小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

また出た 算数で先生を越える粋な発言

2015-09-23 13:04:38 | 授業中の攻略法
5年生の算数
「倍数と約数」
の授業でのこと。

12を割りきれる数を並べて
1 2 3 4 6 12

18を割りきれる数を並べて
1 2 3 6 9 18


「並んだ数をみて、何か気づくことは?」
と問いました。
すると子どもたちは
「どっちも1と2と3と6が入っている」
「どっちも6個ある」
「もともとの数が入っている」
「かけると元の数になるペアができる」
と、約数の性質に迫るものを見つけ出しました。

そこで、今回も現れました。
私の予想を越える「粋な」発見が。
ある子がいいました。

「最後の数が最小公倍数になっている」

この子はよく独特な視点からおもしろいことを言う子ですが、毎回言葉足らずで、先生も友達も最初は理解に苦しみます。

周りの子の
「?」
に気付いて、さらにその子は不器用そうに言葉をつなげます。
「あ… なんていうか、こないだ倍数のとき勉強した、最小公倍数なんです」
私は一瞬
(最大公約数のことを知っていて、その言葉を使いたいだけなのかな)
と受け止めましたが、どうやらそうではなかったようです。

周りの子たちが理解することを諦めるような空気を私は感じたので
「うん、どういうことかな」
と口を挟みました。
「最小公倍数って言ったけど、どの数が、どの数の最小公倍数になってるの?」
「前の全部の数の、最小公倍数です。最後の数が」
諦めかけていた周りの子たちの目の色が変わりました。
そして
「あ」
と、どこからか漏れました。
さらに、黒板を指差しながら
「本当だ~」
という声も。
まだ分からない子たちは
「何?何?」
情けないことに、私もまだ
「何?何?」
と。
「先生!1 2 3 4 6 の最小公倍数が、12ってことですよ!」

「…お~!!」
「え?じゃあ18もそうなってる!?」
「1 2 3 6 9 … 」
「なってる!なってる!」
「18だよ!」

ここからは、私の出る間もなく、子どもたちが勝手に授業を進め出しました。
「ちょっと待て!他の数字でも本当にそうなるのか!?」
「やってみよう!例えば、えーっと、じゃあ28だったら…」
「…なるかな」
「…なるよ!」
「他の数では!?」

「っていうか、なんでそうなるの?」
「わかんなーい」
「不思議じゃない?」
「不思議じゃないよ。だって、1の倍数が2で、2の倍数が4で、4の倍数が6 …あれ、ちがう。」
「おもしろーい」
「Aくん、よく見つけたね」
「えへへ」

すっかり授業の流れは私のプランとは変わってしまいましたが、もちろん構いません。
構わないどころか、大満足です。
一人の子が見つけた算数のおもしろさが、周りの子に広がり、別の子が深めてくれる、理想的な授業になりましたから。

こんな痛快なことは、一年間授業をしていて数回あるかないかですよね。
教師の意図で生まれるものもあれば、今回のように私の浅はかな意図とは無関係に子どもたちが創り出す感動もあります。
私ですら
「なぜそうなるのか」
を、理論的に明らかにしてみたいと興味津々になるほどです。

Aくんにお礼を言いたい気持ちで一杯です。