5年前の夏、東北の青森から仙台を一週間かけて走り旅をした。主催者は今回の「日本縦断走り旅2017」のM氏。
実は、これはその年の秋に北海道から南下して鹿児島の佐多岬をゴールとする第1回目の日本縦断走り旅のプレ大会であった。
M氏の走り旅の特徴は、主催者自ら参加すること、同時に参加者自らが主催者であること・・・そして何より、旧街道を行くのでコンビニが無い、ということ。国土地理院発行の2万5千分の1の地図に昔の街道をトレースした地図を基に進む。だから、主催者自ら、其の場で道が途絶えていることに気付く・・・
旧街道の保存状態は、自治体によって大きく異なった。保存状態の良いところは、しっかりと案内板まで表示して親切に歴史を物語ってくれる。付近の住民も、「ここは昔、お殿様が江戸に行く途中、通った道だ」と誇らしげだ。
一方、歴史に全く興味と関心の無い自治体は、旧街道が荒れ放題・・・今や獣すら通らない道で、途中でわからなくなって何度か藪漕ぎをさせられた。はなはだしいのは、旧街道をごみ焼却施設が分断していたことである。歴史的遺産を公共施設が邪魔してる、なんて自治体の教育委員長の歴史認識の低さを物語っているようだ。
さらにはなはだしかったのは・・・なんと旧街道が掘り起こされ・・・歴史的以遺構でも発掘しているのか?と思ったら全く正反対で、ここにバイパス道路を開通させるためだと言う。もちろん、付近の住民はそこが江戸前後から続く歴史的な道である、なんてこれっぽっちも思っていないのだろう。万一、知っていたとしても、とりあえずは目の前の「利便性」か?
利便性?冗談じゃない、すぐそこに国道が走っているではないか?なのに、わざわざ歴史の道を寸断してまでバイパスを作る必要があるのだろうか?
その時の怒りが今、私をこうして「日本縦断走り旅2017」の刊行に走らせているのかもしれない。
先人たちの知恵をないがしろにしてはいけない。もっと歴史のすばらしさを多くの人に伝えたい・・・