5時50分。
目覚めるも部屋の中が冷え切っていて起きれない。
布団の中でFBチェック。
ラン友がすでに朝陽を浴びて走っている。
先を越された気分になる。
起きてまずお湯を沸かす。
お湯にマルトデキストリン溶かして、それだけ胃に入れる。
全く味がない。甘さも感じない。ただのお湯飲んでるみたい。
(あとで分かったけど、多糖類でも直前摂取はダメ)
ジャージを履くが考え直して脱いで、短パンに履き替える。
長袖、短パン、クラウドフラッシュ。
レース10日前。
ワラーチからシューズに変える。
レース当日に向けて、こいつに血を流し込むのだ。
外に出る。気温4度。ピリッとした空気に目が覚める。
外気が余分な脂肪を削ぎ落としてるのではと思うほどシャープに冷え込んでいる。
iPodを再生する。
iPod shuffleなので走り出しに何がかかるのか、
再生ボタンを押すのは毎回のランのささやかな楽しみだ。
今朝はヴァン・ヘイレンのJUMPから始まった。
あのイントロで一気に気持ちに心臓に脳に腕に脚に血が勢い良く流れる。
海の方から陽が上る空はグレナデンシロップが底に沈んだカクテルみたいだ。
1日の希望などもはや何もないし、望まなくもなったが、
こういう朝の天気にJUMPのイントロで、生活や人生は捨てたものではないと思う。
それは錯覚でも思い過ごしであっても、そう思うこと自体がとても重要だし、
実際に、朝は、音楽は、ランはそうしてくれる。
そして本当のところ、捨てたものではない。
家を出てしばらくすると海に出る。
ビーチ沿いのサイクリングロード、エンジンが温まる。
ここでフォームや着地をチェックする。内向して身体の動きを感じ取る。
シューズを履いても無意識でミッドフットになってきた。
クラウドフラッシュはワラーチより、どの他のシューズよりケイデンスが伸びる。
スピードボードの反発なんだろうな。
それにとても軽い。アッパー素材が圧迫せずにホールドしてくれる。
ホールド感がありながらの開放感は何も履いていないようだ。
朝のラウンドコース8キロが終わりに近づく。
バス停で並ぶひとたち。
自転車を漕ぐ人たち。
通勤、通学する人でロードが活気づいてくる。
その人たちに逆行して走る。
オレは彼らより多少なりとも素晴らしい朝を迎えたはずだ。
眩しい朝陽を浴びてバンバン身体を動かしてJUMPを聴く素晴らしさってラン以外には思い付かない。
それが徳で、それを得ることは心にとってのBCAAでLグルタミンになっているということだ。
52歳からランを始め3年。
でも、今日まで、満足行くまで走り込めただろうか。
何かと理由をつけてサボったりしたなあ。
食事管理などした試しもない。
オレはストイックな性格なので追い込みは出来るのだが、
気持ちと年齢が相反していて怪我に悩んだ。
たった3年だけどこれだけは言える。
何かを始めるのに遅いことはない。
熱い情熱さえあれば誰でもできる。
走りながらいつもこういうことを思う。まだ走れると。
とは言いながら不安もよぎる。いつまで走れるのかと。
そんなことわからないので走れるときに走る。走れるところは走る。
サブ4 30%
サブ3.5 12%
サブ3 3%
フルマラソン完走者の統計データである。
サブ4である4時間切りがいかに大変なことか。。
サブ3はもはや超エリートである。
3時間20分が10日後の湘南国際マラソンの目標。
3時間20分で走りきろうと思わない。
3時間20分の間、耐え続ける。
山を忍耐で登り続けてきた。
3時間20分の耐久レースに臨むのだ。
3時間20分、静かにその場で足踏みをする。
景色は勝手に流れる。
心を無にして身体そのものがマントラを唱える。
ハレークリシュナ ハレークリシュナ
クリシュナ クリシュナ ハレー ハレー
ハレーラーマ ハレーラーマ
忍耐強く、堅忍不抜の精神で、本当に謙虚な気持ちで唱える時、
純粋な神への感謝の気持ちが目覚め、法悦感の渦に浸れると言われている。
都度のレースが人生の集大成。
いつもそう思ってる。
しかもまだ終わらない。