(責任感のある人を育てるには)
・その人の「分限」を教えておく
もちろん、無責任というのもいけません。「何でも好きなようにやれ。責任は俺が全部、取ってやる」と言うのは簡単ですが、実際にはなかなか取れるものではないので、口だけでは駄目なのです。
こうしたことに関して、私は相手の癖(くせ)や傾向(けいこう)などを見ていって、「〇〇さんにこの仕事を任せたらどうするだろうか」と想像したら、「このあたりで危なくなるだろうな」と予想がついたので、「危ないな」と思うところについては事前に“釘(くぎ)を刺(さ)して”いたのです。
そして、「この人は、おそらくあのあたりで危なくなるな」と思うところや失敗しそうなところがあれば、「こうなったときには気をつけてください」、「その場合には、私に一声かけてください」、「ちゃんと相談が要りますからね」などと釘を刺すわけです。
また、その人の“限度額”というか、「この程度まではやっていいけれども、これを過ぎた場合は、ほかの人や上の者と相談しなければ駄目ですよ」という分限(ぶんげん)を教えておくのも大事なことだと思います。
やはり、無制限に「期待しているからな! 好きなようにやれ!」と言うだけでは駄目であって、そのへんの分限をある程度教えておく必要があるでしょう。
そうするに当たっては、人によって忠誠心や正義の心が強いタイプの人と、そうでない人がいるので、このあたりもよく見抜いたほうがよいと思うのです。
例えば、「この人は、誰も見ていないところでお金をごまかしたりはしない人だ」とか、「この人は、会社や組織に対する忠誠心がきちっとしているから、危なくなったら言ってくるだろう」とか、「私に知らせておくべきだと思ったら、言ってくるだろうな」とかいうように安心できる人もいれば、そうでない人もいます。このへんを見分けていったほうがいいだろうと思うのです。
ともかく、「責任感も能力の一つなのだ」ということを知ってほしいですし、これは経験によって磨(みが)かれるものでもあります。そのため、チャンスがあれば、責任ある立場に就(つ)けてみるのもよいと思うのです。
---owari---
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