豚コレラに加えて、PED/豚流行性下痢、いまだ止まらず。
2013年、国内で7年ぶりに発生したPED/豚流行性下痢。その後発生は減少
していたのですが、現時点である2018年9月から2019年8月の2018年度には
前年度の3倍ちかくにまで発生件数が増加しています。特筆すべきはその発生
時期。もともとPED/豚流行性下痢は冬に発生することが多いもの。しかし
なぜか今年は猛暑であった8月にさえ発生するという異常さです。豚コレラの
発生も終息が見えないなか、PED/豚流行性下痢の8月27日現在の発生数は
7都道府県108戸におよんでいます。
発生に関する図 →
そんなPED/豚流行性下痢についての拡大防止策について取り上げた2014年
4月30日の当ブログの記事を再掲載してみました。夏でさえ発生するようにな
った今、とるべき対策は基本を忠実に守ること、それが肝心です。ということ
でとくに動物由来の 家畜ふんたい肥を使用する場合のご参考としてよろしか
ったら。
↓
『PED/豚流行性下痢の発生拡大を止めるためには/2014年4月』
2013年10月に、国内では7年ぶりとなる豚の伝染病「豚流行性下痢」の
発生が沖縄県で確認されました。その後飼育の現場では飼育場全体の消毒や複
数の農場の間を行き来する機会をなるべく減らすなどの対策がとられ、さらに
は各県の主要道路で豚を運ぶトラックのタイヤや荷台を消毒するといった対策
が徹底されたのですが・・・しかし残念なことにそれでもこの病気の感染は止
まらず、4月2日現在のところ17の県で18万頭余りが感染し、4万頭近く
が死ぬ被害が出ています。
その様子を伝えるメディアの4月最新のニュースは こちら 。
● NHK 「豚流行性下痢」の被害拡大
● 毎日新聞 豚流行性下痢18県に拡大/農水省が消毒徹底を指示
● FNN 豚の伝染病が全国に拡大/豚肉価格に影響のおそれ
● 東京新聞 豚の伝染病拡大/流行性下痢、17県で4万頭死ぬ
さて、そこで感染のとまらぬ理由です。対策がとられているのに感染が止ま
らない理由は何でしょう。
その一つの理由として考えられるのは、ふん便の処理の不備に関することで
はないかと推察されます。なんといっても、この病気もほかのウイルス病と
同じように
ふん便中に排出されたウイルスが経口感染して伝ぱんしていく
という性質を持っているからです。したがって更なる拡大防止策とし効果的
だと考えられるのは、排せつ物処理を適切に行うということ。これに尽きる
と思います。具体的には
■ ふん尿をたい肥化する場合には、よく完熟させる
■ 発酵温度が十分に上がっているかどうかを、よく確認する
■ たい肥化の済んだものと、新しいふん便とを混ぜない
■ たい肥と、飼育豚を離す
■ たい肥と野生動物が接触しないように管理する
といった対策をとることが肝要です。さらに上記の個体分とは別に、液体分
についての注意点として、通常時の塩素消毒処理やばっ気処理ではウイルス
が不活性化していない可能性も考えられることから
■ できれば、液体分を肥料として散布しない
■ やむをえず用いる場合は、ほかの養豚場の近くで使用しない
■ やむをえず用いる場合は、流水の近くでは散布しない
■ やむをえず用いる場合は、道路の近くでは使用ない
といった対策が有効だと考えられます。
いったことで今回は、全国に広がりつつある豚の伝染病と、その対策につい
てのおはなしでした。ちなみにやはりふん尿中のウイルスによって感染が拡
大していったと考えられる宮崎県の口蹄疫のケースは こちら 。
この感染症の流行しやすい季節は 冬。 そういった意味では
はやく春になって温度があがることが、いちばんの薬なのかも
しれませんね。
「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」