスケートは、「学び」なので、自分のレースを一生懸命やった後はしっかりと他の選手の滑りを学んで必ず超えたい
(感謝)
・今を思いっきり生きる。「今」があることに感謝しています
・「ありがとう」が尽きない毎日です
・自分との戦いに日夜費やしていながらも,他の人々に対する感謝も忘れてはいません
・私らしさで、必ず恩返しします(所属先の相澤病院に対して)
(「夢」を応援してくれる相澤病院(所属先)は、家族のように温かい応援団です)
そして、奈緒さんの座右の銘となる言葉が出てきます。
「私『小平奈緒』っていう生き方をしていきたいなと思っているので、『永遠に生きるかのように学べ、明日死ぬかのように生きろ』っていう(ガンジーの)言葉があるんですけど、そういう言葉のようなシーズンを送れたらいいかなと」と語っているのです。
このガンジーの言葉(名言)はガンジー自身の言葉ではないとも言われていますが、奈緒さんが座右の銘にされていることは確かなことです。
この言葉に共感される奈緒さんの心境には、仏教の教えである「諸行無常」や「輪廻転生」の思想が入っているように感じるのです。人間は永遠に生き続け、学び続ける。そして明日、この世を去ることになったとしても、悔いがない人生を過ごすべきだという強い信念を感じるのです。
そのような考え方をお持ちになった理由の一つに、お父様の影響が大きかったのではないかと推察しています。奈緒さんがオランダに行ったとき、お父様からメールをいただいたそうです。
「奈緒の人生は神様がくれた時間。悔いのないように思う存分使いなさい」と綴ってありました。
奈緒さんは、「オリンピックでの結果だけを追いかけていた自分が小さく思えて、自分の人生の中で競技できる時間はほんの一部分、その後の人生の方が長いので、オリンピックで金メダルを取ること以上に、その後の人生を充実させていくことの方が、豊かに生きられるんじゃないか」と語っておられました。
お父様の要所要所での見事なお言葉や結城コーチの「身体の知」の言語化に固執する指導が、元来宮沢賢治好きという奈緒さんの精神性や身体性をさらに大きく、強く、美しく成長させたのではないでしょうか。
技を極める求道者としての人生に乾杯! 小平奈緒さん。
---owari---
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます