小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

夏休みに考える「授業を対話的にするために」①大前提として

2018-08-05 15:27:13 | 授業中の攻略法
「対話的な学び」の重要性は強く言われています。
今,多くの現場でそれを柱にして,そこに向かって授業改善を試みていることでしょう。

ではどうすれば授業が対話的になるのか。
私なりに感じているポイントを,数回に分けて紹介します。

1つ目の今回は,まず「大前提」となるものです。
それは

対話を生む問いを与える

ということになります。
対話とは,同じテーマに向かって,多様な考えや価値をぶつけ合い,それによって双方の理解を深めたり新しい考えや価値を見出したりする活動です。
なので,対話を生むにはまず,「多様な考えが存在する」そんな問いを子どもたちに与える必要があります。

では,各授業の中にどんな多様性を求めるか。
①答えが多様に存在する。(オープンエンド)
→問いに対する答え自体が多様に存在することがあり,そこをねらった問いを与えます。(国語・社会・道徳… 等)

②答えは1つだが,そこにたどり着くまでの道筋が多様に存在する。(オープンアプローチ)
→答えを導くための方法が多様に存在することがあり,そこをねらった問いを与えます。(算数… 等)

③課題とするものが多様に存在する。(オープンプロブレム)
→子どもたちが取り組む課題自体が多様に存在し,そこから自分で課題を選択したり作り出したりさせます。(社会・総合… 等)

こういったことを先生が理解し,対話を生む適切な問題を与えることから授業は始まります。
このとき
「この問いを出したら,子どもたちはどんな発想をするだろうか」
ということを先生は考えることになりますが,そこでどれだけ子どもの立場に立って,多様性を幅広く想像できるかが教材研究の核になります。
そこをクリアできてこそ,本当の「対話を生む問い」を与えられることになります。

黒板にカードを貼らない私のこだわり

2018-07-10 07:14:16 | 授業中の攻略法
教室の黒板にはよく先生が授業で使うカードが張られています。
例えば、
「めあて」とか
「まとめ」とか
「問題」とか
「ポイント」とか。
それに、めあてやまとめを書くために、赤枠等で囲まれた小黒板もあったりします。
これらは、普段の授業で頻繁に書いたり使ったりするものだから、カードとして準備することで書く手間を省き、効率化を図ろうとするものです。
気の利く先生、準備のいい先生ほど持っているような気がします。

私も以前はこういうのを作って日常的に使っていたことがあります。
でも、今は一切使っていません。
全部その場その場の手書きです。
理由は、
「作るのが面倒くさい」
わけではなく、
「子どもと同じにしたい」
と思うようになったからです。
先生が黒板に書く「めあて」とか「まとめ」とか言う文字は、子どもたちもノートに書くわけです。
もちろん子どもたちはそのシールを持っているわけはなく、毎回毎回手書きです。
1日に何度もそれを書くことだってあります。
大事なことを定規を使って赤線で囲む作業も。
だったら、先生だって書かないと。
先生だって同じ手間をとらないと。
そう思うんです。

同時に、同じ作業を同じ時間にすること、それを何度も何度も、何日も何日も繰り返すかとで、両者にとって最適なリズムが生まれます。
そのクラス独自の先生と子どもたちとのリズムです。
これも私が手書きにこだわる大きな理由です。

3年生体育「キックベースボール」のルールを進化させる

2018-06-29 07:15:22 | 授業中の攻略法
前回からの続きで、「キックベースボール」が3年生には難しすぎる話です。

だから、段階的にルールを工夫していく必要があります。
本来なら、子どもたちに「みんなが楽しめるようにするために、どんなのルールの工夫ができるか」と投げかけ、考えさせたいところですが、それすら今回は難しすぎるだろうと判断し、教師側でルールを設定することにしました。

○第1時
チーム内で交替でボールを蹴ったりそれをキャッチしたりして遊ぶ

○第2時ルール
チーム対チームのゲームにする。
攻撃側は置いてあるボールを蹴って、守備陣がそれを取りこぼさす捕球できたらアウト。
捕球をミスしたり、守備よりも後方に抜けたらそれだけで1点

○第3時ルール
第2時ルールに加えて、守備側はピッチャーがボールを転がすようにする

○第4時ルール
第3時のルールに加えて、一塁に当たるベースを置き、打者は打ったと同時にそこへ走る。
守備側で捕球した子は、そのボールを持って同じく一塁へ走り、打者と競走する。
ベースへの到着が、打者が早ければ1点。
捕球者が早ければアウト。

○第5時ルール
第4時のルールに加えて、打者と捕球者の競走のとき、捕球者はベースにいる仲間にボールを投げてアウトにしてもよいことを加える。

○第6時ルール
第5時のルールに加えて、もう1つベースを増やす。
位置的には野球の三塁に当たる位置に。
攻撃側は1本のヒットで1つ進塁し、2本目のヒットで2つ進塁でき、この時点で1点入る

○第7時ルール
第6時のルールに加えて、ホームベースを設置。
前時と同じ要領で攻撃側は3本のヒットで1点をとれる。

以上です。
1時間ごとにルールを1つ加えて、本物の野球に寄せていくようにしましたが、それでも最後の7時をもっても完全には無理だと判断しました。
ルールを増やすことを、子どもたちには「進化する」という言葉で伝えました。

このやり方で、多くの子はその時間ごとのゲームを楽しめていましたが、中にはやはり理解が難しくて、試合中に固まってしまう子も見られ、フォローを必要としました。

3年生にキックベースボールは無理??

2018-06-26 07:16:09 | 授業中の攻略法
3年生の体育で、ベースボール型の運動として「キックベースボール」をしました。
全部で七時間の単元です。
これは、3年生の子たちにとってはかなりハードルの高い運動になることは、やる前から想像はつきました。

まず「キック」の部分に対して、ボールを蹴る運動そのものをほとんど経験していない子も多いのが実態としてあります。
低学年のうちの体育の授業でいくらかはやっているでしょうが、それだけでは「キック」か身に付くのは難しく、やはり日常の遊びからそれをしていないと、ゲーム的な要素の中で「キック」を駆使するのはかなり難しいものです。
特に女の子はまずここで苦労する子が大半です。

次に「ベースボール」の部分。
やはりここがとにかく難しい。
いわゆる「野球」の運動特性として、攻守に関する運動技能そのものが必要となるのは当然のことですが、それに加えて
・攻める場合には、どこに打つか(蹴るか)どれくらいの強さで打つかを、相手の投げるボールやゲームの状況に応じて瞬時に判断しなくてはいけない
・攻める側として進塁した場合、次の打者の打球に応じて進塁するかしないか、するならどこまでするか、瞬時に判断しなくてはいけない
・守る場合には、打球を捕球した場合、どの塁でアウトを取るか、瞬時に判断しなくてはいけない

このように、野球のルールに応じて「瞬時の判断」が随所に要求されるものです。
まず、野球のルールをほぼ知らない子たちがほとんどでさらには説明したとしてもすぐに理解できる子はほとんどいない状況がある中で、これらの「瞬時の判断」と、それに伴う正確なプレーを求めるのは、かなり厳しいことは間違いありません。
(次回に続く)

私が、下手な書写の手本を作ってみたら授業が

2018-06-11 17:26:46 | 授業中の攻略法
私としてはとても珍しいことをしました。

書写(硬筆)の授業を前に、ちょっと時間が空いたので
「何しよっかな~ お、そうだ」
と、書写の授業で使う「お手本」を作ることにしました。
3年生に合わせて、マスが大きめの作文用紙に、最近習った漢字を使った適当な文章を書きました。
何でもデジタルで作る私としては珍しく、「手書き」で。

手書きですので、3年生向けの作文用紙とはいえ、まあまあな時間がかかりました。
そして何より「手本」にするつもりのものですから、上手な字でなくてはならないわけで、字に決して自信があるわけではない私が、本当に珍しくがんばりました。(笑)
書き終えた作品を見てみると、とても書写の教科書や達筆な先生たちのようにはいきませんでしたが、それでも「…まあまあかな」というくらいの手本にはなりました。

そして書写の時間。
「今日は書写ノートではなくて、先生が作った手本の視写をします」
印刷した用紙を配り、子どもたちが書き始めました。
すると…

カリカリ…

なんという集中力。
一切私語なし。
全員が力いっぱい視写に臨んでいるのが一瞬で分かりました。
じっくり書いては、その字に満足行かずにゴシゴシと消してはまた書き直す、そんな姿もたくさんあり。
ちなみに6時間目です。
普通、3年生ならもう体力の限界に来ていてもおかしくない時間です。
結局、その集中力は最後まで続き、多くの子は最後までたどり着かなかったのですがそれは丁寧に丁寧に書こうとし続けていた証拠でした。

私としては、恥ずかしながらこんな書写は初めてでした。
紛れもなくこれは「手書き手本」の力だと思いました。
やはり子どもたちにとって、それは
・温かみを感じられる手本
・先生の思いが伝わる手本
・デジタルや教科書よりも身近に感じられる手本
そして
・そっくりに真似したくなる手本
になりえるんだろうと感じました。
また、普段はそんなことをしない先生のものだったから、珍しく、新鮮さもあり、食いついたという一面もあったでしょう。

授業が終わり
「その手本は持ち帰っていいですよ」
と伝えると
「やった~!」
という声があがったときは、さすがに照れくさくなりました。笑
私の下手な手本がそんなに言ってもらえるなんて、教員人生で1回あるかないかの奇跡です。笑
さらに
「先生!ぼくが書いたの、今日持って帰ってもいいですか!?」
と来る子も。
丸つけは済んでいたのですが、6時間目でしたし返却は翌日かなと思っていました。
でも、あまりな勢いで来るものだから
「どうぞどうぞ」
「よっしゃ~!お母さんに見せる~」

地味な労力をかけてやる仕事にも、独特な魅力があるというのは、この職業の特徴かもしれません。