昨日,卒業式でした。
我が六年生学級も,無事に全員を送り出すことができました。
この子たちとの一年を振り返ってみると,また今までとは違う,特別な一年だったように思えます。
4月から,課題の多い子たちでした。
学力の面でも,生活態度の面でも。
私も6年生を受け持つのはこれで何度目かですか,その中で培われてきた,私なりの「常識」を破る子たちでした。
幼い男子。
消極的な女子。
「こんなしょうもないことで叱らなくちゃいけないのか」
そう落ち込む日が続く毎日でした。
同学年の先生も当然同じ悩みを持っていて,いっしょに嘆く毎日でした。
私は,まず,その「常識」をとっぱらうことから始めました。
そして,この子たちなりの「基準」を見つけるようにしました。
何事もスモールステップ。
コツコツとやっていこうと。
すると,6年生らしい素地はまでできていない子たちが,少しずつ変容していきました。
ほめられる場面が出てきました。
しかし,「やった!」と思えるのは束の間,また次の瞬間には叱る場面が出てくる。
その繰り返しでした。
3歩進んで2歩下がる♪です。
2.5歩かな?
他学年や専科,管理職の先生たちからも
「この子たちは…」
とため息がもれ,それが私の耳に届くたびに痛い思いをしていましたが,しかし本当のことですから,言い訳もしません。
そもそも
「この子たちを何とかしてくれ」
と,校長にお願いされるように受け持ったのがスタートです。
「粘り強く,気長にやらなくては。」そう自分を奮い立たせるように言い聞かせていました。
昨日の卒業式では,子どもたちの横顔を眺めながら,そんな風にいろんなことを思い出していました。
「ついに,この子たちとの一年が終わったんだな」
そう思うと,またこれまでの卒業生のときとは違う,熱いものが込み上げてくるようでした。
そして,意外なことに…
この子たちとの授業や毎日のやりとりを思い出そうとすると,真っ先に浮かんでくるのは,
「笑ったこと」
でした。
「叱ったこと」
ではなく。
叱ったことが多かったはずなのに,でも,それ以上にこの子たちとよく笑ったことが,何より強く心に残っていました。
本当によく笑う一年でした。
子どもたちの笑顔をよく見たし,私も子どもたちによく笑わせてもらいました。
なんというか,この子たちは,笑いを作れる子たち,笑いが似合う子たちでした。
6年生としては未熟なくせに,しかし「笑い」にそんなことは関係なく,この子たちの日常のあちこちに「笑い」が存在していました。
だから楽しかったです。
今思うと,この子たちと笑う時間は,私が意図的に作ることも多かったのかなと。
叱らなきゃいけないことがたくさんある。
それだけは辛い毎日を,どうにかして明るくしたい。
だから,笑おうとしていたように思えます。
叱らなきゃいけないことを,叱らずに済むようにするのではなく,叱るべきことはやっぱり力いっぱい叱ることにしました。
卒業を控えている子たちに,全力でぶつかるべきだと思ったからです。
しかし,どこかでバランスをとりたい。
何かでバランスをとりたい。
この子たちには何が合うだろうか。
そう思った時,「笑い」だったんです。
幼くも,明るい男子たちは笑いを生み出す名人たちでした。
消極的ながらも,本当は楽しいことを求めている女子たちは,すてきな笑顔を持っていました。
笑えるって幸せですよね。
辛いことがあっても,笑える時間があるなら,十分それを乗り越えられる。
私だけでなく,子どもたちも,無意識のうちに,このクラスの根底にあるそんなことを感じていたはずです。