小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

授業の落とし穴「一部の反応にだまされるな」

2016-10-30 09:58:13 | 授業中の攻略法
授業をしていると,子どもの反応が気になります。
教師が説明したり,子どもが発表しありしたあとに,
「あぁ~」
とか
「おぉ~」
とか
「なるほど~」
とか,そういう声が聞こえると,
(お,分かってもらえたな)
と安心できます。
こちらとしては授業の手応えを得られる貴重な瞬間です。
この手応えが得られたら,安心して授業を次のステップに進められます。

今日の授業でもこういう場面がありました。
練習問題の解説をしたら,
「そっか~!」
という男の子の声が聞こえました。
それを聞いて
(よし,この問題はOKだな。)
と,次の問題に進みました。
そして授業が終わると,数人の女子が私のところにやってきました。
「先生,この問題が分からなかったんですけど」
すると,周りの子たちも
「あ,私もそこそこ!」
と。
私としては
「あれ!?」
という感じです。
だって,授業のときは,みんな
「そっか~!」
って言っていたのに?
いや,待てよ。
…みんな?
みんなではなかったな。
男子の声だったな。
男子の何人が言ったのかな。
…ほんの数人だったような。

ここに落とし穴がありました。
私が聞いた
「そっか~」
の声は,ほんの一部の子の反応であり,決してクラス全員の反応ではなかったのです。
私はそれを勘違いしていたのです。
そんなふうに積極的に声を出す子の声っていうのは大きいもので,よく耳に届きます。
そしてそれにかき消されるように,逆に分かっていない子たちの消極的なつぶやきは耳に届かないんでしょう。
その不安そうな表情まで見落としてしまいました。
やはり教師側としても,無意識のうちに
「そっか~」
の方を期待しているので,都合よくそればかりを拾おう拾おうとしている部分があるのかもしれません。
そしてそれが拾えたら,それは一部の声だとしても,勝手に「大部分の声」と解釈してしまう。
未熟な教師のよい例ですね。

今度からは
「そっか~」
の声が聞こえたときこそ(本当か!?)と強く疑って,隈無く全員様子を伺うようにしたいと思います。

振り返ってみると、今日は9つの相談を受けていました

2016-10-23 20:48:24 | 教師力UPの攻略法
3日前の学校で,私が先生たちから受けた相談。
・朝の業間体育の指導の仕方をアドバイスしてほしい
・地域の文化祭への出品について,昨年度の様子を教えてほしい
・地域に配布する「学校便り」の校正をしてほしい
・ある悩みを抱えている先生がいるんだけど,管理職に相談したほうがいいか…
・研修のスケジュールを変更したいんだけど,いつならいけるか…
・子どもの机のサイズを調整したいんだけど,やり方を教えてほしい…
・校長室の黒板のレイアウトを変えたいのだが,できるかな…(校長より)
・忘年会の場所って,もうおさえてたほうがいいか…
・校庭で蜂が寄ってくる木があるので,立ち入り禁止のロープを一緒に張ろう


相談というか依頼というか確認というか,いろいろですが。
別に
「今日はいろんな先生に声をかけられるなあ」
って思ったわけでもなく,いつもと変わらない日だったのですが,ふと考えてみると,こんなに声をかけられていました。

これって,本校のよさの1つだと思うんです。
職員が
「お互いに声をかけやすい」
そんな雰囲気があります。
特に教務主任をしている私や,気さくな教頭先生は,何でも声をかけられます。
私としてもそうやって頼ってもらえるのはうれしいし,実際力を貸して
「ありがとう,助かったよ」
って言ってもらえるのは,この立場の大きなやりがいです。
まあ,正直
(え?それは俺じゃないでしょ)
って思うときもなくはないですが。笑
例えば上の中の
・子どもの机のサイズを調整したいんだけど,やり方を教えてほしい…
の相談は,そのあと
「もちろん。調整できますよ」
「そのための道具みたいのってあるんですか?」
「はい。ちょっと待っててくださいね。 …はい,これです」
「これ,どうやって使うんですか?」
「これはですね,別に難しいことはなくて…こうやって使うんですよ。」
「へぇ~ でも,私できるかなぁ」
「難しくはないですよ」
「結構,力が必要だったりしますかねぇ」
「力は少しはいるでしょうね。私がやりにいきましょうか?」
「先生,いいですか」
「はいはい。いいですよ」
「助かります~」

というふうに転がって,結局私が直接その教室に行って,机の調整をすることになりました。
さすがにこれは
(やりすぎたな)
と思いました。笑

まあ今後も,こうして声をかけられたときに
「すみません,今忙しいので別を当たって下さい」
なんて言うことにならないように,常に身軽にしててフットワークの軽い教務主任でいたいなと思います。

私がテストの結果をすべて公表する本当の理由

2016-10-17 19:18:20 | 授業中の攻略法
私は5年生と6年生の算数を受け持っています。
指導法改善教員として,少人数指導を行ったり,ティームティーチング指導を行ったりしています。
合わせて,テストについてはすべて私が採点,評価しています。
だからどちらかの学年がテストをする日には,私が一人で複数学級のテストを一気に採点しています。

そして,このテストの点数については,個別に,観点別に,学級別に,すべて一覧にしてプリントアウトし,それを当該学年の担任に渡しています。
要するに,テストの点数はすべて学年内で公表しています。
だから担任の先生たちは,自分のクラスの成績だけでなく,隣のクラスの成績まで知ることになります。
私はそれに学級ごとの平均点まで示しているので,担任は自分のクラスと隣のクラスの平均点を比べることにもなります。

なぜ,こうするのか。
私は年度始めに担任の先生たちに以下のことを説明し,承諾を得ました。
・なにも,テストの結果は学級ごとに秘密にしておくものではない。
・学級範囲でなく,学年全体としての傾向を,指導者全員で把握したい。
・落ち込みのある子を正確に把握して,学年として対策を考えたい。
・テスト結果をもとに,今後の指導の工夫について,全担任でアイディアを出し合い,共通実践を進めたい。
ということです。

この説明に落ち度があるわけでもないので,どの担任も一応の納得をしめしてくれました。
しかし,やはりこういうテスト結果の示し方に慣れない先生もいるようで,
「なんか,お隣のクラスとの平均点競争をしてしまいそう… あはは」
なんて声もありました。
「いえいえ,そういう目的では決してありませんから。それは先生たちもお互い分かってもらえるでしょ。」
そう答えました。
広い視野に立てる先生なら,平均点だけを見て「お隣と競争」なんてことはしないはずです。ということで,私が受け持つ算数の授業では,必ずこのスタイルでテスト結果の公表をしています。


…と,ここからは学校では言っていないことですが。
「お隣と競争を目的としていない」
そう伝えましたが,実は…
「それも,なくはない」
んです。

競争。
いいじゃないですか。
「お隣に負けたくない」
その感情が担任に芽生えるのはごく当たり前なことです。
その結果,算数の指導に熱が入る。
結構なことです。

私がテスト結果を公表することによって,いい意味での競争が生まれ,それが相乗効果となって,結果的には全体が向上する。
これをねらっている部分も,実は少なからずあるんです。

しかし,これができるのは,本校の先生たちがいい先生たちだからこそなんです。
下手な先生だと,本当に競争だけが過熱して,まずいことにだってなりえます。
本校の先生たちの資質を見極めて,
「できる」
と判断したので,こうしています。

結果,そもそも示したねらいも,私が密かに持っているねらいも,両方達成されています。


システムのないところで学校としてどれだけ動けるか

2016-10-08 16:24:49 | 教師の仕事術の攻略法
学校には組織を有効的に動かすための色んなシステムがあります。
何かが起きたら…
担任がどう動く
校長がどう動く
教頭がどう動く
養護教諭がどう動く
教務主任がどう動く
そしてどことどこがどう連動する
などなど。
学校の実情によって違いは色々とあるでしょうが,こういったシステムがしっかりと構築されている学校ほど,いい学校だという一つの指標にもなるでしょう。
そして肝心なことは,そのシステムに沿って,一人一人の職員がきちんと動ける学校であることです。
システムは明確になっていても,先生がそれを無視しているようでは無意味です。

こういったシステムが重要なのは言うまでもないことですが,時に学校というところは,既存のシステムには当てはまらないような想定外の出来事も起こりえるものです。

本校で起きた最近の例でいくと
・登校をしぶる子が,朝玄関で暴れ出した。担任だけでは対応しきれない。
・子どものけんかが行き過ぎて保護者どうしのトラブルになった。事態は複雑に。
・ALTの先生が都合で来られなくなった。初任者のクラスの外国語の授業はどうするか。
・校門付近にヘビが出た。子どもの下校が心配。

こんな場合について,本校にはそれに対応するシステムを示すマニュアル的なものはありません。
しかし緊急の対応が必要です。
だれかが,何らかの対応をする必要があります。

そして,こういったときに「学校力」が出ます。
「システムがないところで,どれだけ動けるか」というもう1つの指標です。
システムがないから,行き当たりばったりの対応しかできないか。
それともシステムはないが,その場で迅速に組織を組み,戦略を立て,有効的な対応ができるか。
優れた学校,職員は,柔軟性と発想力,それに協力体制をもって,いい対応ができるものです。
そういった場でリーダーシップを発揮できる人材も必要です。


教務主任をしているとよく分かるのですが,学校というところはマニュアルに当てはまらない突飛な出来事の方がたくさん起こっているように思います。
だからその経験を生かして,より幅広いシステムを構築していく必要もあるのですが,同時に,システムがなくても動ける職員の資質を培う必要を感じます。


授業プリントの丸付け法を5パターン考えてみました

2016-10-03 17:16:04 | 学級生活の攻略法
算数の授業をしていると,練習問題として子どもたちにプリントを取り組ませることはよくあることです。
単元末には多く見られる授業風景です。
私も今日,そんな授業をしました。

プリントをさせたら,その「丸つけ」も必要で,そのやり方も何パターンかあります。
ちょっと考えてみました。

丸つけパターン1「授業の終わりに先生が回収して,授業後に先生が丸つけ」
メリット:先生はじっくり丸つけができる
デメリット:子どもたちはその場で正誤が分からない 
      授業の途中でチェックをしない分,子どもたちの進呈やつまずきが把握できない
授業中に丸つけしないってことは,子どもは授業中はひたすら解くだけ

丸つけパターン2「できたら先生のところに持って行って,先生がその場で丸つけ」
メリット:できたらすぐ正誤の判定を知れる
     子どもは自分のタイミングで進められる
     解く→丸つけ のメリハリが生まれる
デメリット:先生は一カ所にとどまっておく必要があるので,机間巡視ができない
      先生の丸つけに時間がかかると,子どもの行列ができてしまい非効率的

丸付けパターン3「先生が子どもの机を回って丸つけ」
メリット:先生は机間巡視をしながら丸つけができる
     子どもは動かなくても自動的に丸がつけてもらえて楽ちん
デメリット:先生のタイミングでしか丸つけできない
      全員分を丸つけるのには相当な時間がかかり,つけられない分も出てくる

丸つけパターン4「授業の最後に先生が言う解答を聞きながら一斉に丸つけ」
メリット:一度に一斉にできる分かなり効率的
デメリット:一人一人に応じた解説などはできない
      先生がその場では子どものできを把握することができない
      解答の時間を待たずに終わってしまった子は,それまで待たされることになる

丸付けパターン5「子どもが解答を見ながら自分で丸つけ」
メリット:各自でする分かなり効率的
     子どもは自分のペースで進められる
     丸つけを子どもに任せる分,先生は机間指導などに徹底できる
デメリット:先生がその場では子どものできを把握することができない
      子どもに任せる分,丸つけ自体がいい加減になる恐れもある


いかがでしょうか。
先生によっては,また違うパターンを知っている人もいるでしょう。
私は主に上の5パターンのどれかでやっています。
書いたとおり,どのやり方にもメリットとデメリットがあります。
丁寧さを重視すると非効率的になったり,効率性を重視すると丁寧さに欠けたり。
どんなときでもこれがベスト!というのは決まらないように思います。
だから,ケースバイケースで使い分ける腕が必要です。
子どもの理解度や学級の人数,プリントの難易度や子どもの意欲など,いろんな状況を勘案してパターンを選ぶことでしょう。
私もそうしています。
ときに選び方を間違えて,
「うわっこれじゃなかった!」
なんてときもあります。笑
そのときは
「ちょっと待って!丸付けの仕方変える!」
と軌道修正します。


ときに,丸つけが1パターンの先生もいます。
いっつもパターン1「回収型」の先生
いっつもパターン5「子どもにさせる型」の先生

これはよくないですね。
デメリットが蓄積されていくことになります。