「基本 暗記科目は嫌いだ」という野球小僧が訊いてきた「信長と秀吉と家康のうち、誰が一番好き?」という質問。
あまりに単純で手垢がつきすぎているせいか、最近この手の質問を耳にすることは とんとないが、その為か却って新鮮で、考え込んでしまった。
子供の頃は、「鳴かぬなら殺してしまえ」もアリだと思うほど無類の信長好きだったが、ヘタをすると殺される側にいるという自覚からか、桶狭間の合戦の前に信長が舞った敦盛が心に痛い年齢になっているせいか、「今は、家康…かな」と小さく答える、自分がいる。
だが、この単純な質問のおかげで、この春訪れた熱田神宮の写真を掲載する切っ掛けを得た。
仕事先で観光をすることも、まして写真を撮ることも基本 しない私だが、車窓から見た快晴の名古屋の街は楽しげで、思わず名古屋城と熱田神宮に足を延ばし、写真まで撮ってしまった。
その第一弾、今回は「熱田神宮」
「熱田神宮」と云うと謂わずと知れた草薙剣を祀る神宮だが、’’うつけもの’’の評判を覆し、天下にその名を轟かせた桶狭間の合戦の直前、信長が参拝したことでも有名だ。
人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり(敦盛)
子供の頃は50歳の自分を想像することなど出来ず、「人生も最終盤の50歳になると、すべてが夢幻に思えるのか」と思っていたが、とてもとても…不惑を過ぎても、不惑に達していないのだから、天命などほど遠い。
敦盛を舞い、桶狭間の戦いに挑む信長が この時26歳だったことを思うと、自分の不甲斐なさを改めて感じるが、天下の信長と比べて落ち込んでも仕方がないので、「鳴くまで待てるよう、50歳以上生きるぞ」と思いつつ、写真を眺めてみることにする。
信長塀は、三つの鳥居の一番奥の鳥居の近くにあるのだが、その場所からだけでも信長の権勢や位置づけは明らかに思える。
信長塀をこえると、見事な梅が目に留まる。(といっても、まだ咲いていなかったので写真は小さめ)
これが「ならずの梅 不実梅」と云われるのは、享禄の古図(1529年頃)にも描かれている美しい花を咲かせる この梅が、一度も実をつけたことがないからだという。
信長の頃、既に「不実梅」として知られていたか否かは分からないが、「実らぬなら、切り倒してしまえ、梅の木ぼく」と成敗されなかったことに安堵する。
実らないものは実らないままで、いい。
実をなさずとも、何百年も命と名を刻み続けているのが、とてもいい。
そんなことを思いながら本宮へ向かう、
つづく
あまりに単純で手垢がつきすぎているせいか、最近この手の質問を耳にすることは とんとないが、その為か却って新鮮で、考え込んでしまった。
子供の頃は、「鳴かぬなら殺してしまえ」もアリだと思うほど無類の信長好きだったが、ヘタをすると殺される側にいるという自覚からか、桶狭間の合戦の前に信長が舞った敦盛が心に痛い年齢になっているせいか、「今は、家康…かな」と小さく答える、自分がいる。
だが、この単純な質問のおかげで、この春訪れた熱田神宮の写真を掲載する切っ掛けを得た。
仕事先で観光をすることも、まして写真を撮ることも基本 しない私だが、車窓から見た快晴の名古屋の街は楽しげで、思わず名古屋城と熱田神宮に足を延ばし、写真まで撮ってしまった。
その第一弾、今回は「熱田神宮」
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「熱田神宮」と云うと謂わずと知れた草薙剣を祀る神宮だが、’’うつけもの’’の評判を覆し、天下にその名を轟かせた桶狭間の合戦の直前、信長が参拝したことでも有名だ。
人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり(敦盛)
子供の頃は50歳の自分を想像することなど出来ず、「人生も最終盤の50歳になると、すべてが夢幻に思えるのか」と思っていたが、とてもとても…不惑を過ぎても、不惑に達していないのだから、天命などほど遠い。
敦盛を舞い、桶狭間の戦いに挑む信長が この時26歳だったことを思うと、自分の不甲斐なさを改めて感じるが、天下の信長と比べて落ち込んでも仕方がないので、「鳴くまで待てるよう、50歳以上生きるぞ」と思いつつ、写真を眺めてみることにする。
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信長塀をこえると、見事な梅が目に留まる。(といっても、まだ咲いていなかったので写真は小さめ)
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信長の頃、既に「不実梅」として知られていたか否かは分からないが、「実らぬなら、切り倒してしまえ、梅の木ぼく」と成敗されなかったことに安堵する。
実らないものは実らないままで、いい。
実をなさずとも、何百年も命と名を刻み続けているのが、とてもいい。
そんなことを思いながら本宮へ向かう、
つづく