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笑いは糖尿病を改善するのか?

2017年05月11日 | 人体

糖尿病は日本人の5人に1人はその患者か予備軍であり、国民病といってもよいほどありふれた病気だと言われています。もう少し正確に言いますと、糖尿病の総患者数は316万6,000人、糖尿病が強く疑われる成人男女が約950万人、病気の可能性を否定できない「糖尿病予備群」は1,100万人という内訳です(平成24年度・厚労省公表)。

 

この糖尿病に対する年間医療費は1兆2,076億円で、糖尿病患者さんの脳卒中の危険は、糖尿病でない人の3倍、糖尿病患者さんの心筋梗塞・狭心症の危険は、糖尿病でない人の3~4倍と言われています。

 

人口10万人に対する糖尿病による死亡率を都道府県別にみると、徳島県が17.6人と、全国平均の11.0人を大きく上回り、6年連続で全国ワースト1位だったことが明らかになりました。

一方、全国ベスト1位は神奈川県の7.1人でした。全国平均を大きく下回り、ワーストの徳島県の半分以下にとどまっている。ベスト2位は滋賀県の7.3人、3位は愛知県の8.2人でした。

 

徳島県がなぜワースト1位なのか、その原因は徳島県によれば「運動不足と食べ過ぎ」だそうで、県民平均の1日の歩数は6200歩と、全国平均より1000歩も少なく、肥満の割合も高いようです。公共交通機関が少なくて、マイカーを利用する県民が多いことが運動不足に繋がっているといいます。

 

でも私は徳島県によく出掛けたことがあるので、わかるのですが、県民のみなさんは甘いものがお好きのようです。例えば、ちらし寿司やお好み焼きに「甘い金時豆」が入っていますし、鳴門地方では、お赤飯に「ごま塩」ではなくて、「ごま砂糖」をかけておられました。

 

歴史的な経緯はあるとしても、これって、糖尿病を引き寄せている大きな原因と思いませんか。

しかし、徳島県は特産のサツマイモ「鳴門金時」や「阿波和三盆(わさんぼん)糖」など、甘い食べ物が有名ですから、甘いもの好きは仕方がないとしても、『糖質制限食』の食生活に改善して頂きたいですね。

 

平成25年度国民生活基礎調査においては、男性の通院者の通院理由の第2位が糖尿病であるほど男性に多い病気でもあります(女性は6位以下)。

糖尿病は一度病気にかかると完治が難しい病気ですが、病気と上手に付き合うことで症状を悪化させずに暮らすことも可能なので、治療は頑張って頂きたいですね。

 

話が横道にそれ過ぎました。

今回は、糖尿病の予防や糖尿病にかかった人の症状改善に役立つ笑いの効果をご紹介します。

 

笑いの健康効果については、いろいろな研究で確かめられています。そもそもの始まりは、1976年に米国のジャーナリストのノーマン・カズンズ氏が書いた闘病記。彼は笑うことで自らの難病を克服したと発表しました。これを皮切りに医学的な研究が始まり、笑いによって免疫力が上がり、痛みやストレスを感じにくくなるといった研究報告が相次ぐようになりました。

 

東京家政大学准教授の大西淳之氏は、筑波大学名誉教授の村上和雄氏らと共同で、遺伝子レベルで笑いの健康効果を研究しています。

 

こんな興味深い研究があります。“笑いの総合商社”吉本興業の協力の下で行った実験です。

参加したのは中高年の糖尿病患者19人。500kcalの食事を摂った後、1日目は糖尿病についての単調な講義を受け、2日目には吉本興業の芸人による漫才を鑑賞して大笑いした(いずれも40分間)。

 

そして、いずれの日も食事から2時間後に採血をして、血糖値がどのくらい上がったかを調べた。その結果、講義を聞いた日の食後血糖値は平均で123mg/dL上がったのに対し、漫才を鑑賞した日は77mg/dLの上昇だった。つまり、漫才で爆笑した日は講義を聞いた日に比べ、食後血糖値の上昇が46mg/dLも抑えられていたのだ。

 

“笑い”は糖尿病患者の食後血糖値の上昇を抑制したのです。

(出典:Diabetes Care.2003;26:1651-1652. Personalized Medicine Universe.2012;1: 2-6)

 

また、がん細胞などを殺す「NK(ナチュラルキラー)細胞」を調べたところ、大笑いした後は、もともとNK細胞の働きが低い人は高くなり、高すぎた人は低くなって、適正な状態に落ち着いていたという。

 

さらに、血液中の白血球を遺伝子レベルで調べてみるとどうだったか。「笑った後には、感染予防やNK細胞の活性化などに関わる遺伝子群の発現が高まり、一方で、糖尿病や抑うつ、炎症反応に関わる遺伝子群の発現は低下するという傾向が認められました。

 

つまり、健康にとって良い遺伝子のスイッチがオンになり、逆に健康を損なうような遺伝子はオフになっていたのです」と大西氏は語った。このような遺伝子レベルでの変化が起こった結果、食後血糖値の上昇が抑えられたり、免疫力が高まったりしたと考えられたわけです。

 

「そもそも糖尿病の患者さんは、不安や恐怖、悲しみ、痛みなどのストレスがあると、血糖値が上がりやすくなることが分かっています。ところが、笑うと、それとは逆の現象が起こる。笑いは、喜びや楽しみ、心地よさ、満足感といった“快”の感情が表に現れ出たもの。そういった前向きな心の状態が身体によい影響を及ぼすのです。まさに『病は気から』ですね」(大西氏)

 

しかし、作り笑顔“にも効果があると認められているそうです。

笑いは体と心に効く。家族や友人同士で冗談を言い合って笑うもよし、漫才や落語で爆笑するもよし、飲み会やカラオケで大笑いするもよし。楽しい“快”の感情が増えれば、緊張もほぐれ、人間関係も潤う。ただ、そうは言ってもなかなか笑えないという日もあります。そんな時にぜひ試してほしいのが、“作り笑顔”です。

 

「笑うと、口角を上げる大頬骨筋(だいきょうこつきん)や目の周りの眼輪筋(がんりんきん)などの表情筋が動いて、笑顔ができる。別に楽しいことがなくても、この表情を作るだけで脳は笑っていると錯覚し、気分がほぐれてきます。箸を歯で横にくわえて、“作り笑顔”をするだけでも、脳のドーパミン系の神経活動が活発になって、快の感情が引き起こされたという報告もあるのです」(PLOS ONE (2009) Jun 1;4(6):e5754)。

 

大西氏はそう言って、積極的な笑顔作りを勧めます。

笑いに関することわざや格言は、世界でも日本でもあります。

旧約聖書には「笑いが病を治す」と記されています。笑うと痛みが軽減することは古くから経験的に知られていたのです。

 

日本では昔から「笑う門には福来る」とか「笑いは百薬の長」と言うように、笑いは糖尿病の症状の緩和だけではなく様々な健康効果も期待できる行動なのです。

 

幸せ物質「エンドルフィン」を放出させる行為、それが「笑う」ことです。別名「幸せ物質」とも呼ばれているエンドルフィンが鎮痛効果を発揮してくれることは、すでに科学的に証明されています。

 

『幸福論』を書いたフランスの哲学者・アランは、こんな言葉を残した。

「幸福だから笑うのではない、笑うから幸福なのだ」。これは医学的にも正しい。人生、笑ったもの勝ちである、ということでしょうか。

 

どうも、人体は喜んだり、楽しんだり、笑うことで免疫力を高め、血糖値の上昇を抑え、ストレスを緩和させたりする設計になっているようです。

神仏は「身体はそのようにお使いなさい」と私たちに語りかけているのではないでしょうか。

 

---owari---

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