小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

3年生社会「昔の道具」は『洗濯板VS洗濯機』でスタート

2019-01-15 21:03:29 | 授業中の攻略法
3年生の社会「昔の道具」
この単元はなかなか担任泣かせだと思います。
ちょうどよく学校に「郷土資料室」なんて場所があって、そこに「鉄瓶」やら「黒電話」やらが眠っていれば、ここぞとばかり使えますね。
(普段は「こんなものいつ使うんだろ」って思われている代物ですが 笑)

やはり3年生にとって馴染みがものすごく薄い「昔の道具」ですから、実物に勝るものはありません。
しかし、そんな教室はない学校も多いでしょう。
あっても、使える物はすくなかったり。
そこで、担任の先生は、地域の高齢者の方々に尋ねて回り寄贈を依頼してみたり、地域の郷土資料館や博物館への見学を計画してみたり、そんな骨の折れる仕事をすることになります。
それが難しいときは、実物とはいかなくても何とかICTで代用し、画像や動画でカバーしたり。

なかなか大変な単元です。

さて
この単元の導入にあたり、ちょっと盛り上がる面白い授業になったので紹介します。
昔の道具の中から1つ「洗濯板」をピックアップし、これについて考えていきます。
ズバリ
『洗濯板 VS 洗濯機』
の勝負です。
言い換えれば
『 昔  VS  今 』
ですね。

洗濯板の使い方の説明をした後、
「では、昔の洗濯板と、今の洗濯機を比べてみて、それぞれの『いいところ』を見つけてみよう」
と投げ掛けます。
「どちらでも思い浮かぶ方でいいですよ。いくつ書けるかな」

ノートに向かう子どもたちは、どちらにもきちんと想像をめぐらせて、結構な数を書けます。
そして書けたものを発表させていき、黒板の左右に分けて並べていきます。

『洗濯機』
◎楽ちん!
◎一度にたくさん洗える!
◎手をぬらさなくてすむ!
◎時間がかからない!


『洗濯板』
◎丁寧に洗える
◎汚れを見つけながら集中的に洗える
◎汚れが落ちるのが見えてうれしい
◎いい音がする(実際に触ってみたときにそうだった)
◎いい運動になる
◎がんばるから気持ちが込められる
◎洗濯機と違って場所を取らない

私はてっきり『洗濯機』の圧勝かと思っていました。
まあ実際にはもちろんそうなのでしょうが、子どもたちはなぜか「健気な洗濯板」を推す子が多くて、結果は洗濯板の勝利になってしまいましたね。
発表をしているうちに、自然と「洗濯機派」と「洗濯板派」みたいに分かれていき、どちらかに一票はいるたびに盛り上がっていました。

ここではもちろん勝負をすることが目的ではなく、それぞれの道具に、それぞれの時代に思いを寄せて、そこにある工夫や苦労を想像するというねらいがあり、こういった活動にすることでそこに迫れるものがあるように感じました。

3年生 算数「2桁のかけ算」思うほどうまくいかない理由

2019-01-12 06:54:05 | 授業中の攻略法
3年生算数「2桁のかけ算」です。
2学期までにかける数が1桁のかけ算とその筆算を学習してきているので、基本的な考え方や筆算のアルゴリズムは身に付いています。
だから、今回桁数が増えても基本は同じだと言うことに気付けば、子どもたちにとってはそう難しくないだろう…

これが大間違いです。
子どもたちの多くは、初めて臨む「2桁×2桁」の筆算に面食らってしまいます。

基本は同じなのになぜか。

それは、筆算をしたときの、あの、並ぶ数字の量です。
  45
×37
315
135
1665
この、積み重なる数字のボリュームに圧倒されるわけです。
そしてさらに、この中にはたくさんのかけ算やら、繰り上がりのあるたし算やらが混じっていることが分かり、もうパニックになりそうです。笑

筆算を構成する1つ1つの数字や計算の意味は、先生が説明する通り整理して考えれば分からなくはないのですが、このパニックは理屈ではなくインパクトの問題です。

だって、これまでの算数でこんなのみたことないもん!!

なので、授業をデザインする際は、2学期からの流れでいけるたろうなんて思わず、圧倒される子たちに優しい授業をデザインすることですね。
序盤は問題数は極力減らし、丁寧に。
そして、いつまでも圧倒されっぱなしではいけませんので、徐々に慣れさせていく必要があります。
中盤はやはり数をこなす必要があるでしょう。
しかしここら辺に来ると必ずぶつかるのは個人差の壁です。
できる子とそうでない子の対応をうまくやっていかなくてはいけなくなります。
問題量に差をつけたり、タイミングを見てペアを組ませ教え合うスタイルにしてみたり。


3年生「ちいちゃんのかげおくり」②根本的な違い

2018-10-20 20:50:05 | 授業中の攻略法
前回の続きです。

3年生国語「ちいちゃんのかげおくり」の初発の感想が,「かわいそう」「よかった」がそれぞれ半分ずつという実態でした。
この違いはどこから生まれるのか…
考えてみました。
それは,根本的な物語の「読み方」というか「入り方」が違うんだろうと。

「かわいそう」ととらえた子は…
物語を「客観的」に読んでいる子だろうと思いました。
必要以上に登場人物に感情移入せず,戦争という舞台も含めて客観的に物語り全体をとらえ,ちいちゃんや家族の死も,戦争の犠牲としてもたらされた「死」として真っ直ぐとらえている子だろうと。

一方,「よかった」ととらえた子は…
物語を「主観的」に読んでいる子だろうと思いました。
3年生という発達段階から,登場人物に強く感情移入し,戦争そのものを見るというより,ちいちゃんとその家族を強く見ており,最後の花畑での家族の再会をハッピーエンドととらえている子だろうと。

私が「かわいそう」という感想を予想していたのは,もちろん私は大人で自然と「客観的」な読み方しか,私自身がしていなかったからだろうと,後から分かりました。
まだまだ未熟です。
「主観的」に読む3年生という発達段階はあとから理解できましたが,もう一つ,きっとこの子たちの中に存在しているのは,「ハッピーエンドと,とらえたい」という願いです。
ちいちゃんに感情移入するがあまり,自然と,「悲しい話にしたくない」「残酷さを直視できない」というフィルターのようなものができあがり,それが自分の感想を前向きな方へと持っていたのだろうと思います。

3年生「ちいちゃんのかげおくり」①初発の感想は意外にも

2018-10-17 16:32:26 | 授業中の攻略法
3年生,国語「ちいちゃんのかげおくり」の実践です。

日記に,
「おうちで音読をお父さんに聞いてもらいました。
読み終わってお父さんの顔を見ると,お父さんは泣いていました。
びっくりしました。」
と書いている子がいました。
この物語,そうなんですよね。
私も教材研究のために久しぶりに呼んだとき,危なかったです。
私にも小さい子どもがいるからでしょうか。
やたら胸に響きます。

さて
今回は範読CDでスタートしました。
(感情がこみ上げそうで,自分で読む自信がなかったから)
15分ほどかけて聞き,子どもたちには初発の感想を書かせました。
ここでの感想から,子どもたちの実態を把握し,これ以降の指導計画を練り直していこうというねらいです。

3年生は,戦争というもの自体の知識が極めて乏しく,初めはこの物語をごく表面的にしかとらえられないはず。
その分,純粋に,素直に自分の感想を書けるのではとも思いました。
そして,子どもたちが書いた感想を見てみると…

驚きました。
私が想定していたのは,いわゆる「かわいそう」的な感想ばかりだろうと。
しかし,実際に子どもたちが書いたのは

「かわいそう」的なもの,半分。
「よかった」的なもの,半分。

でした。
「よかった」的なものの中身としては
・ちいちゃんが最後に家族に会えてよかった。
・周りに優しい人がいてくれてよかった。
・公園で,だれかが今もかげおくりをしてくれていればいいな。
おおむねそういう感じでした。

そうとらえる子もいるだろうとは思いましたが,その数の多さに驚きました。
(う〜ん,これは,今後どう進めようか…)
悩みました。
この物語の入口の時点で,根本的な部分が大きくクラスの中で分かれている状態です。

3年生のローマ字の授業は思い切って路線変更

2018-10-05 12:35:26 | 授業中の攻略法
3年生の国語でローマ字の授業をしました。
私は3年生を受け持つのが初めてなので,3年生の授業はどれも初心者です。
このローマ字の授業もそうでした。

まずうれしかったのが,ローマ字との出会いに子どもたちがとても喜んだことです。
新しい文字を読む,書く,ということがそんなに喜ばしいことがだとは知りませんでした。
子どもたちにとっては,
「ひみつの暗号を覚える・書く」
ような感覚があり,それがたまらなくワクワクするのかもしれませんね。
ローマ字と向き合う子どもたちを見ていると,そんな感じがしました。

最初の授業で,子どもたちはいきなり
「先生!今日の宿題はローマ字にして!」
と。
まだろくにアルファベットも書けないのに(笑)
私としては,ローマ字の授業の手順としては
「まず,アルファベットの形から入って,次に基本的な文字の構成,そして少しずつ複雑なやつを…」
とオーソドックスに考えていました。

しかし,ローマ字と出会ったときのハイテンションな子どもたちの様子を見て,路線変更することに決めました。

「よし!書いてみたい言葉,ローマ字でどんどん書いていいよ!」

この先生の言葉に
「やった−!!」
でした。
「自分の名前かーこう!」
「家族みんな書いてみよう!」
「え!?好きなキャラクターでもいいんですか!?」
「好きな芸能人でもいい!?」

「なんでもどうぞ。」
としました。
そこから子どもたちは,教科書のローマ字表と食い入るようににらめっこをしながら,ゆっくり,不器用な感じでえんぴつを動かし続けていました。
その集中力と言ったらまあすごいこと。
チャイムが鳴り終わってもまだ止めない子たちがいっぱいなくらいでした。
新しい文字,そんなにうれしいんですねぇ。

もちろん,基本を教えないままですので,筆記はめちゃくちゃです。
アルファベットの形も,大文字小文字の使い分けも,罫線の使い方も。

しかし,最初はそれでよしとしました。
それよりも大事なのは,この新しい文字との出会いに際して,子どもたちの欲求を満たすことだと判断しました。
いきなり間違いを書かせるのは,正直とまどいもありますが,それを正すのはその次からにすることにしました。
逆に,どんな間違いが多いかを見る機会にもなり,どんな指導が必要かも分かりましたし。