今日は本校でも研究授業が行われました。
授業を提供してくださった先生,ありがとうございました。
「うまくスムーズに流れる授業」でなくても,研修が深まるいい授業を提供していただきました。
テーマに対して「仕掛け」がたくさんあり,話題が豊富でした。
研修主任として今日はうれしかったです。
さて
前回から引き続き「バレーボール型」の授業をつくるための手立てです。
6 単なる「吐き出し合い」は,バレーボールではない
…友だちの意見に対して「こう言ったけど,もう少し詳しく教えて」「ぼくの考えと違うけど,どちらがいいのかな」「いい考えだね。じゃあさらにこうしていけば」「なんでそう考えるの」などと,つっこんでいくようなやりとりこそが,バレーボールです。子どもたちがお互いに高め合っていく理想的な姿です。誰かが発表して,他の子は聞いて,そして次の子が発表して… の繰り返しは,どれだけ活発に意見を出し合ったとしても,まだまだそこには到達していないということです。
7 バレーボールを可視化する
…子どもたちのやり取りの軌跡をきちんと目に見える形に残していってあげるのも,バレーボール中の先生の大切な役目の一つです。一番は板書でしょう。上手に構造化しながら,まとめ上げてくのには,相当な腕が必要です。
8 バレーボールの展開を,教師の方でしっかりと描いておく
…子どもたちが意見をやりとりしていくと,思いがけず変な方向へ進んでいくこともあります。これを放っておいてはいけません。必ず軌道修正する必要があります。もちろん先生の役目です。じゃあどのように軌道修正するか。これは場当たり的にやっていくのは難しいので,やはり事前に教師の方でストーリーを描いておくことです。「~という課題に対して,こんな意見が出てくるだろう」「あの子はこんな発想をうするんじゃないか」「きっとこんなつまづきが出てくるだろう」「~という一言が出たら,それを突破口に」といった具合に。言うまでもなく,バレーボールは最後は勝たなくてはいけません。変な展開になり,負けることがないように。
9 何をさせるにも,明確なねらいをもって
…「ペアで活動させる」「グループで話し合わせる」「討論をする」どんな活動も,なぜそれを今させるのか,教師は明確なねらいをもってやることです。話し合い自体が目的ではなく,課題解決のための手段だということを忘れません。同時に,そのねらいは,子どもたちにもしっかり伝えて共有すべきです。「隣の人がしっかり書けているかチェックするために,ペアになります。」「まだいい解決方法が見つかりません。グループで知恵を出し合いましょう。」
10「とにかく,いつでもバレーボール!」ではなく,重点化を図る
「9」のねらいを明確に,につながるところですが,いつ,どこで,どんなバレーボールをさせるのか,計画的にやっていく必要があります。学習課題を挙げるたびに,ペアやグループ活動を取り入れるのでは,時間もありませんし,活動がマンネリ化していく恐れもあります。単元レベル・一単位時間レベルにおける指導計画を見直し,ここぞというところに仕掛けるのがベストでしょう。そこにはじっくりと時間もかけたいので,前後の活動を精選するなどの工夫も必要になります。
といったところでしょうか。
思いつくままに挙げたので,順序性は全くありません。
子どもたちが活発に意見を出し合う授業はこれまでにもたくさん見てきたけど,本当に子どもたちが「練り上げる」「高め合う」「学び合う」ような,いわゆる「バレーボール」になっているは,そうたくさんは見たことがありません。
やはり簡単じゃないということでしょう。
前の記事にも書いたとおり,まずは学級経営だと思います。
バレーボールをするには,バレーボールができるクラスをつくることから。
それだけでも難しいことですが,その上にさらに授業で多くの手立てをしていくわけですから,やはりやろうとしていることのレベルは相当高いです。
でも思うに,将来,社会に出たときに本当に必要とされる資質って,こういうものだと思うんです。
「人と働く力」というか「人と創り上げていく力」というか。
組織の中で,自分の能力を高め,役割を果たし,メンバーと協調し,組織の利益のために力になる。
学校にいるうちに,一人前のバレーボールができるような子に育てていきたいものです。