(憲法9条改正と防衛予算GDP比2%は国家として当然の責務)
米国の対中国政策の変化に始まり、日本が取るべき外交戦略を考えてきましたが、国防戦略においても、大きな転換を迫られています。
それは「自分の国は自分で守る」ことです。戦後政治のタブーを一つずつ破っていくべきだと考えています。
まず、憲法9条第2項の「戦力不保持」「交戦権否認」は改めなければなりません。自衛隊については、日本の主権を守り、世界の平和の建設に貢献するための「防衛軍」とすることです。
憲法9条に自衛隊を明記する「加憲」という考え方が2017年5月に安倍首相から提示されましたが、それでは、抜本的な国防強化にはつながりません。自衛隊の「違憲」論争に決着がついたとしても、「戦力」についての神学論争は続くはずです。
これでは首相が掲げてきた「戦後レジームからの脱却」どころか、「維持」することになってしまいます。
安倍首相が今の憲法の規定の範囲内で、集団的自衛権の限定的行使容認に転じ、保有する装備を充実させていることは評価できますが、真正面から国民に対して、9条改正がなぜ必要なのかを訴えなければ、戦後の呪縛は解けず、日本はいつまでも「半主権国家」のままです。
防衛予算のGDP比1%の壁も取り去り、2%水準に上げるべきです。各国の2017年の防衛費をGDP比で見ると、米国は3.1%、中国は1.9%(中国政府の公表値/実際はその倍以上と言われている)、韓国は2.6%、英国は1.8%と、いずれも1%を超えていますが、日本は0.9%と、先進国で唯一1%を下回っていました。
日本は2019年度の防衛予算を前年度より増額して約5.25兆円としていますが、それでもGDP比1%を下回る水準です。
トランプ大統領は、例えば、NATO加盟国に対して、最低GDP比2%の防衛費負担を要求していました。アジアでは韓国に、米軍駐留経費の増額を強く迫りました。日本だけが例外視されることはありえません。日米貿易交渉の過程などで今後、米国側から指摘される可能性は高いと思われます。
そもそも、後ほど触れる、宇宙・サイバー・電子領域での戦闘となれば、防衛費は現状の額の少なくとも2倍は必要です。今、一部の国会議員や安全保障の専門家にも理解が広がりつつありますが、防衛費倍増を掲げなくてはなりません。
また、東南アジアの首脳たちも、「強い日本」であってほしいと期待しています。日本に向かう輸送船の航路を守っているのは、主に米軍です。中国が進出している南シナ海から台湾南方のバシー海峡は、日本にとっても生命線です。
いま、中国の野心を抑え込むために、米国海軍は何度も「航行の自由作戦」を行っていますし、英国やフランスまでもがアジアの海に出てきていることを、日本人はもっと知る必要があります。自国の経済成長だけを考えていればいいというのは、発展途上国の発想です。
米国は、かつて日本を警戒していた時期もありましたが、少なくとも今のトランプ政権は、日本がアジアで責任を果たす国となることを望んでいます。
白人優位の人種差別が当たり前だった時代に、経済的にも軍事的にも文化的にもアジアに冠たるリーダー国だった日本は、世界史の奇跡です。さらに、経済大国として「高貴なる義務」を果たすことに日本人が誇りを感じられるようになれば、この国はさらに輝くと思います。
---owari---
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