中古住宅を買って、
リフォーム・リノベーションする際の
注意点。
※リノベーションにより古民家を暮らしやすく安全面と健康面に配慮した住まいに提案
リフォームやリノベーションを
依頼する会社は色々あり、
工事予算や
要望内容によって
依頼する業者も
変わるかと思います。
価格だけではなくて
どのような価値があり
どのような結果を
もたらすのか?。
相談する業者によっても
結果は大きく変わります。
木造の一戸建て住宅でも
2025年4月からは
法改正で新制度にもなり
リフォーム・リノベーションで
今までは
法令順守のうえで
許可不要だったものも
建築確認申請の対象になります。
勿論以前からの
リフォームや
リノベーションの制度も
一部許可不要だっただけで
法律に基づいて
制度や基準を守った
工事や間取り計画が
必要だった訳ですが
「好き勝手」している
ケースが多そうです・・・・・。
中古住宅を購入された方へ
古い住宅は
新築住宅と比べて、
多くの異なる部分があります。
それが原因で
価格が比較的安くなる一方、
快適な生活を送るためには、
購入後、入居前に
一定の改修が必要となります。
しかし、
改修には当然ながら
費用が発生します。
水回りも綺麗にしたいし、
使い勝っても変えたい。
リノベーション費用は
どれだけあっても
足りない感じがします。
僕が提案する
リノベーションの設計は、
それぞれの
ご家庭の価値観も考慮しながら
暮らしやすさを
重視しています。
しかし、
それよりも先に、
必ず行うべき
改修点を考えています。
それは、
家の長寿命化に直結しますし
安全面や
ご家族の健康にも
関連する内容だからです。
何でもやりすぎは
よくありませんので
バランスを考えたうえでの
方針としています。
特に重視するポイントは
次通りです。
- 断熱性の向上
- 気密性の向上
- 2階ベランダ・テラスの雨漏り対策
- 雨漏りの改修
- 構造の問題
まずはこれらの点を改修、
または向上させることを
お勧めしています。
1.断熱性を上げる
まず目的を
明確にするために
先に説明を・・・・・。
断熱性を向上させるためには、
単に高性能の
断熱材を設置するだけが
解決策ではありません。
別の重要な要素が存在します。
それは、
空気の移動を制限する
ということです。
簡単な例ですと、「隙間風」です。
なぜなら、
空気は熱を伴って
移動する性質があるからです。
そのため、
この空気の自由な移動を
抑制することが
重要となります。
これが「気密性」と
呼ばれるものです。
- 床
古い家は、
床が直接地面に
接しているため、
床下を通る冷気が
室内を冷やす
一因となります。
この問題を
解決するための
効果的な手段について。
- まず、床下の隙間を閉じ、間仕切りから冷気が上がってくるのを防ぎます。
- 次に、高性能な断熱材で床下全体を覆い尽くします。
これらの対策で、
床下が冷えるのを抑制し、
室内の快適性が
大幅に向上します。
- 外壁の断熱
- a) 外断熱:外断熱工法は、外壁の外側から断熱材で包む方法です。柱やその間にある壁全体を覆います。特に土壁で構築された外壁の場合、壁内部に断熱材を入れることが難しいため、この外断熱工法が効果的です。施工も比較的容易なため、お勧めの方法です。
- b) 内断熱:内断熱は、外壁の壁内に断熱材を充填する方法です。しかし、土壁の場合、断熱材を入れるための空間が存在しないため、室内側に断熱材を設置します。その結果、壁が内側に向かって突き出る形となります。
- 屋根・天井の断熱
古い中古住宅では
屋根や天井に
断熱材が
設置されていないケースは
意外と多いです。
適切な厚さと性能の
断熱材を
新たに敷き込むことにより、
室温を快適な状態に
保つことが可能となります。
- 開口部の改修について
窓(サッシ)の断熱性能は
非常に重要で、
可能な限り
高性能なサッシに
交換することを
お勧めします。
ただし、
既存のサッシを
交換する際には、
それなりの費用が
発生します。
サッシ周辺の外壁部分を
一部切り取り、
サッシを取り外した後、
外部と内部の補修が
必要となりますから。
冬場、
ストーブなど
室内で作られた
熱の大部分は、
ガラス部分を通じて
外に逃げてしまいます。
皆さんも
窓際で暑さや寒さを感じる事
ありませんか?。
そのガラス部分を
高断熱ガラス等の
性能が良いものに
交換することにより、
冬季の寒さ対策に効果的で、
費用対効果が
大きく上昇します。
特に古いサッシの場合は、
交換が最適な選択です。
また、
小さな窓については、
インナーサッシ(後付けの内窓)を
設置することも有効です。
ただし、
頻繁に出入りをする場所や
開け閉めのするのでは、
2枚建てのサッシを
開け閉めする必要があり、
日常生活では
少々面倒かもしれません。
2.隙間を閉じる(気密性能の向上)
- 屋根裏は隙間が多い
屋根裏は蜂の巣ができたり
奈良県だどコウモリやイタチ、
猫が出入りできるほど
隙間が多い部分です。
また、
室内で温められた空気が
高い屋根裏から
外に抜けてしまい、
室内の空気が
冷えてしまう
現象もあります。
これを防ぐため、
気密性をある程度
向上させる目的で、
屋根裏の外壁面にある隙間を
埋める工事を行う事も多くあります。
※必要な隙間はきちんと設けます。
- 壁や窓の隙間
特に古民家に多く見られます。
建物が傾いていると
柱の上下に隙間が生じ、
その隙間から
外の風景が
見えることもあります。
これらの隙間を
無くすためには、
建物の傾斜を修正し、
冷気の侵入を防ぐことが重要です。
しかし、
柱の歪み(傾斜)や
沈下を本格的に補修すると、
既存の建具や外壁も
修理する必要が出てきます。
- 床下から間仕切りの中を通って入る冷気
3. 2階のベランダ・テラス
- 家の傷みの大きな原因
2階のベランダ・テラスは、
改修時に解体すると
大抵雨漏りにより
階下が損傷していることが
見られます。
ボルトは錆びて緩み、
内壁や断熱材が
カビが生えたり
落下してしまっていることが
多くあります。
本来、
露出した2階ベランダや
テラスに施されている防水は、
紫外線や風雨にさらされ、
長期間にわたって
保持できるものでは
ありません。
10年以上経過していれば、
メンテナンスが必要で
防水の再施工が
必要と考えるべきです。
- 軒・庇を伸ばすか雨よけの屋根を架ける
直射日光と
雨風にさらされる
ベランダやテラスは
防水が難しいので、
軒や庇を伸ばす、
または雨よけの屋根を
設置することで、
直接雨が降り注ぐことや
直射日光の影響を
軽減することが可能です。
ベランダ・テラスを
増築する場合は、
階下の梁の補強、
建物全体のバランス、
屋根や壁の接続部からの
雨漏り等、
建物構造全体を考慮した
プランニングが必要です。
施工が適切でないと、
そこからも
雨漏りを引き起こす
可能性があるため、
増築は慎重に行うべきです。
- 下屋根にして洗濯物干場を屋内につくる
ベランダやテラスに
新たに下屋根を
設けることで、
洗濯物を屋根下で
干せる場所を
計画する事もできます。
これにより、
雨天時でも洗濯物が
干せるとともに、
雨漏りの心配も解消されます。
4.雨漏りの改修
- 過去何度も雨漏りの補修をしている家は、雨漏りが常習化している家
何度も雨漏りが発生する家は、
その根本的な問題が
解決されていない
可能性が高いです。
そのような場合、
専門家に依頼して原因を調査し、
根本的な雨漏りを
防止するための
対策を取る事が重要です。
一時的な応急処置は、
あくまで業者の
営業活動に過ぎません。
雨流入防止の材料を
いろいろな場所に
大量に塗りつけて
雨水を防ぐような
短期的な対策を推奨する業者は
避けるべきです。
- 屋根の葺き替えも視野に入れる
屋根材が劣化している場合、
この機会に屋根の「葺き替え」を
検討することも一つの考え方です。
費用はかかりますが、
新しい屋根材は
耐久性が高く、
根本的な
雨漏り対策にも効果的です。
ただし、
大きな古民家などでは、
屋根の葺き替えだけで
数百万円の
費用がかかることもあります。
必ず見積もりを取って
工事の内容と効能を
確認するように。
- 漏水場所の原因は、雨漏り部分の上部ではないことがある
雨漏りの原因は、
必ずしも漏水部分の
真上ではないことがあります。
特に風の強い場所に
建つ家では、
外壁に当たった雨水が
壁を伝って上昇し、
軒下や屋根の
上部隙間から
室内に入ることがあります。
- 屋根の上に乗っているものは降ろす方がいい
古くなり使われていない
太陽熱温水器などは
屋根の上にありませんか?
放置すると、
屋根を傷め、
雨漏りを引き起こすだけでなく、
落下による事故を
引き起こす事もあります。
使われていない温水器は、
そのタイミングで
撤去するほうがよいかと思います。
撤去の機会を逸すると、
後々機器類だけではなくて
構造的なトラブルの
原因となるかも知れません。
5.構造の問題
建物の耐震性を向
上させる改修を
検討することも重要です。
- 間取りの変更や柱の撤去は勝手にしない
DIYによる間取りの変更や、
柱が邪魔だと感じての
無計画な撤去は避けるべきです。
その柱が
どのような力を受けて
どのようなささえ方をしているのか
いるのかをしっかり確認し、
撤去しても問題ないか、
また補強が必要かどうかを
判断する必要があります。
壁や柱を撤去することで
耐震性が大きく低下するため、
必ず補強や
変更後の構造計画を
同時に考慮する事が重要です。
このような判断は
構造を考慮できる専門家と
相談した上で行ってください。
- 既存部分の安全性や耐震性はあるかどうか
古い家はほとんど
確実に耐震性が低いです。
耐震診断を実施すれば、
よくわかると思います。
建物単体ではなくて
土地の状態や敷地の安全性も含めて
そのまま住む場合も
リフォームやリノベーションする場合も
事前に建物の状態を確認し、
必要な場合は
敷地の安全性の確保も含めて
耐震補強工事等を
行うことを推奨します。
- 2000年より前の木造住宅は、基本的に耐震補強が必要
一般的には、
1981年5月までの建築物(旧耐震)は
耐震補強が
必要と言われていますが、
2000年以前に建てられた
木造建物は
現行の法規制以前のものであり、
基本的には
耐震補強が必要となるケースが
多いです。
※法改正後はまた基準も変わります。
古い建物であれば、
木造の平屋を除いて
ほとんど確実に
耐震補強が必要です。
- 大きな地震が来た際、倒壊してしまうと住む場所を失う事を知る
地震が発生したときに
建物が倒壊すると、
自分たちの住む場所を
失ってしまいます。
大切な家が一瞬で廃墟と化し、
命からがら逃げ出し
一時的に避難所に行くとしても、
帰るべき家はもうありません。
設計の際に
耐震性を高めることを話すと、
大きな地震まで
耐えられれば良いという
考えになりがちですが、
倒壊せずに耐えてくれれば、
手を入れる事は必要ですが
再び住むことができるという点を
考える必要があります。
地震が起きたときにわかる、
費用対効果が
分かりにくい改修予算ですが、
大きな地震があった後、
倒壊せずに
しっかり立っている
自宅を見ると
その価値がわかります。
※定期的な維持管理とメンテナンスが前提条件です。
中古住宅を購入して
リノベーションを行う場合、
既存の建物の
劣化具合や痛みが
今後の安全性や快適さに
大いに関わるため、
これらを正確に
評価することが重要です。
今回、特に重要だと思われる点を
提案しましたが、
もちろん他にも
基礎や床下の状態、
シロアリの存在、
水回りの土台の劣化など、
チェックすべき項目は多数あります。
そのため、
具体的な改修ポイントを
絞ることが重要です。
古い住宅の耐久性は、
建設時の施工会社の考え方や
技術により、
また、
以前の住人の
メンテナンス状況により
大きく変わります。
業者選びにあたっては、
建物の状態を調査・理解せずに
予算に合わせた
見積もりを出す業者ではなく、
建物をしっかり調査し、
必要な部分を修繕し、
予算を考慮しつつも
法令を遵守するのは
当たり前ですが
本当に手直しや補強が必要な部分を
正直に考慮して
意見を出してくれる
そして快適な空間づくりも
提示してくれる
業者を選ぶことが重要です。
新築でもそうですが
その先にある暮らしの目的を
どのように考えるのかで
選択肢も内容も大きく変わります。
安全面からも
暮らしのここちからも
丁寧に住まいを考えてみませんか?。
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建築家 山口哲央
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