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毛布の使い方、知ってました?

2017年12月09日 | 新聞・テレビ

先日、テレビニュースのキャスターが毛布にはウラとオモテがあり、ラベルがついている面がオモテと言いました。そのオモテ面を肌側にするのですよと、教えてくれたのです。通常はラベルが付いている面はウラになると思っていたのですが、オモテ面だという。

 

その表示方法は納得するとして、私が使っている毛布の面を確かめると、不正解のウラ面を使っていた。それで少し毛布の使い方について調べてみました。

 

毛布の使い方は、2年前ぐらいにテレビやネットで話題になったので、一周遅れの情報はいらないよと言われそうですが、調べると結構、奥深くて、生活に身近な情報なのでお聞きください。

 

まとめるポイントを整理します

①「掛け布団の上に毛布を掛けるのが正しい」は本当か?

②「毛布のウラ・オモテ、肌側はオモテ面か正しい」は本当か?

「室温と寝具の選び方・掛け方の順番」について

 

以前、毛布を購入した主婦が、「今まで毛布は掛け布団の下にして寝ていたが、毛布は掛け布団の上に掛けて使うのが正しいと布団屋さんから聞いて、とにかく衝撃でした! だって私が信じていたものが根底から覆されたんですから!いやいや、大袈裟でもなく本当に40年間知らなかったのでショックですよ」と言ったのです。

 

このような情報が巷に流れていると思われますが、これは大きな誤解です。掛け布団の上に毛布を掛けた方が暖かいのは、羽毛布団の場合です。

 

かつて、日本の布団はほとんどが綿布団でした。綿布団は水分を多く含んでいるため暖まりにくく、毛布を下にするほうが暖かく感じます。つまり、従来の「下毛布」は長く綿布団を使ってきた日本人にとっては理に適っていたわけで、間違っていたわけではないのです。

 

ところが、日本でも羽毛布団が流通するようになると、それまでの綿布団の常識と海外から入ってきた羽毛布団の常識がごちゃ混ぜになった。その結果、このような誤解が生じているのです。

 

オムロンヘルスケア「ねむりラボ課」の西口恵氏の話では、「素材によって推奨される順番は異なります。綿布団のほかにも、羊毛布団や合成繊維布団などは、従来どおり『下毛布』にしたほうが良いでしょう」と語っています。

 

したがって、整理ポイント①「掛け布団の上に毛布を掛けるのが正しい」は本当か? の答えは、「羽毛布団の場合、毛布は上に掛けた方が暖かい」が正解です。

 

上毛布は掛け布団の素材が羽毛や純羊毛などの動物性繊維である場合に限られるのです。ポリエステルなどの合成繊維や綿でできた布団を使用している場合、掛け布団を体に密着させても特別な効果はないのです。

 

それでは、整理ポイント②「毛布のウラ・オモテ、肌面はオモテ面か正しい」は本当か? これについて、日本毛布工業組合からの情報があります。

 

「毛布にウラもオモテもあるワケないわ」「ラベルのついている方がウラに決まっているさ」と思っている方、どちらも間違いです。実はラベルのついている方がオモテ。そしてオモテを肌側にして寝るのがスタンダードな毛布の使い方だという。

 

それでは、毛布のウラ面とオモテ面は何が違うのか、ということですが、一般にオモテ面は細くて良い糸を使っており、毛の密集度が高い。また、毛足の長さがウラ面より短いため、肌ざわりがなめらかです。一方、ウラ面は毛足が長く、身体に密着することから“隙間から暖気が逃げにくい”と言われています。

 

私が思うのは、毛布は必ずオモテ面を使うべきだと言うのではなくて、毛布に肌ざわりを求める方はオモテ面を、暖かさを求める方はウラ面を使えばよいのではないでしょうか(季節で変わる室温によって決めてもよいと思います)。ただし、蛇足ですが、毛布の造りとして二重の毛布の場合、これは両面オモテですから、どちらの面でもOKです。

 

したがって、整理ポイント②「毛布のウラ・オモテ、肌側はオモテ面か正しい」は本当か? の答は毛布のウラ・オモテは違いがあり、業界のお勧めはオモテ面を肌側にして寝る、が正解です。皆さんは自分でオモテ面、ウラ面を使用してみて、自分に気に入った使い方をすればよいのではないでしょうか。

 

最後の整理ポイント③「 室温と寝具の選び方・掛け方の順番」についてお話します。

今までは、毛布の肌ざわりや暖かさについてお伝えしましたが、この答えだけでは「質の高い睡眠」は得られないのです。

 

日本睡眠科学研究所では「寝床内気象(しんしょうないきしょう)」が重要だと述べています。

寝床内気象とは「布団と眠っている人の間の空間の温度と湿度」をいいます。

多くの実験で快適な温度は33℃±1℃、湿度は50%±5%(RH)と分かっています。

 

つまり、布団の中は34℃よりも暑くてはダメで、湿度も55%よりジメジメしてもダメなのです。

 

一例として、羽毛布団の上に毛布をかけるとどうなるのでしょうか?

毛布を上に掛けると暑くなりすぎて蒸れすぎる場合があるというのです。羽毛布団は、詰め物である羽毛(ダウン)がとても細かい繊維のため、外へ吹き出さいないように、外側の生地にダウンプルーフ加工(布生地を加工)が施されています。

 

このダウンプルーフ加工を強く掛けると羽毛布団の通気性が悪くなります。そのため、毛布を羽毛布団の上に掛けると確かに暖かくなりますが、場合によっては暖かくなりすぎて、そしてムレすぎてしまうことがあるのです。特にアクリル毛布は、天然素材に比べると吸湿性が悪いので羽毛布団の上に掛けることで更にムレが進むのです。

 

なぜウールなどの天然素材を羽毛布団の下に掛けると質の高い睡眠になるのか?

ウールなどの天然素材は、もともと湿度の調節を得意とする繊維です。そんなウールの毛布を羽毛布団の下、つまり布団と人の間に掛けて寝ると布団の中の温度、湿度が理想の33℃±1℃、湿度は50%±5%になりやすくなります。

 

「より質の高い睡眠を目指す」場合は羽毛布団の下に天然素材の毛布を掛けて寝ることをおすすめします! と言うことでした。

 

もちろん、布団の中の温度、湿度は室温にも影響されるので365日、羽毛布団の下にウール毛布の組み合わせが良いわけではありません。

 

日本睡眠科学研究所では下記のような組合せを推奨しています(敷布団から上の組合せです)。

(1) 室温5℃前後の場合・・・真綿掛け布団(1㎏)+羽毛掛け布団(1.2~1.3㎏入り)

(2) 室温10℃前後の場合・・・毛布(天然素材)+羽毛掛け布団(1.2~1.3㎏入り)

(3) 室温15℃前後の場合・・・羽毛掛け布団(1.2~1.3㎏入り)のみ

(4) 室温20℃前後の場合・・・真綿掛け布団(1㎏)のみ

(5) 室温25℃前後の場合・・・綿毛布またはタオルケット

 

テレビの特集やネットの書き込みでは、ついつい「暖かさ」ばかりに注目が集まります。しかし、「質の高い睡眠」には暖かさだけではなく最適な湿度も重要です。そして毛布の種類や掛け方によっても睡眠の質は大きく左右されます。

 

そうですね、お子様や汗をかきやすい人が下毛布でアクリルなどの合成繊維を使っている場合、寝始めは暖かいのですが、朝起きると汗をかいている場合があると思います。このような場合は下毛布を綿・ウール・カシミヤなどの天然繊維にすれば、汗を吸って快適な状態を保ちます。特にウールには湿気を熱に変える性質があるので、より温かく眠れとのことです。

 

それから、私は寒がりなので、以前から敷布団(実際はベッド+敷きパッド)の上にボアシーツを使っています。ボアシーツを初めて使ったときは電気毛布ぐらいの暖かさを感じましたので、暖かさをお望みの方はぜひ使ってみてください。

 

最後になりましたが、明治時代の毛布に関するお話です。

毛布が最大の贅沢品であった明治40年の頃、某デパートで売り出された毛布についた値段が4円から15円でした。当時、100円もあれば、100坪の土地に30~40坪の家が買えたのです(当時は土地も家も安かった?)。

 

4円の毛布なら25枚、15円なら、6~7枚でマイホームが建ったという。今では考えられない毛布の値打ちですが、毛布には本来そのような貴重な価値があったということではないでしょうか。毛布を開発された先人に感謝いたします。

 

---owari---

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