いろんな本で、この本のからゆきさん「おサキ」が激賞されている。最近読んだ本では、町田宗鳳さんや楠木建さんがべた褒め。
この本は母の蔵書にもあった。
こりゃぁ読まねばと思って読んだら、、、
石牟礼道子『苦海浄土』の語り口じゃないか!
引き込まれるように読んだ。
苦海浄土もこのサンダカン八番娼館も、九州のオナゴの話。私の祖先が九州で、従姉妹が九州女子だったりするから、(女性の)九州弁がスッと私には入りやすいってのもある。
おサキさんって、私の祖母(大正8年生まれ)と10−20歳くらいしか違わないんだ、、 おサキさんの息子って、私の叔母と同い年くらい。
だからおサキさんって、俺達の婆さん世代の話、、、
つい最近ですよ。
つい最近、こんな時代があった。
からゆきさんが、身体を売らされて、底辺の、文字通り底辺の生活を送っている時代があった。
文字通り底辺の、なんて陳腐な言葉で書いても伝わらない。禽獣とさして変わらない、って書いたら失礼だろうか。
いや、おサキさん自身もそんな表現をしているので、失礼には値しまい。
初潮が来る前の13歳から、客を取らされ、、、 多い日は一日30人も、、、
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石牟礼・苦海浄土は世界文学になった。
石牟礼・苦海浄土は世界文学になった。
(池澤夏樹編の世界文学全集に入った)
じゃあ、このサンダカン八番娼館も世界文学だ。
おサキさんの魅力については、是非本書を読み進めて味わっていただきたい。人間の本性とは何か、人間の美しさ、強さって何なの、ってことまで考えさせられる。
娼婦でも、こんな美しい方がいらっしゃる。
心の美しさ。芯の強さ。
この本を読むと、心の襞が一つ、増えます。
※ サンダカンは、マレーシア・カリマンタン島の北辺あたり。 こちら
いつかサンダカンに行って、おサキさんに思いを致したい。
ちなみにタイトル『サンダカン八番娼館』にえも言われぬ磁力があるのは、「ん」の音が4つもあるからだろう。