グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

日本は水資源に恵まれているのか?

2014-04-10 16:33:39 | Weblog
日本は水資源に恵まれているのか?

前回の水のお話の資料編として、一昨年分ですが よろしかったら。

 ↓

「日本の農業は世界への農産物輸出を大量に増やせる」という説がありま
す。その説の裏づけになっているのが、「日本は水資源に恵まれているか
ら」ということらしいのです。
そこで水の日の本日8月1日。日本はほんとうに水資源に恵まれているの
かを検証してみました。

ということて、さっそくに数字を使って日本の水資源を、簡単にみていく
ことにいたしましょう。

わが国の年間の降水量は、平均で約六千四百億立方メートルです。そのう
ち約36パーセントは蒸発し、残りの約四千一百億立方メートルが利用可
能な水の量で、実際に使われている水の量は2006年の取水量ベースで
そのうちの八百三十一億立方メートル〔ここですでに降水量の12パーセ
ント〕
となっています。
使用されていない水が多いように思えてしまいますが、それらの水の一部
は地下へ、そしてそのほかの大部分の水は海へ流出していきます〔日本は
山国であり、その急峻な地形が影響しているため〕。

そこで実際に使用されている八百三十一億立方メートルの水の内訳です。

用途別の使用状況〔2006年〕では、農業用水が使用される水全体の
66パーセントにあたる約五百四十七億立方メートル
、生活用水が19パ
ーセントにあたる約百五十七億立方メートル、工業用水が15パーセント
にあたる約百二十六億立方メートルとなります。

農業生産のために必要な水の量が、いかに大量に必要であるかがわかる
数字ではありませんか。

現在の日本は、もちろん食料輸入国です。食料輸入国であればこそ、この
約五百四十七億立方メートルの農業用水だけで事足りているという現実

認識すべきだと思います。そこで結論ですが、

 日本には大量に輸出するための農産物を生産する水資源はない・・・

これが、農業の生産現場にいるものとしてのいち意見です。

ちなみに輸入されるものの生産に必要とされる水の量についてもお知らせ
しておきましょう。いったいどれくらいの外国の水が使用されているのか。
国土交通省の資料によれば・・・
コメ・麦・豆・肉類に綿製品などだけでも約四百四十億立方メートルにな
るといわれています。

[主な輸入品の生産に必要な水量]

 水資源.gif

そう、〔いざというときのための〕

 日本には農産物を自給できるほどの水資源もない・・・

のです。

残念ながら日本の水の将来は非常に脆弱な状況であるといわざるを得ないと
いうのが実情だとおもいますよ。実際に本年の九州では、水稲作の植え付け
時期の大渇水
が、現実の問題
となりました。


◎ 必要なときに降らず、不必要なときに大降りするもの・・・それもまた 

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




早期栽培の田植え、あらかた終了です。

2014-04-10 09:13:36 | Weblog
早期栽培の田植え、あらかた終了です。

[水不足気味に推移する平年とはちがって]1週間に2回ほども雨になると
いった気候が、年のはじめから続いた宮崎県の海岸部地方。その雨のもた
らした豊富な水によって、早期水稲の田植え作業も順調に進み、4月上旬
中には田植えもあらかた終了しそうです。

しょうじきいって、ほっとしました。

なんといっても いったん水が不足したならば、代かき[田に水をいれて
田植えができる状態にすること
]さえもままならぬ状態が続きます。

水がなければはじまらないイナ作においては、時として 待ちや待ち
という場面が往々にしてある。


そういった状況になれば、農家のあいだでの水をめぐっての小競り合いが
頻発しますし、さらに事態が悪化すればイナ作を中止せねばならない地域
[水路の末端にある集落など]すらでてきます。

またなんとか 田植えをすませた後でも、育てる苦労はつきもの・・・

なんといっても苗の植わったばかりの田では、水は成長に必要なだけでは
なく、保温資材[深水は寒さと強風による被害から苗をやさしく守ります]
にもなるからです。
実際のところ寒さがくるとわかったときの、水路をながれる水の取り合い
というものは[水路が末端に近づくほどに]、なかなかに激しいものだと実
感させられます。

こんなときに思うんですよ。

農業界以外の世間一般では「日本は水資源に恵まれている」などといった
俗説がまことしやかに流布されているようですが、現実には それはまち
がっている、と。

なんといっても

 いる時には降らず、いらないときには大降りしがち

なもの、それが雨というものですから。 → 早期栽培の概要は こちら 。


◎ まあしかし、水をめぐってのいざこざは 農家のイネつくりに
  かける情熱
のたまもの。イネの生育が 脅かされているときに、
  水の心配もしないような農家ばかりになったならば、よいコメ
  が収穫できるとはとてもとっても思えませんものね。


51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染






カッパの王国を襲った大干ばつ。

2014-04-10 03:00:54 | Weblog
カッパの王国を襲った大干ばつ。

2012年の過去記事ですが、次回の参考として再掲載です。

 ↓

3月下旬から早期水稲の田植がはじまった宮崎県では、深刻な水不
に悩まされています。宮崎地方気象台によると県内は今年に入って
少雨傾向にあり、宮崎市の3月の降水量は32ミリで、平年の180
ミリを大幅に下回っている。4月も降水量の少ない状態が続く見通し
を発表しています。

4月1日の地方紙はそのような渇水の状況を次のように伝えていました。

宮崎県内で水不足の影響が出始めている。昨年夏からの少雨が今年
 に入っても続いているためで「これまでにない深刻さ」(県河川課)。
 ダムからの緊急放流や農業用水の取水制限などでしのいでいるが、
 一部自治体で稲作などへの影響が出始めており、まとまった雨が降
 らなければ上水道への影響も懸念される。


と、いうもの。

 状況.jpg
 田植後の干上がった田と、水不足の状況を伝える新聞記事

そのような状態を受けて、宮崎県の河野俊嗣知事は7日、少雨のため
一ツ瀬ダム(西都市)と渡川ダム(美郷町)の有効貯水率がゼロとなり、
枯渇したことを発表、他のダムも枯渇が懸念されるとして、農工業用
水の大口利用者や流域自治体などに節水
を呼び掛けます。

そして4日8日。気象台の予報では、『県内全域でまとまった雨が降
る』との予報であったにもかかわらず、残念なことに結果は少雨に。

県河川課によると、

県の管理13ダムのにおいて、ダムへの降水量は1月は4%、2月
 は42%、3月は16パーセントでしかなかった

県内のダム46カ所のうち、枯渇した一ツ瀬と渡川のほか、別の4
 カ所も放流量を調整。今後も雨が降らなければ1-2週間で最低水
 位を下回り、貯水率がゼロとなる見通し


と、いう深刻な水の状態を報告するに至りました。

・・・この時期のこの渇水は誰しも記憶にないところ。宮崎の農家の
間では50年、いや60年以上も実施されたことのない“雨乞い”の
儀式の話が取りざたされる
ようにまでなっています。
昨年のいまごろは多雨による日照不足がつづいていたのですから、自
然というものは、つくづく予測のつきにくいものだと 実感せずには
おられません。このような日本の雨の偏りの傾向は、今後も継続して
いくものと考えたほうがよいかも・・・です。


◎ 農業経営の面からみれば、ダムはどうしても必需なものだと
  心の底からおもえてしまいます。

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