思いもよらぬエンジン不調でした。
それは10月某日のこと。
今年はいつになく早い秋の到来で、世間はすっかりバイクツーリングシーズン。夏の間は暑くて乗る気にならなかった日和見の私も、久しぶりに乗ってみようとスパーダのエンジン始動。長い間乗らなくても、バッテリーは絶好調なので、いつものようにチョークを引いてセルボタンを押せば一発始動!のはずなのに、今回は何やらおかしい。
でも元気なバッテリーのおかげで、思いっきり長回ししたら、ようやく始動。でも同時にいきなりガソリンが漏れて床に滴り落ちました。幸い漏れはすぐ止まりましたが、おかげでどこから漏れたのか不明。フロートバルブが一時的に固着していたのでしょうか。
しかし暖機終了しても、チョークを戻すとアイドリングが続かない。さてはとタンクキャップを開けてガソリンのにおいを嗅ぐと、見事に酸化していました。古いガソリン特有の酸っぱい匂いです。
考えてみれば、去年の早春に自宅周辺を15kmぐらい走っただけで、その後はガレージで休眠状態。給油したのは2年以上も前だったので、その間に劣化していったのでしょうね。
↓去年の姿です
でも、アイドリングが続かないのは不良ガソリンのせいではなく、キャブのどこかが詰まっているからでしょう。
症状から、多分パイロットジェット関係の詰まりでしょう。とにかくアイドルストップスクリューを相当ねじ込まないとアイドリングが持続しない状態です。そしてエンジンはかかっていても、走るまでの力は出ず。
ということで、応急作業の開始。
まずタンクから腐ったガソリンを抜いて、アドレス110とDioから計2リットルぐらいガソリンをおすそ分けしてもらって、スパーダに入れました。そして、ヨロヨロと近くのスタンドへ。ついでに腐ったガソリンの処理も依頼しました。満タンにして帰宅しましたが、その往復の間は、原付にも抜かれるほどの絶不調ぶりでした。(笑)
でもその日はそこまで。
別の日に、次なる手段として、手元にあったSTPのガソリン添加剤「STPスーパーガストリートメント」なるものをタンクに投入。早速20kmぐらい、効果やいかにと近くの山道を走ってみましたが、当然ながらほとんど効果なし。ボトルの能書きにはいろいろ書いてありますが、これで解決したら苦労しません。(笑)
その後、ヨタヨタでも走っているうちに詰まった変質ガソリンのガム質成分が溶けてくれるのではないかと、甘い期待で暇を見ては走っていましたが、いくら走っても本調子とは程遠い。平坦路なら何とか走っても、坂道になると途端に四苦八苦。そしてエンジンが温まっても、再始動には必ずチョークを引かないといけないというありさまでした。
ところで、こういうキャブのトラブル解決の王道は、分解して各ジェット類を清掃することです。でも、スパーダはVツインなのでキャブが二つ。これの分解となるとけっこう面倒くさい。(殴)
それでも若い時に、イーハトーブやダックスで散々いじったVMキャブなら構造も単純で、分解も簡単ですが、スパーダはホンダお好みのCVキャブ。
手持ちのマニュアルやパーツリストの分解図を見ても、結構複雑です。大体下手にバラして二次災害を起こしたら目も当てられない。(笑)
それでも昔なら、怖いもの知らずでやったでしょうが、今はそんな気力も頭髪とともに消え失せて。(殴)
それで思い余って、禁じ手をやることにしました。純正マニュアルに厳禁と書かれている、高圧空気で詰まりを吹き飛ばす作戦です。なぜマニュアルで禁止されているかというと、キャブ上部のダイアフラムを破る恐れがあるから。でもいいんです。そうなったらそうなった時のこと。かなり自暴自棄。
ということで11月の某日、作戦開始。
要領は、キャブのパイロットエアスクリューを抜いて、そこからエアーガンで空気を吹き込むというものです。
で、マイナスドライバーでパイロットスクリューを抜き取って、まず前側のキャブからエアを思いっきり吹いてやりました。フロート室内のガソリンがゴボゴボと音をたてていました。
次は後ろのキャブですが、こちらはフレームが邪魔になってエアーガンのノズルが入れにくい。なのでノズルを細いものに変え、少し曲げてなんとか噴射しました。こちらはゴボゴボいわないのはノズルが斜めになっているせいかと、その時は気にせず作業終了。
その後、前後キャブのフロート室のガソリンを抜いてみました。
驚いたことに微細な砂粒程度の黒いゴミがガソリンに混じって出てきました。タンクの燃料コック上部にはフィルターが付いているので、ゴミが濾されるはずなので腑に落ちません。でも実際出てきたのですから仕方がない。(笑)
抜いてから元通りドレンスクリューを締めて、はやる気持ちを抑えて、規定通りパイロットエアスクリューを2回と1/4回転戻しにセットしてエンジン始動。
すぐエンジンはかかりました。♪
でもアイドルストップスクリューをかなり締め込んでいたので、回転が急上昇。あわてて同スクリューを緩めて1300rpmぐらいになるよう戻しました。
その後はアイドリングが極安定。チョークレバーを引かなくても走れるようになりましたが、まだ走り出し時とか坂道でのトルク感なし。かなりスロットルをあおらないと走りません。
でも先の添加剤も効いてくれるかなと、また折を見ては近場をテスト走行。50km程度走りましたが、まだ本調子ではありません。回転のレスポンスが悪く、定速走行していてもぎくしゃくし、坂道では止まりそうになります。まだパイロットエアが詰まって片発状態ですね。
ここで思い出したのが、後キャブのアイドルストップスクリューの穴からエアを吹いたときにフロート室がゴボゴボいわなかったこと。
それで、某日、エンジンをかけてから前後キャブのアイドルストップスクリューを締め込んだり緩めたりしてみました。すると、前のキャブはスクリューの回転に応じてエンジンの回転が変わりますが、後キャブはまったく無反応。
やはり後キャブのパイロットエア系統のガソリン通路が詰まっていますね。
ということで、またアイドルストップスクリューの穴からエアを吹いてみましたが、やはりゴボゴボいいません。詰まったまま。(^^;
もう最後の手段です。
後キャブのドレンスクリューを緩めてガソリンを出してから、スクリューの穴から呉のクリーナーキャブを噴射し、しばらく放置してから細ノズルのエアーガンで高圧空気を吹き込みました。このとき注意しないと、クリーナーキャブの液体がドレンスクリューの穴から漏れ出して、クランクケースの塗装を痛めます。キャブのフロート室の下には必ずボロ布を敷いておきましょう。
2度その作業を繰り返してから、元通りにしてエンジン点火。初めはぐずりましたが、すぐかかりました。そしてスロットルをブリップしてみたら、1か月ぶりの高レスポンス!!
すぐテスト走行しました。我が家の前は結構坂道ですが、10mぐらいむずかった後、滑らかに加速してくれました!しばらく忘れていた加速の良さ。それと低回転でもよく粘ること。久し振りにスパーダの優等生なエンジンフィーリングを味わいました。
その日は11月としてはかなり寒い気温でしたか、かまわずガレージを後にして、河内国分から王子→奈良の山麓線に出て竹ノ内街道を自宅へと走ってみました。もう感激でした。
まるで無段変速のようなトルクバンドの広さ。それと改めて操縦性の良さを認識。ルンルン気分(怖)で、いいバイクだなあと自己満足に浸りながら帰宅しました。そして無反応だったアイドルストップスクリューを規定値前後で回してみたら、ちゃんと反応がありました。
キャブをバラさずに詰まりが取れてよかったです。
異常発生から解決まで1か月以上かかりましたが、これで胸のつかえもなくなりました。故障中は見るのもつらかった。(笑)
ただし、以上のような究極のズボラは絶対真似をしないでください。あくまで私の自己責任でやったことなので、同じようにやってキャブを損傷しても責任はとれません。
繰り返しますが、純正マニュアルには絶対キャブを分解せずに高圧エアを吹くなと書いています。ダイアフラムの破損やフロートレベルの異常を引き起こす危険性が高いですから。
やはり自信がなかったら、プロにまかせましょう。
それは10月某日のこと。
今年はいつになく早い秋の到来で、世間はすっかりバイクツーリングシーズン。夏の間は暑くて乗る気にならなかった日和見の私も、久しぶりに乗ってみようとスパーダのエンジン始動。長い間乗らなくても、バッテリーは絶好調なので、いつものようにチョークを引いてセルボタンを押せば一発始動!のはずなのに、今回は何やらおかしい。
でも元気なバッテリーのおかげで、思いっきり長回ししたら、ようやく始動。でも同時にいきなりガソリンが漏れて床に滴り落ちました。幸い漏れはすぐ止まりましたが、おかげでどこから漏れたのか不明。フロートバルブが一時的に固着していたのでしょうか。
しかし暖機終了しても、チョークを戻すとアイドリングが続かない。さてはとタンクキャップを開けてガソリンのにおいを嗅ぐと、見事に酸化していました。古いガソリン特有の酸っぱい匂いです。
考えてみれば、去年の早春に自宅周辺を15kmぐらい走っただけで、その後はガレージで休眠状態。給油したのは2年以上も前だったので、その間に劣化していったのでしょうね。
↓去年の姿です
でも、アイドリングが続かないのは不良ガソリンのせいではなく、キャブのどこかが詰まっているからでしょう。
症状から、多分パイロットジェット関係の詰まりでしょう。とにかくアイドルストップスクリューを相当ねじ込まないとアイドリングが持続しない状態です。そしてエンジンはかかっていても、走るまでの力は出ず。
ということで、応急作業の開始。
まずタンクから腐ったガソリンを抜いて、アドレス110とDioから計2リットルぐらいガソリンをおすそ分けしてもらって、スパーダに入れました。そして、ヨロヨロと近くのスタンドへ。ついでに腐ったガソリンの処理も依頼しました。満タンにして帰宅しましたが、その往復の間は、原付にも抜かれるほどの絶不調ぶりでした。(笑)
でもその日はそこまで。
別の日に、次なる手段として、手元にあったSTPのガソリン添加剤「STPスーパーガストリートメント」なるものをタンクに投入。早速20kmぐらい、効果やいかにと近くの山道を走ってみましたが、当然ながらほとんど効果なし。ボトルの能書きにはいろいろ書いてありますが、これで解決したら苦労しません。(笑)
その後、ヨタヨタでも走っているうちに詰まった変質ガソリンのガム質成分が溶けてくれるのではないかと、甘い期待で暇を見ては走っていましたが、いくら走っても本調子とは程遠い。平坦路なら何とか走っても、坂道になると途端に四苦八苦。そしてエンジンが温まっても、再始動には必ずチョークを引かないといけないというありさまでした。
ところで、こういうキャブのトラブル解決の王道は、分解して各ジェット類を清掃することです。でも、スパーダはVツインなのでキャブが二つ。これの分解となるとけっこう面倒くさい。(殴)
それでも若い時に、イーハトーブやダックスで散々いじったVMキャブなら構造も単純で、分解も簡単ですが、スパーダはホンダお好みのCVキャブ。
手持ちのマニュアルやパーツリストの分解図を見ても、結構複雑です。大体下手にバラして二次災害を起こしたら目も当てられない。(笑)
それでも昔なら、怖いもの知らずでやったでしょうが、今はそんな気力も頭髪とともに消え失せて。(殴)
それで思い余って、禁じ手をやることにしました。純正マニュアルに厳禁と書かれている、高圧空気で詰まりを吹き飛ばす作戦です。なぜマニュアルで禁止されているかというと、キャブ上部のダイアフラムを破る恐れがあるから。でもいいんです。そうなったらそうなった時のこと。かなり自暴自棄。
ということで11月の某日、作戦開始。
要領は、キャブのパイロットエアスクリューを抜いて、そこからエアーガンで空気を吹き込むというものです。
で、マイナスドライバーでパイロットスクリューを抜き取って、まず前側のキャブからエアを思いっきり吹いてやりました。フロート室内のガソリンがゴボゴボと音をたてていました。
次は後ろのキャブですが、こちらはフレームが邪魔になってエアーガンのノズルが入れにくい。なのでノズルを細いものに変え、少し曲げてなんとか噴射しました。こちらはゴボゴボいわないのはノズルが斜めになっているせいかと、その時は気にせず作業終了。
その後、前後キャブのフロート室のガソリンを抜いてみました。
驚いたことに微細な砂粒程度の黒いゴミがガソリンに混じって出てきました。タンクの燃料コック上部にはフィルターが付いているので、ゴミが濾されるはずなので腑に落ちません。でも実際出てきたのですから仕方がない。(笑)
抜いてから元通りドレンスクリューを締めて、はやる気持ちを抑えて、規定通りパイロットエアスクリューを2回と1/4回転戻しにセットしてエンジン始動。
すぐエンジンはかかりました。♪
でもアイドルストップスクリューをかなり締め込んでいたので、回転が急上昇。あわてて同スクリューを緩めて1300rpmぐらいになるよう戻しました。
その後はアイドリングが極安定。チョークレバーを引かなくても走れるようになりましたが、まだ走り出し時とか坂道でのトルク感なし。かなりスロットルをあおらないと走りません。
でも先の添加剤も効いてくれるかなと、また折を見ては近場をテスト走行。50km程度走りましたが、まだ本調子ではありません。回転のレスポンスが悪く、定速走行していてもぎくしゃくし、坂道では止まりそうになります。まだパイロットエアが詰まって片発状態ですね。
ここで思い出したのが、後キャブのアイドルストップスクリューの穴からエアを吹いたときにフロート室がゴボゴボいわなかったこと。
それで、某日、エンジンをかけてから前後キャブのアイドルストップスクリューを締め込んだり緩めたりしてみました。すると、前のキャブはスクリューの回転に応じてエンジンの回転が変わりますが、後キャブはまったく無反応。
やはり後キャブのパイロットエア系統のガソリン通路が詰まっていますね。
ということで、またアイドルストップスクリューの穴からエアを吹いてみましたが、やはりゴボゴボいいません。詰まったまま。(^^;
もう最後の手段です。
後キャブのドレンスクリューを緩めてガソリンを出してから、スクリューの穴から呉のクリーナーキャブを噴射し、しばらく放置してから細ノズルのエアーガンで高圧空気を吹き込みました。このとき注意しないと、クリーナーキャブの液体がドレンスクリューの穴から漏れ出して、クランクケースの塗装を痛めます。キャブのフロート室の下には必ずボロ布を敷いておきましょう。
2度その作業を繰り返してから、元通りにしてエンジン点火。初めはぐずりましたが、すぐかかりました。そしてスロットルをブリップしてみたら、1か月ぶりの高レスポンス!!
すぐテスト走行しました。我が家の前は結構坂道ですが、10mぐらいむずかった後、滑らかに加速してくれました!しばらく忘れていた加速の良さ。それと低回転でもよく粘ること。久し振りにスパーダの優等生なエンジンフィーリングを味わいました。
その日は11月としてはかなり寒い気温でしたか、かまわずガレージを後にして、河内国分から王子→奈良の山麓線に出て竹ノ内街道を自宅へと走ってみました。もう感激でした。
まるで無段変速のようなトルクバンドの広さ。それと改めて操縦性の良さを認識。ルンルン気分(怖)で、いいバイクだなあと自己満足に浸りながら帰宅しました。そして無反応だったアイドルストップスクリューを規定値前後で回してみたら、ちゃんと反応がありました。
キャブをバラさずに詰まりが取れてよかったです。
異常発生から解決まで1か月以上かかりましたが、これで胸のつかえもなくなりました。故障中は見るのもつらかった。(笑)
ただし、以上のような究極のズボラは絶対真似をしないでください。あくまで私の自己責任でやったことなので、同じようにやってキャブを損傷しても責任はとれません。
繰り返しますが、純正マニュアルには絶対キャブを分解せずに高圧エアを吹くなと書いています。ダイアフラムの破損やフロートレベルの異常を引き起こす危険性が高いですから。
やはり自信がなかったら、プロにまかせましょう。