小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

「きつつきの商売」で見えた3年生という学年の実力

2018-04-24 20:37:29 | 授業中の攻略法
私は初めて「3年生」をもちます。
「40人超」というだけでも私には十分ハードルがたかいのですが、初めての学年ということもハードルを高めてくれています。
初めてだから、授業がすべて新たに自分なりの指導計画を立てる必要があり、見たことのない教科書をめくっては、あれこれと悩んである毎日です。

国語で「きつつきの商売」という読み物単元がありました。
読んでみるとかわいらしい話でした。
ここでは「音読の工夫」を主とするもののようで、私も単元のゴールをそこに設定して指導計画を立てて授業に臨みました。

序盤は内容を押さえるために
「1の場面についてまとめよう」
として、そこの描写に即しながら登場人物や出来事についてまとめていきました。
すると、ふと
「天気は?」
という声が子どもからもれました。
この話は2の場面が「雨」の話であることから
「じゃあ1は?」
という疑問を自然と持ったのでしょう。
かわいらしい疑問なので、ちょっと拾ってみて
「天気ね。1の中にははっきりと書いているところはなさそうだけど、みんなどう思う?」
と投げかけてみました。

そこから、授業は思いがけない展開になってしまいました。
「晴れでしょ」
「うん」
「だよね」
という軽いトーンから始まりましたが、
「えっ くもりだよね」
「そうそう!」
という声がかぶさってきました。
私も内心
(あれ?)
初めて見る教科書について、そこまで考えているわけもなく(笑)

この読み物を扱うのに重要な視点ではないのかもしりれないので、サラッと通り過ぎるべきだったのかもしませんが、私の介入を待たずにクラスはすでにヒートアップ。
「晴れ」派と「くもり」派が熱く意見をぶつけ合い出しました。

「晴れ」とする理由
・きつつきと野うさぎか森を行くのに天気が悪いはずはない
・ぶなの木のいい音が響いたので、木が乾いていそう
・看板をこしらえる作業をするのは天気がいい日。雨でペンキが流れたら困るから
・挿絵の野うさぎにかげがある

「くもり」とする理由
・晴れてるなら野うさぎは野原で過ごすはず。雨が心配な天気だから森にいる
・次の2の場面で雨が降っているから、その前の1の場面は曇っているはず
・2の場面の最初に「おはよう」とあるから、たぶん1の次の日のことで、そんなに時間はたっていなくて、やっぱり雨になりかけの天気じゃないか
→でもこれは後の描写で「どうやら開店からずいぶん時間がたっているようだ」ということに気付き否定された
・挿絵の2つ目では野うさぎのかげが消えている

こんな感じでした。
3年生なりによく考えるもんだと感心したと同時に、3年生を初めてもつ私には、3年生の実力というものをつかむいい機会になりました。
述べている内容以上に、こうしてみんなで意見をぶつけ合うこと、それ自体を子どもたちは楽しんでいるように見えました。
うれしいことに、この議論にクラスの誰一人欠けることなく、みんなが参加できていました。
同時に、子どもたちは
「こんな授業初めてだ~!」
「こんなのいいんですか!?先生~」
という声が上がっていたのも面白かったです。

私も3年生担任としての腕を磨き、子どもたちもこの意欲を土台にさらに成長し、たくさん学び合えるクラスにしていけたらいいなと思います。

授業の中で「ターゲット」の子を決める

2018-03-26 07:32:38 | 授業中の攻略法
算数の授業をしていて気になるのは
「問題に対する子どもたちの理解度」
です。
どの問題につまずいているのか。
どれくらいの子がつまずいているのか。
どんなつまずきをしているのか。
それを正確に見取りながら、それに応じた授業を展開していこうと努めるものです。

しかし、問題を出すたびにいちいち全員の子のできをチェックするわけにもいきません。
そんなことをしていたら時間がかかりすぎるし、できている子たちが間延びしてしまいます。
では、テンポよく流れる授業の中でどうやって子どもたちの理解度を把握するか。
そのために1つの方法があります。
それは
「ターゲットとなる子を決める」
というやり方です。
この「ターゲット」と子にふさわしいのは、
「クラスをおおむね できる集団 できない集団 の2つに分けたとき、できない集団の真ん中辺りに位置する子」
です。
そして、与えた問題に対してその子ができていれば、その集団の子たちもできている可能性は高く、ある程度の信頼性をもって授業を先に進めることができるでしょう。
逆にその子がつまずいていたら、同じように多くの子がつまずいていることが考えられるので、一度慎重になる必要があります。

ターゲットとなる子が、代表してみんなの理解度を示してくれるというわけです。

こういう見取り方をすれば、効率よく授業を展開することができます。
しかし、もちろんこの方法は曖昧さがあり、100%ではありません。
集団においても理解度やつまずき方は個人差があるのは当然です。
だから本当に必要なチェックは個々に時間をとって見るべきです。
ただここでは、授業の流れと、できている子も含めたクラス全員のことを考えた一種の方法ということで紹介します。

4年生国語「聞き取りメモの工夫」1回の授業で自分の変容を捉えさせる

2018-02-09 16:30:35 | 授業中の攻略法
4年生の国語で「聞き取りメモの工夫」という単元があります。
この単元の最初の授業をこんな形にしてみました。

①まず、教科書は開かせず、いきなり教師が読み聞かせる話についてメモをとらせる。
「先生が今から読む話の、大事なところをメモしながら聞きましょう。」

②聞き終えたあと、書いたメモを友達とたくさん見せ合う。
「5分間で、できるだけ多くの友達とノートを交換しましょう。そして、いい書き方を見つけてあげてください」

③自分や友達がしていた工夫を出し合う。
「ここいいなって思ったところはありませんでしたか?」

④よい「聞き取りメモ」の工夫をまとめる。
「なるほど、いい工夫がたくさんありましたね。ちょっとまとめてみましょう」
・ポイントのみ短く書く
・素早く書く
・箇条書き、記号の使用
・聞き落としたところに印
・聞き終えたら整理する  …

⑤別の話を読み聞かせ、2回目の聞き取りメモをとらせる。
「今度は、これらの工夫をできるだけたくさん取り入れながらメモをとってみましょう」

そして
⑥自分の1回目のメモと2回目のメモを比べてみる
「書き方に違いがありますか?」

この⑥こそがこの授業のメインとなるところだと思ってます。
わずか1時間の授業の中で自分に変容が見られるということを実感できれば、自分で自分の成長を感じることにつながるでしょうし、授業の大事さを改めて痛感できる瞬間になるはずです。

こんなことはどの授業でもできるわけじゃないので、今回のような「聞く」という短時間でできる活動にねらいを定めて実践してみました。

もし、
「1回目は長い文章で書いてたけど、2回目は大事なことだけ短い言葉で書けました!」
みたいに自分の変容をとらえることがで
きる子がいたら、
「誰の工夫を参考にしたの?」
と、友だちに学んだことにも改めて目を向けさせたいですね。

割り算の問題をあえて「ジュース」の問題にした理由

2017-12-16 20:35:11 | 授業中の攻略法
4年生算数「小数のわり算」で、「割り進める」場面の授業をしました。
教科書の問題では
「リボンを等しい長さで分ける」
となっていましたが、私は
「ジュースをみんなで等しい量に分ける」
問題に変えました。

そして実際の授業。
2.3リットルのジュースを5人で分けます。一人分は何リットルでしょうか?
式「2.3÷5」を計算すると、子どもたちは
「あ、割り切れない」
「あまりがでる」
「あまり3だよね」
「え?0.3じゃないの?」
みたいな反応がすぐに出ました?
ここまでの割り算がなかなか定着していることの表れです。

さて、大事なのはここからです。
どうやって「割り進める」発想へとつないでいくか…
というところで、出ました。
出てくれました。
神の一言が。

「でもジュース余らせたらもったいな~い!」
やんちゃぼうずが声を張り上げました。
そうです。
このために私はリボンじゃなくてジュースの問題にしたのです。

「おぉ!そうだよね!じゃあ何とかジュースを余らせずに全部分けてしまう方法ってないかな!?」
と私がつなぎ、うれしいことに割り進める方法へと展開できました。
めでたしめでたし。

…しかし、一つおまけがついてきました。
最後にある子が言いました。
「先生、じゃあジュースの問題だったら割り進めるを使えばいいんですね?」
笑っちゃいましたけど、でもこの発想も大事ですよね。
どんな問題の時にどんな方々を適用させればいいかを、自分で判断基準をもつということ。
これは高度なスキルでもあります。
「ジュースだったら」というのはかわいいですが、あながち、変なものではありません。

縄跳びが跳べない子を跳ばせるための、私の変な方法

2017-12-12 22:19:50 | 授業中の攻略法
冬らしく、子どもたちと一緒に縄跳びに励んでいます。
うちのクラスで使っている「縄跳びカード」は、1つの技をたくさん長く跳ぶものではなく、たくさんの技を少しずつ跳ぶようにできているのが特徴です。
例えば前跳びだけで技の種類が13もあります。
おなじみの技に加えて
「前後交差」とか
「クロスクロス」とか
「そくしん二重」とかあります。
普通の人には分からない技でしょうね。
私のような縄跳びマニアしか知らないかもです。笑
私はこのカードがお気に入りで、クラスだけでなく学年で共通して使用しています。

縄跳びをしていると、よく子どもが
「○○が跳べません」
と言いにきます。
その場で跳ばせてみると、確かに跳べなくて悔しそうにしています。
こんなときは何とか跳ばせてあげたいものです。
先生を頼りにして来てくれたのだから、何とか期待に応えたいところです。
そこで、技に応じた色んなアドバイスをします。
「あやとびはひじとひじかくっつくくらいクロスさせて!」
「二重とびはもっと高くジャンプして!」
みたいに。
こういったアドバイスはもちろん的を得ているし、これが効果をもたらすときもあるのですが、こんなアドバイスがすぐに実行できるようならその子もこんなに苦労しないわけです。
子どもからすれば
「それができないんです!」
って感じでしょう。笑

こんなとき、私が必ずやってみることがあります。
少々苦し紛れですが…
子どもが跳べないという技を、まず私がその場で数回跳んで見せます。
そして跳び終わると同時に
「はい!次はきみ!跳んで!」
とすぐにその子に跳ばせます。
「はっ、はい!」
と跳ぶ子ども。
すると…

「あ!跳べた!」
なんてときが、あります。笑
必ずではありませんが、跳べるときもある、くらいです。
もう理屈ではなく、成功イメージのみで跳ばせる作戦です。
跳ぶ私を見ていると、子どもは自分が跳んでいるような気分になる!跳べそうな気がしてくる… んじゃないかと期待して。
例えばどうしても二重跳びが三回跳べない子に、まず私が三回跳んでみせて、さらに立て続けにそれを5セットくらい跳んでみせてから、その子に跳ばせます。

これは明らかにまだその技のスキルが身についていない子ではなく、惜しいんだけどもう一歩!という子に特に効果があるように思います。
私はこの作戦で結構な数、
「跳べた!」
を見てきました。

もし先生が跳べないときは、跳べる子どもに代わりをやってもらってもいいですね。