観劇したのは6月29日の大劇場13時公演の月組「ロミオとジュリエット」です。
役替わりのロミオですが、私たちの観たのは明日海りおのロミオの方でした。
席はS席最後部の25列の20番台下手よりでした。その席には通路から何段か登らないといけないのですが、心配するヨメさんに、「大丈夫、行けますよ」と劇場の係員さんが言ってくれたので、それに励まされてチャレンジすることにしました。
当日、少し渋滞したものの、道はおおむね順調で、所用のため10時半過ぎの出発になったにもかかわらず、11時40分には到着しました。
いつもの11時公演では、昼食は劇場内で売っているサンドイッチや寿司を幕間に食べるのですが、今日は劇場内の「カフェ・フルール」でカツ丼と親子丼を食べることにしました。なかなかおいしかったです。
食べ終えて、開場まで時間があったので、劇場外で写真を撮ったりして時間を過ごしました。
この日は金曜日だったのですが、お客さんは多かったですね。団体客もたくさん観劇していて、1階はほぼ満席の盛況でした。2階席も、終了後のエレベーターの込み具合から、よく入っていたようです。
さて観劇の感想です。
まず全体の感想として、本当によかったですよ~♪。
無理して観た甲斐がありました。
私たちは今回の月組版・ロミジュリについては、新トップ・龍真咲のロミオのほうはどう考えてもキャラが合わないと思い、当初から見に行く気はありませんでした。
でも明日海りお版はなんとか観てみたかったのですが、決めたのが遅く、すでにこちらの希望の土日・11時チケットは入手不可能で諦めていました。
それでもヨメさんが執念で劇場に電話してみたら、たまたま売れ残っていたチケットがあり、観劇できたという次第でした。
予想通り明日海りおのロミオ、最高でしたね。もともときれいな容貌ですが、歌もよくなっていて、自然な演技で若々しく純粋なロミオを好演していて、これまで見た3組の中で一番魅力的でした。
明日海りお、本当に歌がうまくなっていました。これまで声帯が弱いのか、公演を重ねるうちに歌声が荒れてきたりしてあまり歌ウマな印象はなかったのですが、頑張って鍛錬したのか、安定した歌で安心して聞くことが出来ました。
歌劇なのに、最近の宝塚はけっこう歌が?なトップさんもいたりするので、歌がうまいだけで嬉しかったりします。(笑)
それに対してティボルト役の龍真咲ですが、これもぴったりだと思いました。
あくまで私の個人的な印象なので、贔屓な方は気を悪くされないようにお願いしますが、彼女のキャラ、なんとなくすぐキレるアブないオニーサンが似合いそうで(笑)、全く違和感なく見られます。逆にロミオはどう考えても合わないと思いますね。
ただこの人、がんばってトップらしくなろうと力んでいるせいか、歌もセリフも独特なクセが感じられて、ちょっと気になります。まあお披露目公演で役替わりというのは気の毒ですが。
逆パターンで、明日海りおもまたティボルトは似合いませんね。敵の面々と比べたら見るからに弱そうで(笑)、多分優等生が一生懸命ワルぶっているような無理無理感があると思います。
恐らく小池センセイは、はじめからこの日の配役を意中に描いていたのではないかと思ったりしました。
ジュリエット役の愛希れいかも思いがけずいい出来でした。かわいらしく演じていて、歌は3組のジュリエットで一番うまかったと思います。明日海りおとのデュエットも聞きごたえがありました。合格ですね。
ところで今回の観劇での最大の収穫は、乳母を演じた美穂圭子でした。
はじめは三枚目を前に出した演出に、少し違和感がありましたが、歌の場面になると大化けで、圧倒的な歌唱力で、客席は有無を言わさず曲の世界にひきこまれていきました。ゴスペルのような迫力のある歌唱法でどこまでも伸びる声、それにたっぷりとジュリエットを思う心情がのせられていて、ついほろりとしてしまいます。最近の宝塚で屈指の出来だと思いました。
観劇しながらつい隣のヨメさんに「うまいなー」とささやいてしまったほどで、気がつくとヨメさんも目をウルウルさせていました。これだけでも今回の観劇の価値がありましたね。
また、うれしかったのはロレンス神父の英真なおき。ご存じのとおり星組で長く組長さんを務めてきた人ですが、温かい人柄がにじみ出た神父さんを好演していて、心が和みました。(笑)
美穂圭子と歌う場面では、互いの歌声の相乗効果で圧巻でした。専科に行っても元気に頑張っている姿を見て安心しました。劇団はこういう人を大事にすべきですね。なんといっても舞台に厚みが出ます。
観終っていまさらながら、この作品の完成度の高さに気付かされました。
使われている曲も名曲ばかり、それでいて覚えやすいメロディで、帰りにはつい口ずさんでしまいそうです。ミュージカルはこれでなくては。
話の展開もテンポよく、それに宝塚の豪華な衣装と凝ったセット、大所帯を生かした迫力のあるアンサンブルとがあいまって、見応えのあるものにしています。
宝塚バージョンで付け加えられた「愛」と「死」がエリザベートを連想させて、いかにも小池作品な味付けになっています。
でも、こういう作品が宝塚オリジナルで作れないものかといつも思ってしまいます。座付き脚本家のセンセイも、もっと頑張ってほしいですね。生徒はいい作品ならそれにこたえて頑張っていい結果を出す実力を持っているのですから。
ともあれ、それほど期待していなかった月ロミジュリですが、観終ってみたら、これまでベストと思っていた星組バージョンより、いろんな点で良かったです。
まだご覧になられていない方は、チケット難で難しいかもしれませんが、ぜひご覧になってください。絶対おすすめです。